第1回はマネージャー対談。選手たちを常日頃近くで見ている3人に、部の雰囲気や、ヨット競技の魅力を伺いました。普段からとても仲が良い3人らしく、笑顔の絶えない和やかな対談になりました。全日本学生選手権(全日本インカレ)への意気込みにも注目で…

 第1回はマネージャー対談。選手たちを常日頃近くで見ている3人に、部の雰囲気や、ヨット競技の魅力を伺いました。普段からとても仲が良い3人らしく、笑顔の絶えない和やかな対談になりました。全日本学生選手権(全日本インカレ)への意気込みにも注目です!

※この取材は10月16日に行われたものです。

「自分で何か作れたらかっこいいなと思って」(大西)


入部を決めた経緯を話す大西

――ヨット部のマネージャーになろうと決めた経緯を教えてください

大西 もともと体育会に入ろうと思っていて、自分は小学生の時にOPという小さいヨットに乗っていたので、その経験を生かしてマネージャーをやってみたいなと思って決めました。

外山 私は大学入るまでは全然ヨット知らなかったんですけど、新歓の時にチラシをもらって、それを見てかっこいいなと思って試乗会に行ってみたら、先輩たちがみんな優しくて是非マネージャーをやってほしいと言われたので、自分も高校の時は女子高だったのでマネージャーとかなくて、大学に入ったらやってみたいなと思っていたので、入りました。

饒平名  私はもともと水泳部だったので、大学ではどうしてもマリンスポーツをやりたいなと思っていて、見つけたのがヨット部で、最初は選手がいいなと思っていたんですけど、お金の問題でマネージャーにしました(笑)。マネージャーでも全然活躍できるし、ボートに乗って一緒に見ることもできるしと思ってマネージャーにしました。

――大西さんは選手という選択肢は考えなかったですか

大西 もともとマネージャーには憧れがあったのと、私が入る時はまだマネージャー文化がなくて、先輩が「君が入ってくれたら君からマネージャー文化を作れるよ」ということを言ってくださって、自分で何か作れたらかっこいいなと思って決めました。

――早大の体育会はハードなイメージもありますが、抵抗はなかったのですか

大西 私は結構就活を意識していたので、体育会の方が有利かなということも思いました。

外山 私は理系ということもあって最初はすごく迷ったんですけど、ヨット部は理系の先輩がすごく多くて練習が土日だけなので授業とも両立できるよと言われて決めました。

――学業との両立は大変ですか

外山 今のところなんとかなっています。友達の力を借りています(笑)。

大西 文学部は楽なので正直余裕ですね(笑)。

饒平名 私は人間科学部なんですけど、ゼミに入るのに必要な科目を1年生の時に落としてしまったのがあって、みんなより半期遅れて取らないといけない授業があるのでちょっと大変です。

大西 体育会だと上位10%のGPAだと表彰されるという制度があるので、それがモチベーションになっています。

外山 真凛さんは毎年表彰されてます!

――普段のマネージャー業務の内容を教えていただけますか

大西 学年ごとになんとなく仕事が分かれていて、1年生は献立を作ってくれたり、実際に1年生を引き連れて買い出しに行ったりとかご飯を作ったりとか陸上での仕事が多いです。2,3年生はレース分析をしてくれたり、実際に海に出てマークを打ったりとか練習の運営を手伝ってくれたりします。萌々(外山)は会計の仕事もしてくれています。4年生は基本的にずっと海に出ていて、運転したりとか、練習運営のリーダーをやっています。

――レース分析は練習の運営ができるようになるまでには、ヨットの勉強が欠かせないと思いますが、どのようにして習得したのですか

外山 1年生の時は同じく大学からヨットを始めた選手が多かったので、みんなで先輩から教えてもらうみたいな感じでした。

饒平名 私の代も人数が多くて、スポーツ推薦の人も多かったんですけど、それと同じくらい大学から始めた人も多かったので、みんなで先輩から学んでという感じでした。

――スポーツ推薦組と一般入試組は同じくらいの人数ですか

大西 一般の方が多いですね。年々経験者で入ってきてくれる子が増えているんですけど、たとえば私の代だと10人中経験者は3人で、うち1人は学院ヨット部っていう遊びみたいな感じです(笑)。

