栃木県ツインリンクもてぎで10月20日に行なわれた第16戦・日本GPの決勝レースは、現在のMotoGPの勢力図を象徴するような結果になった。 優勝はマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)。前回のタイGPで4年連続6回目の世界最高…

 栃木県ツインリンクもてぎで10月20日に行なわれた第16戦・日本GPの決勝レースは、現在のMotoGPの勢力図を象徴するような結果になった。

 優勝はマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)。前回のタイGPで4年連続6回目の世界最高峰タイトルを獲得し、シーズン10勝目となった今回の優勝でホンダのコンストラクターズタイトルも確定させた。



表彰台に立つクアルタラロ(左)、マルケス(中央)、ドヴィツィオーゾ(右)

「今日の決勝では、終盤まで誰かについて行って最後に攻める作戦か、あるいは序盤から引き離しにかかる作戦のどちらかにしようと思っていたけど、午前のウォームアップ走行でフィーリングよく走れたので、レース序盤から攻めることにした」

 マルケスは、1周目から単独走行に持ち込んだポールトゥフィニッシュの独走劇をそう振り返った。

 今回のマルケスは、土曜の予選でも速さを見せつけて最速タイムを記録したが、彼がツインリンクもてぎでポールポジションからスタートしたのは、MotoGPに昇格した2013年以降では、実は今回が初めての出来事だった。このポールポジションにより、マルケスは現在のMotoGP開催全会場でトップグリッドを制覇したことになる。

 ちなみに今回は、最高峰クラス124戦目で62回目のポールポジション。要するに、マルケスは2013年のカタールGPで最高峰クラスデビューを果たして以来、2戦に1回の割合で予選最速を記録してきた、ということだ。

 また、最高峰クラスの優勝数に関していえば、今回が54勝目で、ミック・ドゥーハンの記録に並び史上3位タイとなった。ジャコモ・アゴスチーニが持つ2位の記録まで、あと14。マルケスにとってはこの数字も、いわば〈時間の問題〉だろう。

 日本GPで2位に食い込んだのは、スーパールーキーのファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハ SRT)。前戦のタイGPでクアルタラロは、マルケスと最終ラップ最終コーナーまで熾烈な優勝争いを続けたが、今回は序盤にマルケスからやや引き離されたものの、レース中は後続を引き離しながら安定して2番手を走行し続けた。

「今日のマルクはとても速くて、1周目からついていくのはもう限界だった。でも、いい走りで2位に入れたのでよかった」

 そう話すクアルタラロは、マルケスがリア用にミディアムコンパウンドのタイヤを選択したのに対して、ソフトをチョイスしていた。高いグリップ力を引き出してレース中盤にマルケスに迫ったが、それに気づいてさらにひと押しペースを上げた相手のほうが、やはり技術も役者も一枚上手だった。

 とはいえ、今回の2位により、クアルタラロはルーキー・オブ・ザ・イヤーを確定。チームとしても、最高峰クラス初年度ながら、ファクトリー以外の全チームで争うインディペンデントチームランキングの首位を独走している。インディペンデントチームライダーの順位で見ても、クアルタラロはもちろんトップにつけている。

「(プレシーズンの)マレーシアテストの時から目標にしてきたし、思っていたよりも上々の結果。自分もチームもMotoGP初年度なので、インディペンデントベストの位置を勝ち取りたい」と述べたが、こちらもほぼ確実に手中に収めているといって差し支えないだろう。

 3位に入ったアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)は、いかにもこの選手らしい粘り強くクレバーな走りでしたたかな追い上げを見せ、表彰台獲得を果たした。

 3列目7番グリッドからスタートしたドヴィツィオーゾは、リアタイヤにミディアムコンパウンドを選択。安定したペースで3番手集団につけ、機をうかがいながら1台ずつ処理してじわじわと前へ出て行った。

 レース中盤で3番手に浮上した時は、2番手のクアルタラロとは4秒以上の差が開いていた。高水準のペースで淡々と走り続けるドヴィツィオーゾは、終盤にソフトコンパウンドのリアタイヤが消耗して苦戦するクアルタラロに照準を定め、最後は0.5秒差まで追い詰めた。

「ファビオが前で苦労しているのが見えていたので、頭のちょっと足りないライダーみたいに無茶気味なブレーキングで勝負をしていった。何度もフロントがロックしたけど、ブレーキは自分の武器だから、とくに(ハードブレーキングの)11コーナー(90度ターン)でかなり稼ぐことができた。

 タイヤが消耗してくるレース終盤は速く走れていただけに、タイヤがフレッシュな前半や予選でスピードを発揮できなかったことが惜しい。その部分は、今後に向けて改善の余地があるね」

 ちなみに今回の3位表彰台により、ドヴィツィオーゾは2001年のイタリアGPで世界選手権デビューを果たしてから310戦目で、レースキャリア100表彰台を達成した。

 次戦は、今回から2週連続開催になるオーストラリアGP。毎年激戦が展開するフィリップアイランド・サーキットでは、彼ら3名にアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)や地元出身のジャック・ミラー(プラマックレーシング/ドゥカティ)たちも加わり、四つ巴、五つ巴の激しいトップ争いが繰り広げることは間違いないだろう。