現在開催中の第11回BFA U-18アジア大会。開幕から4戦すべてで完封勝利を収めている日本は、プロ注目の“超高校級”投手を多く抱えるが、頭1つ抜けた印象を受けるのが左腕・寺島成輝(履正社)だ。■2戦で投げて12回を無安打25K2四球無失点…

現在開催中の第11回BFA U-18アジア大会。開幕から4戦すべてで完封勝利を収めている日本は、プロ注目の“超高校級”投手を多く抱えるが、頭1つ抜けた印象を受けるのが左腕・寺島成輝(履正社)だ。

■2戦で投げて12回を無安打25K2四球無失点の満点ピッチング

 現在開催中の第11回BFA U-18アジア大会。開幕から4戦すべてで完封勝利を収めている日本は、プロ注目の“超高校級”投手を多く抱えるが、頭1つ抜けた印象を受けるのが左腕・寺島成輝(履正社)だ。初戦の香港戦と、セミファイナルラウンド第1戦の中国戦で先発。両試合とも無安打1四球無失点のほぼ完全投球を披露したが、打者が手も足も出なかった多彩な投球術はもちろんのこと、とりわけ目を惹いたのはマウンド度胸のよさだ。

 日本を率いる小枝守監督が、ファーストラウンドとセミファイナルの初戦2試合に先発させたのには理由がある。「寺島君の場合は精神的に強いので、最初の緊張感に十分堪えうるだろうということでいきました」。拓大紅陵では初夏合わせて甲子園に9度出場した指揮官も認めるタフさ。初戦を投げ終えた寺島は、試合後に涼しい顔で「イメージした通り。特にフワフワした気持ちもなかったですし、いつも通りできたんじゃないかと思います」と言ってのけた。「彼(寺島)は意気に感じてやる方。どうしても落とせないんだよっていうところでは、彼ですね」という小枝監督の評価は、最大級の賛辞だろう。

■小枝監督も絶賛「どうしても落とせないんだよっていうところでは、彼ですね」

 打席に立つのが、格下の香港だろうが中国だろうがお構いなし。力強くキレのある速球を外角に決めると、今度はスーッと伸びるような速球でバットを振らせる。遊び球や無駄のない勝負の仕方は、メジャーの投手に近い。1球目から降板まで、ほとんど表情を変えずに淡々と自分の投球に徹する。互角の相手や格上の相手に対して全力で立ち向かうことは誰にでもできるが、格下の相手にも手を抜かずに同じ心持ちで臨めるか。自分との戦いとも言える場面で、ほぼ完璧な結果を残すのは、プロでもなかなか難しい。

 先発のマウンドに上がるたび、寺島はいつも「完全試合」を狙いにいっているという。

「まずは一番上の完全試合から目指しています」

 中国戦を7回無安打13奪三振無失点に抑えても、1四球を与えたことが「悔しかったです」と無念そうに言った。目標は完全。そこに至らなかった登板は、いくら内容がよくても、少しの悔しさが入り込む。

 U-18アジア選手権は、残すところあと2戦。国際大会を経験して、さらに磨きが掛かったタフさを持った寺島が、5年後10年後、どんな投手に成長するのか楽しみだ。