――経験者と未経験者が両方いることが良く働いている部分はありますか

外山 監督がよくおっしゃっているのは、早稲田にはそういうバックグラウンドが様々な部員がいるからここまで強くなれたんだということです。確かに私もそうだなと思う時があります。ヨットだけやってきた人と、それ以外を見てきた人だと視点とかも違うし、そういうのが早稲田の強みなのかなと思います。

――大会運営にも携わるのですか

大西 私たち3人とも学生連盟に所属していて、インカレレースの運営もやっています。

――他大のヨット部さんとも交流があると思いますが、他大に比べて早大のヨット部の魅力はありますか

大西 各学年1人ずつしかいないので、一人一人の重要性が大きいなということは感じています。

外山 私の同期は事あるごとに「いつもありがとう」って言ってくれて…。

大西 素敵!

饒平名 うらやましいですね(笑)。

外山  そういうのを言ってくれるという話をすると「早稲田っていいね」って言われます。それがやる気に繋がります。

饒平名 同期はスポーツ推薦が多くて、結構ヨットで有名な人が多いので、〇〇君のことについて教えてとか言われたりします。それは同期として勝手にちょっと誇らしいです(笑)。

――やりがいを感じるのはどんな場面ですか

大西 私が入部した時はマネージャーというものがなくて、学年を追うごとにプレーヤーだった先輩がマネージャーになってくれたり、萌々(外山)とか千秋(饒平名)が入ってきてくれて、どんどん人が増えて仕事も確立していって、最初の方は「マネージャーなんかいらない」ということを言う人もいたんですけど、今はマネージャーがなくてはならない存在になっているので、組織としての成長を感じるとともにマネージャーをやってきて良かったなと思います。

――反対に辛かったり、大変なことはありますか

大西 報われないなと思うことはありますね。頑張っても気づいてもらえなかったり、「ありがとう」って言ってほしいなと思ったりすることはあります。

外山 同期が「ありがとう」って言ってくれるのと、さっき真凛さん(大西)がおっしゃっていたようにだんだんマネージャーの仕事が確立されてきていることがあって、特に今年の秋イン(関東学生選手権)ではレスキューボートの責任者に任命していただいて、それまでは乗せてもらっているというかんじだったんですけど、主体的にサポートしないといけないんだという意識で臨めて、自分も参加していると感じてやりがいにつながったと思います。大変なことは夏休み中は週6とかで練習しているので体力的に結構疲れることですね。

饒平名 私が入ってきた時すでに4年生までマネージャーがいて、その段階でほぼほぼマネージャー業務が確立していたので、1年生の時は本当にただひたすら仕事をこなすというだけだったんですけど、2年生になって1年生のマネージャーが入らなかった時に、1年生と協力して色々献立を決めたりとか、買い出しリストを作ったりしている時に、やっぱりマネージャーって必要だなと感じます。同期は感謝してくれないんですけど(笑)、でもふとした時にすごく心配してくれたり、さりげなく重いものを持ってくれたりする優しさはあります。

「自然に向かっているところが本当にかっこいい」(饒平名)


ヨット競技の魅力を話す饒平名

――週1日のオフはどのように過ごすのですか

大西 合宿中に仕事が消化できないことが多いので、仕事をすることもあるし、ずっと葉山で合宿のときは週1で家に帰るのも面倒なのでずっと葉山にいて、散歩したりしています。

外山 私も葉山を散歩しています。結構葉山散歩するの楽しいので。ブレドールというパン屋さんがとても美味しいです。結構遠くて山を越えた先にあるんですけど(笑)、1日あるので歩いて行ってモーニングをそこで食べています。

饒平名 私は意地でも家に帰ります(笑)。友達と遊んだりとかバイトしたりとか、ヨット以外のことを絶対にしようと決めています。

――日焼け対策はどうしていますか

外山 私は海で帽子をかぶってサングラスをしてフェイスガードをしていました。ご飯食べる時と飲み物を飲む時しか顔を出さないようにしていました(笑)。

大西 今年編み出したやり方なんですけど、朝日焼け止めの上から厚塗りの化粧をしたらあまり焼けなかったです。

饒平名  私は自然のなすがままに任せていました(笑)。

――合宿所での生活はいかがですか

大西 ありえないことをしているなと思います(笑)。

一同 (笑)

