ATP(男子プロテニス協会)が、2019年に行われたグランドスラムの試合のうち、番狂わせとなった試合ベスト5を選出し紹介している。■第5位「全仏オープン」1回戦○ピエール ユーグ・エルベール(…

ATP(男子プロテニス協会)が、2019年に行われたグランドスラムの試合のうち、番狂わせとなった試合ベスト5を選出し紹介している。

■第5位「全仏オープン」1回戦

○ピエール ユーグ・エルベール(フランス) 4-6、4-6、6-3、6-2、7-5 ●ダニール・メドベージェフ(ロシア)

今年のクレーシーズン序盤で準決勝、決勝と進んでいた当時世界14位のメドベージェフを、地元出身で当時世界43位のエルベールが撃破。しかも、2セットダウンからの逆転劇という勝利だ。地元の歓声を味方につけたというエルベールは、勝利後に「間違いなく最高の勝利の1つでした」と語った。

■第4位「ウィンブルドン」1回戦

○トーマス・ファビアーノ(イタリア) 6-4、3-6、6-4、6(8)-7、6-3 ●ステファノス・チチパス(ギリシャ)

当時世界89位のファビアーノと当時世界6位のチチパスの対戦。シーソーゲームを制したファビアーノは、これまでトップ20の選手から1セットも取ることができていなかったが、3時間22分の戦いを制した。この大会では、1回戦で第5シードのドミニク・ティーム(オーストリア)、第6シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)、第7シードのチチパスが姿を消す波乱となっていた。

■第3位「全米オープン」準々決勝

○グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア) 3-6、6-4、3-6、6-4、6-2 ●ロジャー・フェデラー(スイス)

今年、長いスランプに陥っていたディミトロフ。2017年の夏からトップ10を維持していたが、2018年の秋からランキングが下降。同大会の時には世界78位まで順位を落としていた。そんな中で過去0勝7敗の当時世界3位のフェデラーに勝利したディミトロフは、試合後に「本当にここまで時間がかかったと思います。私としてはとにかく粘り、踏ん張ろうとしていました。痛めていた肩も最後までよくもってくれたと思います」と語った。

■第2位「ウィンブルドン」4回戦

○ギド・ペラ(アルゼンチン) 3-6、4-6、6-3、7-6(3)、8-6 ●ミロシュ・ラオニッチ(カナダ)

3回戦で前年同大会準優勝の第4シードのケビン・アンダーソン(南アフリカ)をストレートで破ったペラ。4回戦では2016年同大会準優勝のラオニッチと当たり、2セットダウンとされたが逆転勝利を挙げた。ラオニッチが2セットアップとしたところから敗れるのは、この試合が初めてだった。

■第1位「全豪オープン」4回戦

○チチパス 6(11)-7、7-6(3)、7-5、7-6(5) ●フェデラー

3年連続7度目の優勝を目指す当時37歳フェデラーを破ったのは、2018年の21歳以下によるツアー最終戦「Next Gen ATP ファイナルズ」で優勝したチチパス。チチパスはこれで自身初となるグランドスラムベスト8進出(最終的にベスト4進出)を果たすと、3月にトップ10入りし、ツアー最終戦の「Nitto ATPファイナルズ」で優勝。今シーズン大きく飛躍した。

こうしてみると、敗れた方にメドベージェフやチチパスといった若手の名前が並んでいるのが面白い。フェデラーやノバク・ジョコビッチ(セルビア)、ラファエル・ナダル(スペイン)のBIG3に加え、若手もその座を狙われる立場になっているということだろう。

番狂わせは、新しいスターが誕生したり、スランプに苦しむベテランが再び羽ばたいたりする瞬間でもある。来シーズンは、どんな番狂わせが起きるのか楽しみにしたい。

(テニスデイリー編集部)

※写真は1位に選ばれた「全豪オープン」でフェデラーに勝利して感極まったチチパス

(Photo by TPN/Getty Images)