2019年のテニスシーズンが幕を閉じ、選手たちが得たものを振り返る時期だ。2019年の女子テニスツアーに参加したプレーヤーで、獲得賞金が百万ドル(約1億942万円)超えとなった選手は44人。男…

2019年のテニスシーズンが幕を閉じ、選手たちが得たものを振り返る時期だ。2019年の女子テニスツアーに参加したプレーヤーで、獲得賞金が百万ドル(約1億942万円)超えとなった選手は44人。男子より10人少ない結果となったことを、米経済誌Forbesが伝えている。

23歳のアシュリー・バーティ(オーストラリア)は1130万7587ドル(約12億3728万円)を獲得し、WTA(女子プロテニス協会)ツアーの世界ランキング、賞金ランキングともに1位で2019年のシーズンを終えた。6月の「全仏オープン」で、バーティはグランドスラム初優勝を遂げている。

バーティは18歳までに二度、ダブルスで優勝を遂げているが、燃え尽き症候群とうつ症状に苦しみ、5年前にいったんテニスから離れた。そんな彼女に、テニスツアーの単調でハードな毎日から離れることは、新たな人生をもたらした。バーティは14ヶ月間プロクリケット選手としてプレーした後、2016年に世界ランキング623位として復帰した。

バーティは11月に「WTAファイナルズ」で優勝し442万ドル(約4億8417万円)を獲得、好調な1年を終えた。これは全スポーツの中で個人選手に与えられた過去最高額であり、女子プロクリケット選手として稼げる金額より何倍も多いだろう。莫大な金額を手に入れることになってもなお、バーティの足はしっかりと地面を踏みしめていた。

バーティは「WTAファイナルズ・深セン」での優勝後、記者たちに「「確かに、素晴らしいシーズンだったわ。お金のことは私にとってほとんど何も意味がないことなの。私には家族の愛と支えがある。夢を追いかけるために日々努力している。銀行口座にどれだけ0が並んでいようと、私自身は変わらないし、生き方も変わらないわ」と語っている。

「WTAファイナルズ・深セン」前まで賞金レースは接戦だったが、バーティが同大会で優勝したことで彼女のトップが確定し、「ウィンブルドン」で優勝し、獲得賞金696万2442ドル(約7億6246万円)で2位となったシモナ・ハレプ(ルーマニア)に大きな差をつけた。

1月に「全豪オープン」で優勝し、短期間ではあったが世界ランキング1位となった大坂なおみ(日本/日清食品)は、賞金ランキングでは678万8282ドル(約7億4338万円)で3位となった。「全米オープン」で初のグランドスラム優勝を果たしたビアンカ・アンドレスク(カナダ)は650万4150ドル(約7億1227万円)で4位。女子選手の中では、44人が100万ドル(約1億942万円)以上の賞金を獲得。44位のユリア・ゲルゲス(ドイツ)は100万6212ドル(約1億1017万円)だった。

44人の億超えプレーヤーの中で、33人がシングルスのみで100万ドル以上獲得しており、6人がダブルスのみで100万ドル以上。ダブルス獲得賞金トップはクリスティーナ・ムラデノビッチ(フランス)で、ダブルスのみの賞金は118万3419ドル(約1億2954万円)だった。

女子プロアスリートにとってテニスは、最も稼げるスポーツとなっている。これは、WTAを創設したビリー・ジーン・キング(アメリカ)と8人の女性たちが、1971年に19の大会と総額30万9100ドル(現在のレートで約3383万円)の賞金で「バージニア・スリム・サーキット」を初開催した時から思い描いていたことだった。

2007年に、グランドスラムの中では一番最後に「ウィンブルドン」が男女同額賞金となり、グランドスラムでは男女が等しく賞金を得られるようになったとはいえ、ATP(男子プロテニス協会)ツアーとWTAツアーの賞金を比べるとどうしても印象は変わる。

例えば、2018年のATPツアー賞金総額は1億3750万ドル(約149億2783万円)だったが、これはグランドスラムを含まない。そして、グランドスラムを含むWTAツアーの賞金総額は1億3900万ドル(150億9067万円)。とはいえ、女子の賞金額は男子に近づいてきており、2019年、男子の「Nitto ATPファイナルズ」での賞金総額は900万ドル(約9億7709万円)だったが、女子の「WTAファイナルズ・深セン」での賞金総額は1400万ドル(約15億1992万円)と、男子をはるかに上回った。

だが億超え男子プレーヤーは54人。そして賞金ランキング1位は1634万9586ドル(約17億7501万円)を獲得したラファエル・ナダル(スペイン)。この金額にはATPのボーナス賞金も含まれている。

※為替レートは2019年12月13日現在

(テニスデイリー編集部)

※写真は大坂なおみ(左)とバーティ(右)

(Getty Images)