「男子テニス界のBIG3」ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の存在感や、その牙城を崩そうというダニール・メドベージェフ(ロシア)、ステファノス・チチパス(ギリシャ)ら若手の初トッ…

「男子テニス界のBIG3」ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の存在感や、その牙城を崩そうというダニール・メドベージェフ(ロシア)、ステファノス・チチパス(ギリシャ)ら若手の初トップ10入りなど、群雄割拠の様相を呈した今シーズン。ATP(男子プロテニス協会)の公式YouTubeでは、そんなトップ選手たちの2019年ベストショット集を動画公開している。

そのなかで今回は世界ランキング7位・若手の中でも早くからトップ10内で活躍している、22歳アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)の名プレーを紹介する。

その試合は11月、ツアー最終戦「Nitto ATPファイナルズ」のグループリーグ初戦で、相手は「BIG3」ナダルだった。ズベレフがナダルに対し6-2、4-3とリードをしていた場面。ただ、決して諦めないナダルを相手に第2セットは1ブレーク差で、追い上げがあるのかという緊張感が続いていた。

そんな大きなプレッシャーがあるなか、ズベレフの素晴らしいショットが生まれた。

このゲーム、ファーストポイントはナダルに先行を許しながらも、その後40-30とゲームポイントを握ったズベレフ。続くポイントで、センター付近でお互いどちらが仕掛けるかというラリーが展開された。

すると、ズベレフのフォアハンドがやや短めのクロスとなったところを、ナダルは鋭いバックハンドをクロスに返球し一気にズベレフをコート外に追い出した。コートをガラ空きにされてしまい苦しいズベレフだったが、素早いダッシュで球に追いつくと、そのままコート外からストレートに起死回生を狙うカウンターのランニングショットを放つ。

そしてそれがサイドラインの近く、これ以上はないだろうというところに決まりズベレフは大きく吠えた。会場の観衆も、ズベレフが勝利まで1ゲームとしたこの素晴らしいサービスゲームキープに大歓声を送っていた。

世界7位、22歳のズベレフは実力とルックスを兼ね備えた次世代の旗頭。ベースラインからの強力なストロークをさらに磨き、自身が課題に挙げるメンタル面が強くなってゆけば、劇的な世代交代が起こっても不思議ではないだろう。

一方、2019年シーズンは不調の時期を経験し、優勝は5月の「ATP250 ジュネーブ」のみだった。グランドスラムでは「全豪オープン」が4回戦進出、「全仏オープン」がベスト8入り、「ウィンブルドン」は1回戦敗退、「全米オープン」が4回戦進出。前年2018年に初優勝を飾ったツアー最終戦「Nitto ATPファイナルズ」では、上記の試合でナダルを撃破するなどしベスト4まで進出したものの、2連覇はならなかった。

なお、ATPの公式YouTubeでは他にもズベレフのベストショット集として、今季3度激突したチチパスとの若手対決での壮絶な打ち合いや、アカプルコの大会でニック・キリオス(オーストラリア)の頭上を抜いたスーパーショットなどが紹介されている。

(テニスデイリー編集部)

※写真は「Nitto ATPファイナルズ」でのズベレフ

(Photo by Julian Finney/Getty Images)