アメリカ・ニューヨークで開催されている「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月29日~9月11日/ハードコート)の3日目、男子シングルス2回戦。 この日のナイトマッチで、1億5000万ドルをかけて新設した開閉式屋根を初めて試合…
アメリカ・ニューヨークで開催されている「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月29日~9月11日/ハードコート)の3日目、男子シングルス2回戦。
この日のナイトマッチで、1億5000万ドルをかけて新設した開閉式屋根を初めて試合中に閉じた。それは、第3シードのラファエル・ナダル(スペイン)がアンドレアス・セッピ(イタリア)を6-0 7-5 6-1で破った試合中のことで、第2セット3-3から、屋根を閉じるため7分半ほどプレーが中断された。
「屋根を閉じても、開いても、コンディションはかなり似ていると感じた」とナダルは試合後に言った。
もっとも、はっきりと気づく違いは、観客の声などの周囲の音がより大きく響き、ポイント間にも観客のおしゃべりが聞こえかねないことだ。全米テニス協会(USTA)のディレクター、ゴードン・スミスは、それに関して調査をしてみる、と言った。
「ここはニューヨークだ。そのとおり、観客の立てる音はある。我々は観客に来てもらいたいし、彼らに興奮してもらいたい。声援を送ってもらいたいんだ。時間が経つにつれ、ファンたちは状況に適合し、プレーヤーもまた順応すると思う」と彼は言った。「オープンな環境より、閉じた環境でのほうが音が響くのは当然のことだ」。
屋根が閉まる前でさえ、主審のセドリック・ムーリエは繰り返し、プレーが始まったら静かにするよう、観客たちに嘆願しなければならなかった。ナダルとセッピの双方が、声を挙げたり、動き回ったりするファンたちからの妨害、中断がいかに多いかに驚かされていた。
「ここの人々は野球の試合に行って、試合の間も話し続けていることに慣れているんだと思う」とセッピは言った。「本当に騒音が絶えなかった」。
雨による中断に対処し、何年も決勝を翌日に延期する羽目に陥ったあと、USTAはついにメインスタジアム(センターコート)に開閉式の屋根を設置することを決めた。
月曜日に始まった今大会は、最初から屋根を使用することが可能だったが、最初の2日には、雨はまったく降らなかった。
「屋根を付けるための費用の面で耐えうる、建設学的に創造力に飛んだ、機能的な解決策を見つけるのに10年もかかってしまった。それがスムーズに機能するのを目にするのは、信じられないような感慨がある」とスミス。
ナダルとセッピがプレーしている最中に小雨が降り始めた。大会レフェリーのブライアン・アーリーは、コート脇から天候を監視していたが、最終的にムーリエ主審とプレーヤーたちに歩み寄り、屋根を閉じたいという旨を伝えた。
「数分かかります」とムーリエは観客にアナウンスした。「少しの間、辛抱して待ってください」。
観客たちの一部は拍手して歓声を挙げた。ほかの観客たちは、動き出した屋根の写真を撮るために携帯電話を取り出した。ナダルでさえが、頭上に目をやっていた。
ナダルの試合以前に屋根を使用したのは、開会式でフィル・コリンズが『イン・ザ・エアー・トゥナイト』を歌ったときだけだ。
これまでの全米オープンの決勝は、2008年から2012年にかけて雨のため、5年連続で延期されている。
「よいショー、観客の快適さ、テレビで見ているファンのために、これは素晴らしい施設の向上だと思う」と、ナダルは新しい屋根について言った。
ナダルは試合後のオンコート・インタビューでTVレポーターから、屋根に触るくらいボールを強く打てるか、と頼まれた。試してみたが、ボールを屋根に触れるだけ高く打つことはできず、ナダルは笑いながら「僕には無理だね」と答えていた。
そのナダルは次の3回戦で、アンドレイ・クズネツォフ(ロシア)と対戦する予定だ。(C)AP