東京オリンピックに錦織圭(日本/日清食品)と大坂なおみ(日本/日清食品)が出場したら、それはテニス選手が、初めてのオリンピックのメダルを日本にもたらしてから、ちょうど100年後のこととなると、…

東京オリンピックに錦織圭(日本/日清食品)と大坂なおみ(日本/日清食品)が出場したら、それはテニス選手が、初めてのオリンピックのメダルを日本にもたらしてから、ちょうど100年後のこととなると、米NBC Sportsが伝えている。

通常、オリンピックにおいてテニスは人気種目ではない。理由の一つには、テニスの最大のイベントはオリンピックではない、ということが挙げられる。錦織は、8月に行われた「全米オープン」で、グランドスラム優勝とオリンピック優勝の意義について聞かれた際に「グランドスラムで優勝することがテニス選手の最大の目標です。僕たちはそのためにプレーしているし、そのためにトレーニングを積んでいます」と答えている。

だが1920年のアントワープオリンピックの時代には、グランドスラムという言葉自体がテニスでもゴルフでも使用されていなかった。そして、そのオリンピックで熊谷一弥がシングルスと、柏尾誠一郎と組んだダブルスで、共に銀メダルを獲得。日本初のオリンピックメダリストとなった。

熊谷は、日本で最初に国際テニスプレーヤーとして有名になった人物であり、1918年の「全米オープン」(当時は「全米選手権」)では準決勝まで進出し、1919年の「Great Lakes Championships」決勝では、当時のトッププレーヤーだったビル・チルデン(アメリカ)を破り、優勝した。

それから約1世紀後、錦織と大坂が日本テニス界に飛躍的な進歩をもたらした。錦織は2014年の「全米オープン」で、アジア人男子で初めてグランドスラム決勝進出を果たし、2018年には大坂がやはり「全米オープン」で、四大大会のシングルスで優勝した最初の日本人選手となった。

今年6月に実施された、一般社団法人 中央調査社の「人気スポーツ」に関する全国意識調査(回答者数1227人、20歳以上)の、「最も好きなスポーツ選手(現役・引退問わず)」部門では、錦織が4位、大坂が6位にランクインした。当該部門では、錦織以外では野球のイチロー、大谷翔平、長嶋茂雄、フィギュアスケーターの羽生結弦がトップ5入りしている。また大坂の「全米オープン」優勝は、イチローの引退、羽生のオリンピック連覇を差し置いて、「平成の記憶や印象に残っているスポーツの場面」のトップに選ばれた。

しかし、スポーツジャーナリストの内田暁氏は、錦織の「全米オープン」決勝進出は、大坂がセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)を下した「全米オープン」優勝よりも日本テニス界にとって大きな瞬間だったとしている。

後編に続く。

(テニスデイリー編集部)

※写真は2016年リオデジャネイロオリンピックでの錦織

(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)