全日本インカレ直前特集、第2回は470級の4年生クルーの3人による対談です。入部以来苦楽を共にしてきた3人に、ヨット部での生活を振り返っていただきました。集大成となる全日本インカレではどんな活躍を見せてくれるのか、期待がかかります。 ※…

 全日本インカレ直前特集、第2回は470級の4年生クルーの3人による対談です。入部以来苦楽を共にしてきた3人に、ヨット部での生活を振り返っていただきました。集大成となる全日本インカレではどんな活躍を見せてくれるのか、期待がかかります。

※この取材は10月18日に行われたものです。

「『ヒーローであれ』」(吉村)


冷静な口調で今季を振り返った吉村

――全日本インカレ連覇を目標に掲げてきたこの1年を振り返っていかがですか

吉村 今年はスタートから解決しなくてはならない問題が色々あって、部を立て直しつつ、どうやってモチベーションを保って、全日本インカレまでを戦っていくかというのが一番大変でした。

 よくここまで戦ってこられたなというのがここまでの印象です。春先からずっとまとまりがなかったりとか、本来実力を持っているはずなのに出しきれなかったりという状況が続いていていたのですが、秋インカレ(関東学生選手権)で優勝できて、もう10月の終わりですけど、やっとインカレで優勝を争えるところまでもっていけたと思っています。

――団体戦ほぼ負けなしであった昨年とはまた違った戦いになったと思いますが、比較していかがですか

 やっている僕たちからしたら、昨年も今年も全力でやっていることに変わりはないのですが、慶應の470チームが揃ってきたり、日大も髙山大智という強力な戦力が加わったりと、状況が変わったことで、去年が簡単であったわけではないのですが、簡単に勝たせてもらえなくなったと感じています。これが外的要因です。内的要因としては、去年からいまひとつ伸び悩んでいる人が多く、それが夏頃まで続いていたのですが、秋インカレからは良い兆しが見えてきたかなというように見ています。

嶋田 去年との違いは、4年の田中(田中美紗樹、スポ4=大阪・関西第一 )がオリンピックキャンペーンで外に出ていってしまって、その間に僕たち470チームの4年生が引っ張れなかった部分があったことがです。しかし、田中が帰ってきたことと、自分たちも4年生3人が意識を変えていってチームを変えていけたことで、最初のレベルから戦えるレベルまで引き上げられたのかなと感じています。

吉村 470チームとして、優勝に絡む早稲田・慶應・日大と他の大学の力量差がはっきりしている部分があって、上位にいる時はけっこう1位2位3位と取れてしまうこともあり、点数をまとめやすくなってしまっているので、そこが今年勝ちにくいポイントなのかなと思っていました。上位を取るだけでなく、その中でより点数を減らしていかなければならないところが難しかったです。

――目指してきたチーム像は

 1番はチーム全員が喜べる優勝をしたいということで、今35人いる部員の中で12人しかレースに出られないので、残りの23人は団体優勝のために、チームのために、自分の力を発揮するということになります。その時に12人だけでなく、35人全員で勝ったという気持ちになる、1年間の取り組みをしたいなというのが、この代になってずっと考えてきたことです。

嶋田 この代が始まって、4年生で色々ミーティングしていく中で、この4年生に勝たせてあげたいというチームにしようということを発足当初から考えていました。そのために4年生が愛される、勝って送り出してくれるような後輩にしたい、そういうチームを作りたいという想いでいました。

 裏テーマですね(笑)。

吉村 愛されるということもありますが、もう一つに『ヒーローであれ』というのを掲げていて、出る選手はもちろん目立つのですが、それ以外にも焦点を当てて、一人一人がしっかり見ていくことで、お互いに下級生の裏方の部員も、部の一員だということが感じられて、感じられるから、そういうふうにしてくれた4年生には勝ってほしいと思われるというところを目指してきました。

