アメリカ・ニューヨークで開催されている「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月29日~9月11日/ハードコート)の3日目、男子シングルス2回戦。 ケイレンがあまりにひどくなり、ラケットをしっかり握ることすらできなかったとミロシ…
アメリカ・ニューヨークで開催されている「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月29日~9月11日/ハードコート)の3日目、男子シングルス2回戦。
ケイレンがあまりにひどくなり、ラケットをしっかり握ることすらできなかったとミロシュ・ラオニッチ(カナダ)は言った。
ウィンブルドン準優勝者で第5シードのラオニッチは、世界ランク120位のライアン・ハリソン(アメリカ)に7-6(4) 5-7 5-7 1-6で敗れた。第2セットの途中で、左手首近くに痛みを感じ始めていたという。
最終的に同じ問題がラオニッチの右前腕、両腿、左腰にも広がった。試合後、バッグを肩にかけようとしたときには、背中までつったという。この状態では試合に勝つこと、サービスを打つことも不可能に近かった。サービスは通常、ラオニッチのもっとも効果的な武器だが、この日の彼は15本のダブルフォールトをおかしている。
「体のいろいろなところに広がっていった」とラオニッチ。「まず小さなケイレン、ふくらはぎがつり始め、次に手に感じてラケットをきちんと握れなくなった」
ラオニッチは2014年のウィンブルドン、そして今年の全豪でも準決勝に進出した。そして短期間にジョン・マッケンロー(アメリカ)の指導を受け、7月のウィンブルドン準決勝でロジャー・フェデラー(スイス)を破り、初めてグランドスラム大会の決勝に進んだ。
「今日は、自分が自分の最大の敵だった」とラオニッチ。「何とか切り抜けようとベストを尽くしたが、体がそれを許してくれなかった」。
ハリソンはこの試合に臨んだとき、彼のトップ10に対する対戦成績は1勝26敗だった。
予選を勝ち上がって本戦に進んだ24歳のハリソンは、この試合に勝利してグランドスラム大会で初の3回戦進出を果たした。彼のこれまでの2回戦での戦績は0勝6敗。彼は3年半もの間、グランドスラム大会の本戦の試合に勝っていなかったのである。
「精神的成長のおかげだ。自分の周りのことに対して少し落ち着きを持つことができるようになり、おかげで平静心と興奮の双方を胸にプレーできるようになった」とハリソン。
彼は10年近く前にプロになり、2012年、20歳のときに世界ランク43位となった。早咲きの選手だった。
「僕は熱く激しい性格の持ち主だ。戦っているときは特に激しくいたい。ただ、あまりに激しすぎることが、(過去には)成し遂げようとしていることから自分を遠ざけてしまうことがあった」
先週、ハリソンと22歳の弟クリスチャンは、ともに全米オープンの本戦入りを決めた最初の兄弟となった。「弟といっしょに全米に出られるなんて、素敵なことだよ」とハリソン。
クリスチャンは1回戦で負けたが、ライアンはほかのアメリカ人たちとともに3回戦に臨む喜びを味わうことになった。第20シードのジョン・イズナー(アメリカ)はスティーブ・ダルシー(ベルギー)を6-3 6-4 6-7(10) 6-3で破り、第26シードのジャック・ソック(アメリカ)はミーシャ・ズベレフ(ドイツ)を6-1 6-1 6-2で破った。
ハリソンは明らかにラオニッチの体の問題に助けられはしたが、ダブルフォールトで最初のサービスゲームを落として以降は、かなりいいプレーをしていたと言っていい。彼は合計33本のアンフォーストエラーをおかしたが、ラオニッチのそれは62本で、第3セットのみでも21本を数えるほどだった。
「自分で自分にプレッシャーをかけたわけじゃない」とラオニッチは言った。「プレッシャーをかけてきたのは、彼だよ」。
ハリソンは3回戦で、2006年全豪オープンの準優勝者で世界44位のマルコス・バグダティス(キプロス)と対戦する。バグダティスは第32シードのブノワ・ペール(フランス)を6-2 6-4 3-6 6-4で倒して勝ち上がった。
「このスポーツでは、長く考えている時間はないんだ。事はあっという間に変わっていくからね」とハリソン。「もしも金曜日にひどいプレーをすれば、突然、今日の勝ちが遠くに感じられるんだ」。(C)AP