大西 でももう当たり前になっちゃいました。

饒平名 1年生の時は本当に葉山の合宿所が嫌だったんですけど、1年経ったら慣れちゃいました。

外山 狭いし、寝る時が特に狭くて、「布団って重ねて寝るんだ」って驚いたんですけど…。でも慣れました。

大西 女子部屋に入り切らなくて廊下に女子が寝ていたんですよ。でもそれが監督に発覚して「そんなことするな」って無理やり女子部屋に詰め込まれました(笑)。

――女子部員が少ないと思いますが、大変なことはありますか

大西 あまり女子だからどうみたいなことは感じないですね。いい意味で女子扱いされなくて、平等に扱ってもらえるので、暮らしやすさはあります。

外山 その分女子の団結力が強いので、そんなに暮らしづらいとか思ったことはないです。

饒平名 少ない分逆に女子同士がすごく仲が良いです。

――各学年はそれぞれどんな雰囲気ですか

大西 代々の先輩方は本当に真面目で硬い感じだったんですけど、私の代は楽しいことが好きで、チャラいというかちょっとくだけているなと思います。

饒平名 良くも悪くも個性が強いですね。本当にジャングルみたい(笑)。にぎやかです。

外山 2年生ほど個性は強くないけど、みんなちょっと最近大人になりました(笑)。3年生になって、もうそろそろ自分たちがトップになるからっていう緊張感が最近出てきたと思います。

大西 最近3年生すごく頼もしいなと感じます。

――皆さん学年を越えて仲が良いように見受けられますが、日頃から親しいのですか

大西 マネージャー仲良いよね。マネージャーミーティングというのを毎日やっていて、そこで愚痴を言い合ったり、部のために何ができるかみたいな話をしたりして、コミュニケーションを取る時間を大事にしているので、仲良くなりました。

饒平名 私の家でマネ会みたいなことも1回しました。本当にこのメンバーで良かったです。

――お互いの印象を話していただけますか

外山 真凛さんは部活でも学連でもすごく仕事ができる人だと思っていて、逆に学連だと「真凛さんの後輩なんだね、じゃあできるよね」って言われて(笑)。プレッシャーを感じます。

大西 仕事ができるふりをしているだけなので(笑)。 千秋(饒平名)は私の下級生の頃と重なるなと思っていて。頑張り屋さんで一人で頑張っちゃうところとかも似ているなと思って、周りを頼りなさいと思っています。

饒平名 そういう面では、真凛さんは私が一人で抱えてしまって苦しい時に声を掛けてくれるので本当に嬉しいです。萌々さんは入った時に一番最初に仲良くなってくれた人だと思っていて、色々ヨットの知識とかも教えてくれて本当に頼りになる人だと思っています。わからないところとかもすぐ萌々さんに聞いちゃいます。

――3人が考えるヨットの魅力は

外山 自分には絶対にできないと思うことがよくあって、風が強い日に船がひっくり返りそうになりながらヨットを操っているところとか、逆に風が全然ないように思えるのにヨットを進ませているところとか、そういうところが魅力だと思います。

大西 フィジカル面だけじゃなくて、総合力を試される競技だなと思っていて、ただ筋肉があるだけじゃ駄目で、風を読んだり波を読んだり空を読んだり先を予測したり、いろんなデータを自分の中で集約して協議に生かしていかないといけない、すごく複雑な競技なので、その複雑さが競技の面白さだと思います。

饒平名 単純にすごくかっこいいなと思います。自然に向かっているところが本当にかっこいいなと思います。

「客観的に声かけることと、笑顔でいること」(外山)


インカレに向けて抱負を語る外山

――インカレ連覇を目指していますが、いまの部の雰囲気はいかがですか

大西 最近はサポートに力を入れようというふうに私の代で考えていて、3年生はサポートメンバーが多いんですけど、中心になって支えてくれています。4年生はほとんどレギュラーになっていて私しかサポートメンバーがいないので、3年生がいてくれてすごく助かっています。