――今年の部の雰囲気は

 4年生は、1年生の頃から仲が良いと言われていたのですが、その仲の良さゆえにチームの締まらなさだとか、細かいところで馴れ合いのようになってしまった部分がありました。それがチームの不調だった時期と重なるのですが、そこでチームを変えていくというよりかは、自分たちが変わらないといけないという話を何度もしました。お互いに仲が悪くなるくらいまで厳しくやっていこうというのを話して、今は仲の良さを残しつつ、やる時はやるという雰囲気になっている、と、いいな(笑)。4年生としては、そういう厳しさをもってやっているつもりです。引退したらみんなで南の島に行こうという話をしています。そこで仲直りしようかな(笑)。

――4年生としてチームを引っ張る上で大変だったことは

嶋田 自分はあんまり言葉に出して引っ張っていくというようなタイプではないし、しゃべりも苦手で、いつもちゃんとした先輩でいるのができないので…。大変だったことは、やる時はやる、と合宿生活の中で休憩時間のメリハリをつけるのが課題でした。今になってようやくできてきているかなと思います。

――470チームの雰囲気は

吉村 僕ら3人はリーダーシップをとるということがそんなに得意ではなくて、例年の4年生をみていくと、しっかり引っ張ってくれたりとか、厳しく詰めるところは詰めるという感じだったりしたのですが、僕らはそれにずっと引っ張られてきた感じだったので、そういうのは苦手ではありました。その中で、田中美紗樹が大会に出てしまった時にどう引っ張るかというところで、相当苦労しました。しかし、3人が順番にその日のリーダーを決めて、ちょっとずつお互いが支え合いながら、3人で作っていくという感じでやっていくと、そこで後輩も、僕らを信頼してくれてついてきてくれて、やっと形になったのだなと思います。

――スナイプと470チームの雰囲気は違うのですか

 スナイプと比べると、470がドライでスナイプの方がアットホームという感じです。

嶋田 チームの雰囲気にも関係するのですが、上下関係が良くも悪くもあまりなくて、下から意見をくれたりだとか、ここどうやっているんですかだとか、ちゃんと教えると言うよりは気軽なアドバイスのような感じで、コミュニケーションから生まれるアドバイスが多いので、チーム全体としてアットホームな感じではあります。

 仲の良いチームです!

「今は(ヨットを)選んでよかったと思っています」(嶋田)


合宿所での生活やオフの過ごし方について笑顔で話す嶋田

――競技面でお互いについての印象はいかがですか

 話したことないね。

嶋田 全くないね(笑)。

 ここはもうバチバチのライバルなので。

吉村 なんだろうな。嶋田は初心者から始めて、1番近いと感じていたのですが、1年生の冬頃から嶋田はうまいというふうに言われていて、先をいかれるじゃないですけど、運動神経が良いしセンスが良いと感じていました。初めてやることでもすぐにできてしまうので、僕は成長が遅いタイプだったのもあって、なかなか追いつくのが大変だと思っていて、常に目標となる選手でした。秦は最初から経験者としてずっと先をいっているなと感じていて、もちろん嶋田のように追いつくというのもそうでしたが、嶋田とはまた別で、どうしたら秦みたいになれるかなというところを考えながら、真面目さや陸での態度も見習いつつ、陸でも海でもお手本にしてきたような選手です。

嶋田 なんだろうね、考えたこともない(笑)。気にしたことなかった。自分は技術的なことを言うと、タックやジャイブなどの動作に対して丁寧ではない方なので、毎回同じタックだとか同じように動くというのが苦手なのですが、秦はそこをルーティーン通りしっかりしていて、毎回やっていることが違うというのではなく、基本をしっかりやっているなという印象です。吉村は自己流(笑)。基本を守った上で、自分のやりやすいようにアレンジしています。二人ともすごい選手です!

 吉村は着々と積み上げている過程を見てきて、1年生の冬は割と厳しい練習をしていたのですが、そこの頑張りがすごかったね?

嶋田 確かに(笑)。1番手の皮がベロンベロンになってなかった?

