関東大学ジュニア選手権最終戦。20日の段階で全勝の帝京大の優勝が確定し、次点を巡って争われた今試合。早大の出足の速いディフェンスで思うように攻撃ができず1点差で前半を折り返す。後半は左ロック辻惇朗(政経4=常翔学園)のビックゲインなどが…

  関東大学ジュニア選手権最終戦。20日の段階で全勝の帝京大の優勝が確定し、次点を巡って争われた今試合。早大の出足の速いディフェンスで思うように攻撃ができず1点差で前半を折り返す。後半は左ロック辻惇朗(政経4=常翔学園)のビックゲインなどが要所で見られ、一進一退の攻防も明大に軍配が上がった。

10・27 関東大学ジュニア選手権(八幡山グラウンド)

対早大戦

 〇明大26{14ー13、12ー10}23早大

 ラストワンプレーが試合を決めた。4点ビハインドで迎えた後半残り1分、集中力を切らさずプレッシャーをかけ続け、早大のノックオンを誘発。敵陣ゴール前でマイボールスクラムを獲得した。「絶対に取り切ろう」(ゲームキャプテン・右ウイング矢野湧大・文4=大分舞鶴)。1つのミスも許されない状況にグラウンド中に緊張が走る。「セット!」のコールと共に素早くボールを蹴りだすと、持ち出したナンバーエイト小澤翔(情コミ2=桐蔭学園)がゴールラインあと一歩のところまでゲイン。最後は途中出場の大賀宗志(営1=報徳学園)が右中央に押し込んだ。「意地でつかんだ勝利」(田中澄憲監督)。劇的な幕切れで勝敗が決した。

 もう一つの戦いが存在した。今試合は両校共にハーフバック団が1年生という布陣。早大は7人制ユース日本代表兼高校日本代表の世代別トップキャリアを誇るスクラムハーフ小西泰聖(桐蔭学園)とアンダー17日本代表の経歴を持つスタンドオフ吉村絋(東福岡)を起用。対する明大は丸尾祐資(商1=報徳学園)と齊藤誉哉(文1=桐生一)のバッテリー。昨年度の高校ラグビー界を先導した若武者達が大学のフィールドで再び火花を散らした。「意識したし緊張もした」(丸尾)。謙虚な姿勢とは裏腹に、昨週の同大戦に引き続き強気なゲームメークを見せつけた。

 昨年度王者として迎えた今回のジュニア選手権。初戦の帝京大戦(●0―61)で完封負けを喫するも「チーム全体の課題として取り組めた」(田中監督)。W杯休止期間は〝コリジョン〟と〝ユニティー〟に意識を徹底。最終局面の逆転トライは、まさにこの期間の集大成そのものだ。次週からは関東大学対抗戦が再開する。「毎試合必ず勝つ」(矢野)。追う立場から追われる立場へ。紫紺軍団は大学選手権連覇に向けさらなる飛躍を誓う。

[中村奈々]

試合後のコメント

矢野

――ジュニア戦を振り返っていかがですか。

 「帝京大戦で思うようなプレーができず、4年生がパニックになってしまいました。また下級生が自分のことで手一杯になるシーンもよく見られました。4年生が冷静になり、下級生をしっかりとサポートして“One team”になろうと。この6週間で本当に変わったと思います」

――ジュニア戦ならではの難しさはどこにありますか。

 「下級生が多いので、一つの目標に向かってチームをまとめることの難しさはありました。〝一選手として〟〝4年生として〟という側面で板挟みになってしまったこともありました。帝京大戦を経て、チームの調子が良くない時に田中監督にゲームキャプテンを任命されたので、最初はすごくプレッシャーでした。しかし4年生のサポートを受けつつ、残り3勝することができてホッとしています」

丸尾

――試合を振り返っていかがですか。

 「前半から自分たちのアタックはできていました。勝ち切れたことはよかったですが、自分たちのミスで3本トライを取り切れなかったことは反省です」

――今後に向けて一言お願いします。

 「自分に足りないところは相手の嫌がるプレーを考えながらやることです。今後経験を重ねてもっと成長していきます」