外山 去年は春から勝っていて、他大に追いつかれるのから逃げるという感じだったんですけど、今年はスタートがちょっと遅れたこともあって他大に追いつかないといけないという感じだったんですけど秋インで優勝することができて、今までやってきたことが正しかったのかなと思っていて、このままいい雰囲気の中で勝てたらいいなと思います。

饒平名 2年生の中でも秋イン優勝できたということもあって、今度の全日本インカレで勝って絶対に4年生を胴上げするという気持ちが出てきています。ただあの重い人たちを持ち上げられるのかっていう会話はしていたんですけど(笑)。

一同  (笑)。

――インカレを控えて、マネージャーとして心がけていることはありますか

大西 客観的な意見を部に還元しようと思っていて、選手じゃないからこそ見えることもあると思うので、第三者的な視点で声を掛けるように心がけています。

外山 真凛さんと同じで客観的に声かけることと、笑顔でいることです。

饒平名 さっきも言ったように結構一人で抱えてしまうという部分もあるので、不安な顔をしないようにということを一番心がけていて、あとはサポートの選手でもレギュラーの選手にも同じように明るく接していこうと心がけています。

――インカレでキーマンになりそうな選手はいますか

大西 入江(裕太・スポ4=神奈川・逗子開成)ですかね。

外山 ですよね。

大西 メンタルがかなり課題なんですけど、メンタル面はマネージャーでケアしていこうと思います。

外山 私は入江さんと美紗樹さん(田中・スポ4=大阪・関大第一)ですね。入江さんはさっき真凛さんがおっしゃっていた通りなんですけど、個人的にも合宿所とかで結構お話をして下さることが多いので、最後4年生として走ってほしいなと思っています。美紗樹さんは470級チームリーダーというのもあるし、西宮で小さい頃から練習していらしたので、今年の早稲田を引っ張ってくれる先輩だと思うのでキーマンだと思います。

饒平名 私も入江さんと美紗樹さん。入江さんは多分メンタルと一緒に成績も動くと思うので、本当に良い成績を残したらいいところで安定して走ってくれると思います。美紗樹さんはやっぱり地元というのもあるし、早稲田にとっては一番期待がかかる選手だと思うので、プレッシャーもあると思うんですけど、美紗樹さん自身が一番安定するやり方で走ってくれればなと思います。

――最後にインカレに向けて抱負をお願いします

外山 インカレでは絶対に総合優勝をしたいと思っています。その力になれるようにサポートチームをまとめて、サポートでミスをしてそのせいで負けるということが絶対にないようにしたいと思っています。あとは、インカレって4日間あって長いので、調子が悪い日とかもあると思うんですけど、そういう時こそ笑顔で選手みんなに話しかけてチームの雰囲気を盛り上げていきたいと思います。

饒平名 まず絶対に優勝して4年生全員を胴上げしたいです。私は自分にできることを完璧にこなせるようになって、陸でも海でも少しでも選手の支えになれればなという気持ちで、毎日過ごしたいと思います。

大西 私も絶対に総合優勝をして笑顔で引退したいと思います。競技力だけじゃなくてサポート力も早稲田は日本一だよねって言ってもらえるように頑張ります。

――ありがとうございました!

(取材・編集 町田華子、大島悠希)


3人で仲良く「集大成」と書いてくれました

◆大西真凛(おおにし・まりん)(※写真左)

1997(平9)年9月9日生まれ。156センチ。茨城・並木中教校出身。文化構想学部4年。マネージャー文化のなかったヨット部で、マネージャーの業務を確立してきた
4年間。集大成となる全日本インカレで、選手と共に総合優勝を目指します!

◆外山萌々(とやま・もも)(※写真右)

1999(平11)年2月1日生まれ。156センチ。東京・桜蔭高出身。先進理工学部3年。「笑顔でいること」を大事にしていると、言葉の通り素敵な笑顔で話してくれました。全日本インカレ期間中も明るく選手を支えてくれることでしょう。

◆饒平名千秋(よへな・ちあき)(※写真中央)

1999(平11)年11月15日生まれ。157センチ。東京・青陵高出身。人間科学部2年。1年生にマネージャーがいない中、奮闘する毎日。全日本インカレでは全員で喜びを分かち合い、4年生を胴上げできるといいですね!