 嶋田はその冬や夏の練習の中でちょくちょく休むんですよ(笑)。その中で吉村は、みんなが落ち込んでいる時も、一人頑張ってきたし、一生懸命やっている時も変わらず頑張れるタイプだと思っています。すごく冷静でチームの置かれている状況をよくわかっている選手です。4年生に一人そういう選手がいるのはありがたいし、よかったなと思います。嶋田は1年生で入った時から僕もうまいなと思っていたのですが、1年生の時に、2年生や3年生くらいからレギュラーを争っていくんだろうなと思っていて、やっぱり3年生の時に一緒にインカレに出られるようになって、最初は僕が経験者だったので危機感があったのですが、3年生では一緒に戦ってこられるチームメイトになって、見習うところもいっぱいあるし、教えることはないので、競技の話はせず、ここまできてしまったのですが、言わないけれどお互い気にしているという感じです。

――ヨットを始めたきっかけは何ですか

嶋田 僕は祖父が慶應のヨット部で、家が湘南の方ということもあって、祖父がやっていたヨットってどういうものなのだろうと興味を持ったのが最初です。自分の中で大学に入ったら体育会に入りたいなというのは思っていて、中途半端なことはしたくないなと思っていました。そこからどれを選ぼうかということを考えて、ずっとサッカーをやっていたので、サッカー部に入りたいという気持ちもあったのですが、自分の実力では無理なんじゃないかと諦めてしまってヨット部に入りました。最初は挫折からヨットを選んだのですが、今では選んでよかったと思っています。

吉村 僕は最初サークルに入ろうと思っていたんですけど。

嶋田 嘘でしょ、今じゃ全然考えられないじゃん(笑)。

吉村 そこそこ運動する真面目なサークルに入ろうと思っていたんですけど、中学の頃ハンドボールをやっていたので、ハンドボールサークルに。でも、早稲田ヨット部のチラシをもらった時に、ふと早稲田ヨット部ってかっこいいんじゃないかと思って、その時に他のサークルの新歓に行かないでヨット部の新歓に行ったら、合宿の雰囲気も楽しそうで、活気あるチームだなと思ったので、脇目もふらず入ってしまいました。

秦&嶋田 (笑)。

 僕は中学の頃は水球をやっていて、高校で別の競技で日本一を目指したいなと考えた時に、ヨット部があるぞと知って、ヨット部がある学校で高等学院を受けて。

嶋田 ヨット部ありきだったの!?

 そう。大島海洋国際とか考えて、霞ヶ浦は遠いなと思って、磯部は県立だから入れないやで、結局慶應と早稲田受けて。だからもしかしたら今慶應の470チームだったかもしれない。それで、大学まで7年間やるつもりでヨットを始めました。

――プライベートな面でお互いどのような印象を抱いていますか

嶋田 秦は自分の時間を大切にするというか、学業も忙しいと思うんですけど、その中でも映画とか本とか一人で、一人かよくわからないんですけど(笑)。たぶん一人でなんかやってるなという印象です。

 知的な性格なんです(笑)。

嶋田 吉村は何してるんだろ。

吉村 知らないでしょ? 全く知らないでしょ?

 ずっと携帯で漫画読んでるよ(笑)。

嶋田 ゲームとかやってるなと、クソゲーやってるなと、そういう印象です。

 実際何やってるの?

吉村 普通にユーチューブ見たり(笑)。嶋田は何やってるんですか。

 下級生の頃はいろんな噂を聞いてましたけど今はわからないです。

嶋田 今はもう何も。すごい落ち着いています(笑)。

――学業との両立は大変でしょうか

吉村 たぶん僕ら二人は大変じゃないんですけど、秦は。

 1年生の頃から理工学部で実験が必修であって、これを欠席すると留年に限りなく近づいてしまうんですけど、まず成績云々ではなく出席できるかという戦いが始まって、インカレが始まっても一日だけ朝合宿所から実験一日中して、夜帰るという生活をしていたり、レポートが月曜日提出だったので、合宿所でみんなが寝た後お風呂場で書いたりということをしていました。だから、今下級生も同じことをしていると思います。

――オフはどのように過ごしていますか

 夏はオフがなくて、というのも、研究室に所属しているので、夏休みもお盆休みだけでずっと実験してるんですよ。そこを僕はめちゃくちゃ抜けて部活に来ているので、オフはちゃんと理工学生としての1日を過ごして部活に行くという生活をしていました。

