大坂なおみ(日本/日清食品)の「全豪オープン」優勝や、ビアンカ・アンドレスク(カナダ)、ココ・ガウフ(アメリカ)といったニュースターの誕生など、多くの話題があった2019年女子テニス。今年も多くの名プレーが生まれたツアーの中で、今回は3月の…

大坂なおみ(日本/日清食品)の「全豪オープン」優勝や、ビアンカ・アンドレスク(カナダ)、ココ・ガウフ(アメリカ)といったニュースターの誕生など、多くの話題があった2019年女子テニス。

今年も多くの名プレーが生まれたツアーの中で、今回は3月のWTA(女子テニス協会)月間ベストショットに選ばれた、キルステン・フリプケンス(ベルギー)の華麗なプレーを振り返って紹介する。

このプレーが生まれたのは3月、「BNPパリバ・オープン」1回戦の対ユージェニー・ブシャール(カナダ)でのこと。

サービスを放ったフリプケンスはセンター付近でラリーをしたあと、相手の返球が少し浅くなったところを見てフォアハンドの深い逆クロスで攻撃。少し前に詰めながら構えていると、相手ブシャールの鋭いバックハンドショットがネットすれすれの低い弾道で返ってきた。

するとフリプケンスは、その球をハーフバウンドの股抜きショットで処理するという意表をついた返球を見せた。会場の観衆がこのプレーに思わずざわつく中、お互いがネットを挟んで前に詰めた接近戦に。

フリプケンスが角度のついたクロスボレーで相手をさらに前に走らせると、今度はネットぎりぎりに詰めている相手の頭の上をロブボレーで抜いた。

一連の華麗なプレーに会場からは大きな歓声が。一方フリプケンス本人は、ポイントが決まった瞬間軽くガッツポーズをつくったものの、すぐに次のポイントに切り替えるような表情を見せた。

世界70位(ランキングは12月9日付け)の33歳フリプケンスは、身長165cmと小柄ながらガッツに溢れ、早いテンポで次々と攻めたてる小気味よいプレースタイルとしっかりとした組み立てを使える選手。好調時には極めて高いパフォーマンスを見せることがあり、トップ選手であっても軽視できない実力者であることを、このプレーでも示しているだろう。

なおフリプケンスは、大坂とのシングルスの対戦はまだない。キャリア通算のシングルスタイトルは1個。今シーズンのツアーシングルス優勝はないが、ダブルスでは6月の「マヨルカ・オープン」でタイトルを獲得している。

(テニスデイリー編集部)

※写真は「BNPパリバ・オープン」でのフリプケンス

(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)