12月14日〜20日までの6日間にわたってロッテ浦和球場(さいたま市南区)でNPB審判員によるアンパイアスクールが行われている。アンパイアスクール は毎年行われ、今年は146名の応募があり、書類審査を通過した62名(男性60名、女性2名)が…
12月14日〜20日までの6日間にわたってロッテ浦和球場(さいたま市南区)でNPB審判員によるアンパイアスクールが行われている。
アンパイアスクール は毎年行われ、今年は146名の応募があり、書類審査を通過した62名(男性60名、女性2名)が受講している。
実際に行われていることは、大きく分けて座学と実技の2つになる。
僕自身も講師として参加したことがあるが、受講している方はみんなすごい熱意があり、講師を務めるNPB審判員にとっても初心を思い出させてくれるいい場所となっている。このスクールは採用試験も兼ねていることもあり、スクールでの成績上位4名の生徒が次の試験に進むことができる。
ではこの試験を通過し1軍の試合に出場するまでの道のりを紹介しよう。
①【アンパイアスクール】
上記でも説明した通り、全6日間のスクールの成績上位者が次の独立リーグに進める。(今年の場合は、書類選考を通過した62名から4名)
②【独立リーグ】
1〜2年間で成績優秀だと認められたものが次の育成契約のステージへ行ける。2年以内に適正を認められなければここで契約は終わる。(12万円×6ヶ月+5万円×6ヶ月=102万円)
③【NPB育成審判員契約】
ここで初めてNPB審判のユニフォームを着ることができる。期間は3年間。2軍の試合のみに出場し技術の向上、NPB審判員としての適性などが認められた者のみ本契約となる。(3年以内に認められなければ契約解除となる)
④【NPB審判員】
晴れて本契約となるのだが、基本的には2軍のみの出場。個人の能力にもよるが本契約後3年程度で1軍に通用するレベルまで到達したと認められれば1軍での塁審での出場が認められる。(例:1軍デビュー初年度8試合、2年目16試合、3年目28試合など)
このように多くのステップを乗り越えて初めて皆さんが見る1軍の試合を裁いている。
アンパイアスクールから1軍初出場までの期間を考えると、成績優秀者でおおよそ7〜8年くらいはかかる。そこまで到達できない方が多い。
また選手はレギュラーに大抜擢されることなどもあるが審判員はこれがない。初出場したシーズンは10試合未満の出場にとどまることが多く、毎年少しずつ試合数を伸ばしていくシステムである。
1軍のレギュラーと呼ばれるような審判員(年間80試合以上)は15年以上のベテランで、このような過酷な世界を勝ち抜いてきた精鋭ばかりである。
厳しい世界ではあるが、厳しい世界でしか味わうことのできないやりがいや経験も多くある。またこのアンパイアスクールから一軍まで到達できるのは一人いるかいないかである。一生で、ここまで人生をかけて本気になれることもなかなかないと思う。ぜひ全ての受講者に本気で挑戦してほしいと思う。できることならこの受講者全員に5万人の観衆の中で判定する経験をさせてあげたい。頑張れ未来の名アンパイア達!!
文:元プロ野球審判 坂井遼太郎