吉村 夏休みのオフだと、僕は普通に疲れていたので寝たいなという気持ちでした。秦みたいな感じじゃなくて、しっかりとオフしていて(笑)。基本一人で過ごすんですけど、朝9時くらいに起きて、きょう何しようかな、と考えながら朝ごはん食べて、でも基本的にユーチューブ見たり漫画読んだりゲームしたり。

 予想通りだったわ!もっと驚きが欲しかったんだけど(笑)。

吉村 基本リフレッシュしていました。合宿所より快適な環境で。合宿所はWi-Fiがないので。

嶋田 僕も吉村と同じような感じで、ゆっくり起きて自分もアマゾンプライムで映画見て、友達と会うために外に出て帰ってという感じです。

――合宿所について教えてください

 人数が多いというところから色々始まっていて、暑いし、建物自体は素晴らしくて冷房もあるんですけどね。あと、4年生になっても廊下で寝てるっていうか、学年関係なく、全員入りきらないんで(笑)

嶋田 合宿所ってそういう場所だと思っているので、ただ単に寝るところという認識です。

吉村 人って半径何メートル以内に人がいると不快感を覚えるってあるじゃないですか。それを軽く超えてくる、余裕で全員超えてくるんですよ(笑)。そこの辛さが1番なのかなと。普通に布団敷いていても上を通ってきて、水垂れてきたりとか、足踏まれたりとか普通にあります。

  嶋田 海老原(海老原崇、法3=埼玉・川越東)がよく踏んできますって書いておいてください(笑)。100パーセント足を踏んでくる。

――引退後にやりたいことはありますか

 僕は半年くらい前からやりたいことリストを作り始めて、こういうのって引退前はこれやりたいって思っても、引退後になると忘れてしまうので、今回は違うぞと思っています。まず、登山に行く。入江(入江裕太、スポ4=神奈川・逗子開成 )と小松コーチ(小松一憲コーチ)と約束して秋の山に行って一泊するというのを絶対やりたいです。入江はコーチに人生の相談とかしています(笑)。

嶋田 自分は終わったらちょっと休んで、全然バイトをしていないので、ちゃんとやって親孝行するのと、ちゃんと就職活動しないといけないと思っています。遊び的なことで言うと、自分はすごく体を動かすことが好きなので、友達に青学ヨット部で浪人して今3年生の人がいるんですけど、ずっと二人で話しているのがB M X!

秦&吉村 (笑)。

嶋田 自転車のかっこいいやつで、二人でカッケーなって話してて、一昨日も二人でB M Xのショップに行って、これ買お、バイトしよって二人で話してます(笑)。渋谷の夜の街に行きます!

吉村 人間科学部で理系的なゼミに入ったので卒論はとりあえずやるんですけど、それに支障が出ない程度にプレステ4を買いたいなと。

秦&嶋田 (笑)。

吉村 僕はしっかりゲームをしたい人で、1年生の頃はP S Pとか持っていったりしてたんですけど。

 合宿所に?

嶋田 怒られたんだよ(笑)。

吉村 秦に注意されて、持って来ない方がいいのかなと思って、その頃は消灯後、夜な夜なやってたんですけど、今はケータイゲームで我慢してます。

嶋田 そうだよ、モンスターハンターやってたよ!一人狩りしてたよ(笑)。

 それ俺が注意したの?

