「練習でやってはいたけど、まさか甲子園の本番でやるとは思わなかったですね」■3回戦で秀岳館に敗戦も…“座り投げ”で甲子園はどよめき「練習でやってはいたけど、まさか甲子園の本番でやるとは思わなかったですね」 今夏の甲子園に出場したいなべ総合(…

「練習でやってはいたけど、まさか甲子園の本番でやるとは思わなかったですね」

■3回戦で秀岳館に敗戦も…“座り投げ”で甲子園はどよめき

「練習でやってはいたけど、まさか甲子園の本番でやるとは思わなかったですね」

 今夏の甲子園に出場したいなべ総合(三重)の控え選手が、自チームの捕手・渡辺雄太についてこう話していた。同校は惜しくも優勝候補(準決勝敗退)の秀岳館(熊本)に3回戦で敗れはしたが、強打に堅守を見せ、奮闘した。なかでも渡辺の強肩が目を引いた。

 許した盗塁は2つ。秀岳館戦では6失点し、強豪を封じることはできなかったが、「今までやってきたことは出し切れたと思います。すべてにおいて相手が上だったと思います」。特に4番打者の九鬼隆平捕手を徹底的にマークした。「ストライクで勝負してはいけない(強)打者。なのでボール球で勝負しようとバッテリーで話はしていました。でも、そのボール球をヒットにされてしまいました」。2回に九鬼に先制点のきっかけとなる安打をうまく打たれ、悔しさが募った。

 ただ、自慢の肩を披露した時は場内にどよめきが起こった。盗塁は許したが、渡辺はなんと、立ち上がらずに“座り投げ”で二塁へ送球したのだった。アウトにできなかったが、素早い送球。「コーチが練習で送球の矯正をする時に取り入れてくれた方法です。この送球の方法で安定すれば、立って投げていた」という。

■公式戦で“座り投げ”は初、お手本はメジャーNO1捕手

 スムーズな体重移動でのスローイングを元捕手のOBコーチから指導を受けていた。試合ではあまり使っていなかったが、俊足揃いの秀岳館を相手にして、闘争本能に火が付いた。公式戦で“座り投げ”は初の経験だった。

「動画で研究していました。メジャーリーグのモリーナの動画を見て、勉強しました」。カージナルスの正捕手として君臨し、8年連続ゴールドグラブ賞を受賞中の名手ヤディアー・モリーナらをチェック。メジャーNO1捕手を参考にして、その技術を磨いてきたという。

 渡辺はその強肩とリードが認められ、30日から始まるBFAアジア選手権のU-18日本代表メンバーに選ばれた。捕手は敗れた秀岳館の九鬼と2人だけ。実力のある捕手がアジアの頂点へとチームで引っ張っていくことになる。世界の舞台で“座り投げ”も見られるかもしれない。