吉村 そう。それやめた方がいいよって。

全員 (笑)。

吉村 言われたからそうなんだって思って我慢してます。

「サポートが鍵」(秦)


インカレへの抱負を語る秦

――インカレに向けて心がけていることはありますか

吉村 微風や無風状態になるとレース数が少なくなったり、D N Fなど自分たちだけではケアできないことが出てきたり、タイムリミットが過ぎてしまって英語(※)がついてしまう可能性があったりするので、そのストレスと常に戦わなきゃいけない大会になると思っています。僕は得意ではないんですけど、常に落ち着いて競技に向き合えるので、そういった時に周りの雰囲気を気にしながら、負けている時も勝っている時と同じようにしながら、チーム全体で盛り上げていきたいと思います。

嶋田 微風のレースが予想されるので、我慢をしないといけないとたくさんあると思いますし、競技中であってもバタバタ動かないということであったり、自分はじっとしていることが苦手なので、我慢強く待つということを意識してインカレに挑みたいです。微風なので、よく知らない学校が前にいたり、自分たちはいつも前にいるのに後ろの方を走っていたりということが予想されます。順位の入れ替わりが激しくなると思うので、後ろにいるからと言って、船の中の二人の雰囲気っていうのを悪くしないように、いつでも目の前の一艇を抜けるような努力を二人で、またチーム全体で心がけていきたいなと思います。

 チームとしては前回の蒲郡が終わって、西宮に変わるというところで、何が重要になってくるかというのはわかっています。具体的には、長いスタートラインで短いコースというコースです。蒲郡とは全然違う戦いになるという時に、微風でいかに練習できるかというところを心がけています。風が全くない中でも、海に出て風の吹き方を観察して、不規則な風の中でどう安定させて走らせるかというのをやってきました。

――あと2週間ということですが、どのようなお気持ちですか

 僕は寂しくなってきました。小学校から水泳をやってきて、ヨットを7年間、何らかのスポーツ選手でここまできたのが、そうではなくなるところがもうそこまできているので、そこは寂しいですね。

嶋田 自分も口では早く引退したいとか、もうちょいだとか、言っているのですが、あと2週間あまりで引退してしまうということで・・・。

 あっ、僕が言ったの嶋田が言っていたやつだ。嶋田が合宿所で言っていたことを自分のことのように話してました(笑)。聞いていて確かにそうだなと思って。

嶋田 自分もこれまで何かしらの競技をやっていて、このまま社会人になるまでに真剣にスポーツに取り組むということはなくなってしまうのかなと思うと少し悲しいなと思っています。何かに真剣に取り組んだり、みんなで優勝を目指したりということはないので、その時間を楽しみつつ最後までやっていきたいです。

吉村 夏休みくらいまではまだ期間があるな、長いなと感じていたのですが、夏休みが終わると一気に秋インカレが始まって、それも終わってしまって、こういったインタビューも始まって、いよいよ大会に向けてという気持ちになっています。もう終わっちゃうんだなという寂しさもありますが、終わることに実感が持てなくて、終わった時の状況を想像できなくて、終わった瞬間にどういう気持ちになるのかというのがわからないので、それが楽しみでもあり、悲しさでもあります。

 もう抜け殻になっちゃうだろうな。

嶋田 金曜夜とかどんな気持ちで迎えるんだろう。

 アナザースカイを見られるのが嬉しい(笑)。

――インカレにプレッシャーなどは感じていますか

嶋田 プレッシャーというよりも最後4年生で、チーム全体で笑って、集合写真を撮ってという思いが強いです。しっかりみんなが自分たちの実力を出せればうまくいくと信じています。

吉村 最後の大会なのでおかしいかもしれないのですが、自分はできることしかできないと思っていて、その考えでいくとプレッシャーを感じるのは大事なのですが、緊張しないようにというところにもっていかなくてはいけなくて、僕がもし出場するとしたら今年最初で最後という形になるので、緊張すると思うのですが、できることしかできないという気持ちでいきたいと思います。

嶋田 緊張する?

吉村 しない(笑)。でも、春インの時、緊張しないかなと思ったのですが、気づいたら頭がフワフワした状態になっていて、もしかしてこれが緊張なのかなと、自分でもちょっとわからないのですが、まとまらないなあみたいな。

嶋田 全日本個人戦の方が緊張して、全日本インカレはチームで戦うのでみんながいるから緊張しないのかなと思います。

 1つは他の大学のメンバーももう顔見知りで会話をするような仲なので、会場で戦っても練習と同じような気持ちで臨めるというのはあります。もう一つは嶋田が言った通り僕一人じゃなくて全員で戦っているので、そんなに気負わず自分の役割を果たしていくということだけを考えれば良いので、そんなにプレッシャーは感じないです。

――インカレのキーマンは

嶋田 自分は一緒に乗っている小泉(小泉凱皇、スポ2=山口・光)かなと思っています。今470チームが慶應と日大に対して遅れをとっている部分があるので、そこにいかに僕たちが食い込んでいけるかという部分で、秋インカレの感じで微風を走って調子は良かったのでキーマンかなと思います。

吉村 今の470チームだとまず田中は間違いなく走ってくれるなと、会場的なところでも割とホームではあって、信頼しているので特に怖くはないなと思っています。そこで、インカレ初めての倉橋(倉橋直暉、スポ1=福岡・中村学園三陽)や小泉もそうなのですが、この二人がしっかり収めれば早稲田全体がいい順位という結果になりうるので、そこの二人が微風でもしかしたら走れないかも、という状況のなかでどう走ってくれるかというのが重要かなと思います。

 僕はサポートメンバーです。メンタル的なところではなくて、インカレの戦い方では艇の数があまりにも多くて自分たちの順位がわからず、ライバル校の順位もわからないという中で、4日間で11レースというハードなコンディションで、今回予定通り行われるかもわからないので、選手だけの力では戦い方も決められません。レースの各校のポイントを短い時間で計算して出したりだとか、風が弱いと後ろが伸びてレースが長引くし、早稲田がどこにいるかもわからないので、短い時間でアドバイスや栄養補給でサポートしてもらうというところの割合が例年より重要になってくると予測しています。それ以外にも感情の部分で絶対一筋縄ではいかない試合となると思うので、落ち込んでいる時に、暗くならないで、明るく盛り上げられるかというところが最終的な勝敗につながってくると思うので、サポートが鍵だと思います。

――インカレに向けて意気込みをお願いします

吉村 とりあえず最後の大会で、今後もうヨットに乗ることはないだろうなと。

 そんなこと言うなよ!

全員 (笑)。

吉村 しっかりヨットを噛み締めて、ヨットを味わいつつ、全員で勝っても負けてもみんなで笑って終わりたいなと思っているので、もちろん優勝を目指してやっていくのですが、全員がこの一年間ここまでやってこられて良かったなと思えるように、最後まで走りたいと思います。

嶋田 自分はスポーツマンとして最後の競技、最後の2週間になると思うので、有終の美を飾って、おじいちゃんになった時に孫や息子に自慢できるようにしたいなと思っています。

 西宮という場所で2013年にもインカレがあって、その時は総合4位で負けてしまっているので、その時の副将の方が学院の先輩で僕のヒーローだと思っているのですが、その先輩方の思いものせてリベンジしたいと思っています。

――ありがとうございました!

※英語…ヨット競技では反則、失格などを表す

(取材・編集 内海日和、町田華子)


インカレにかける思いを書いていただきました

◆嶋田篤哉(しまだ・あつや)(※写真左)

1997(平9)年8月21日生まれ。179センチ、70キロ。神奈川・鎌倉学園高出身。文化構想学部4年。おじいさまが慶應のヨット部だったという嶋田選手。自分がおじいちゃんになっても息子や孫に自慢できるようにと話してくれました。嶋田選手の走りで早稲田を有終の美へ導きます!

◆秦和也(はた・かずや)(※写真中央)

1997(平9)年7月10日生まれ。175センチ、67キロ。東京・早大学院出身。理工学部4年。470級クルー。ヨットで日本一をとるために高校を選び、日本一を目指してきた秦選手。今年は主将として日本一を目指します。陸でも海でも頼れる主将の最後の走りに期待大です!

◆吉村大(よしむら・だい)(写真右)

1997(平9)年2月20日生まれ。175センチ、69キロ。埼玉・県立浦和高出身。スポーツ科学部4年。本当はしっかりゲームをしたい人間なのだと話す吉村選手。早稲田のヨット部ってかっこいいんじゃないかという気持ちが始まりで入部されたそうです。持ち前の冷静さを武器に最後のインカレで華を飾ります!