専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第226回 渋野日向子選手の快進撃は止まらず、9月のデサントレディース東海クラシックでは最終日、トップとの8打差をひっくり返して、見事な逆転優勝を飾りました。なんか、20歳にして”…
専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第226回
渋野日向子選手の快進撃は止まらず、9月のデサントレディース東海クラシックでは最終日、トップとの8打差をひっくり返して、見事な逆転優勝を飾りました。なんか、20歳にして”偉人”になりそうな勢いですね。
同大会が行なわれたコースは、新南愛知カントリークラブ・美浜コースで、試合時の全長は6437ヤードでした。7000ヤードを超える男子プロのトーナメントと比べると短いですけど、6300ヤード前後のトーナメントが多かった昔よりも、ツアーの平均全長は伸びているんじゃないでしょうか。実際、女子でも今や6700ヤード級のトーナメントが存在していますからね。
翻(ひるがえ)って、アマチュア男子の倶楽部競技、月例や理事長杯などは、コースのバックティーを使用して6700~6800ヤード程度で行なっています。それと、女子プロのトーナメントではどっちが難しいでしょうか?
フェアウェーの狭さ、ラフの長さ、グリーンのスピードなどを考慮すれば、距離が短くても女子プロのトーナメントのほうが難しくなります。つまり、距離だけが難易度を表わす指標ではない、ということです。
で、今回は、我々自らがラウンドの難易度を下げ、楽なプレーをしよう! という提案をしたいと思います。
平たく言えば、「ミスと罰を消すゴルフ」をしてほしいのです。いつも「1打罰かぁ」とか「池ポチャ、ミスった」ばかりじゃ、精神的に悪いでしょ。
だいたい、お金を払ってプレーしているのに、何で罰を受けなければならないのですか? 罰とペナルティーという表現も、古すぎですよね。こっちは、何も悪いことはしていないのですから。
具体的な難易度の下げ方は、以下のとおりです。
先月亡くなられた我がゴルフの師匠・後藤修先生と、1990年代にゴルフ雑誌でレッスン企画を3年ほどやっていました。仮免許ながら、私も一応「弟子」として認められています。プロには厳しい先生でしたが、アマチュアには優しかったです。
後藤先生が指導したプロは、ジャンボ尾崎選手、中嶋常幸選手をはじめ、鈴木亨選手、すし石垣選手などがいます。そんなゴルフ界のレジェンドである先生は、アマチュアゴルファーの研修会でも付きっ切りで指導してくれました。
ある日、先生の前でウッドを持って打とうとしたら、ボールがディボット跡に入っていて、あんぐり……。先生が見ている手前、ズルすることもできないですから、しぶしぶそのまま打とうと構えたら、突然先生が「ダメダメ。ディボット跡から打つなんて、10年早い! どうせ、打てないだろ。ボールを打ちやすいところに避けて打ちなさい」と言うのです。
そこで、こちらが「これは、スコアを出す研修会ですよ。いいの、そんなことをして?」と目で訴えます。すると、先生はこう言いました。
「悪球打ちは、スイングが乱れる。ゴルフもいいライから打ってスイングを学び、うまくなったら、悪いライからでも打ちなさい。(ディボット跡から打つのは)キムラくんにはまだ早すぎる」
後藤先生は元プロ野球選手ですから、何でも野球に例えます。「松井(秀喜)は絶対に悪球を打たない。だから、フォームがいい。長嶋(茂雄)は、悪球をホームランに変えていたけど」など、面白いコメントが目白押しでした。
そんなわけで、先生は他の研修生にも悪いライからは打たせませんでした。木の根にはまっても「避けて打てばいい」と、自動的に6インチプレースの研修会になっていたのです。
私は今でも後藤先生の教えを守り、プライベートラウンドの時は、同伴メンバーの承諾を得て、6インチプレースでラウンドをしています。そうやって、いいスイング&スコアの癖をつけて、「(教え子に)自信を持たせるのは、すごく大事」と、先生は常日頃からおっしゃっていました。
そうやって、みなさんも難易度を下げてラウンドしてはいかがでしょう。
仲間内のラウンドなら、
「楽しさ」優先でいいと思いますけどね...
また、スコアカードを書くことに関してですが、年に数回、仲間とニギリもせずに、ただラウンドすることってありますよね。そういう時は、他の人のスコアはつけません。
別に競争しないのだから、マーカー役はやらなくてもいいでしょ。打順も今はフリーですから、間違えても失礼には当たりません。自分が叩いたら、最後に打てばいいだけです。
本音を言うと、そういうラウンドの時は自分のスコアもつけたくないのですが、「だったら、ゴルフするなよ」となるので、とりあえずはつけます。
こうして他の人のスコアをつけないと、さほど自らのスコアにもこだわらないので、のびのびとゴルフができます。
通常、狭いコースでは、スプーンや7番ウッドでティーショットを打ちますが、大胆にドライバーでのティーショットも挑戦できます。寄せも、転がしだけでなく、フワッと上げるアプローチも試せます。渋野選手のような強気なパットも、苦手なアイアンのフルショットも試せます。
たまに、スコアを気にせず、多彩なショットを試すのは大事だと思います。結果的には、それがスコアアップにつながるのです。
一緒に回る相手だって、こっちがスコアを気にしていませんから、気軽にラウンドできるのではないでしょうか。
あと、新しいギアね。それを導入する際にも、難易度を下げて、楽なラウンドをすることをオススメします。
新しいクラブに代えた場合、一定期間使い続けないとダメでしょ。最初からしっくりくるクラブもあるけど、打ち方をマスターするのに、試行錯誤する期間が必要ですから。
それは、精神的な要因もあるし、コース本来の難しさやクラブの癖もあります。叩くからと言って、1、2回のラウンドで答えを出していては、ニューギアの導入はいつになっても進みません。
私はここ2カ月、新しいサンドウエッジを導入して、すこぶるいい結果が出て、大いに満足しております。
実は、そのサンドウエッジを導入するまでに、2、3本試打しました。その際はプレーの出来も中途半端で、ボールがなかなか上がらないこともよくありました。だから、試打を繰り返していた2~3カ月の間は、スコアもイマイチでした。
バンカーから出すのが精いっぱい。寄せてパーを取る「砂イチ」なんて、夢のまた夢でした。
ところが最近、『Dr.D3』(ドクターD3/ロイヤルコレクション)という、56度のデカサンドを使い出したら、状況が一変しました。
武蔵カントリークラブ・豊岡コースのアゴの高いバンカーから普通に打って、何の苦もなく”寄せワン”をゲットできました。河口湖カントリークラブでもそうでした。ここは日本一バンカー数が多いコースですけど、打ち応えがあって、気持ちよくプレーできました。
さらに先月は、マレーシアのクアラルンプールにある名門『ロイヤル・セランゴール・ゴルフクラブ』に行って来たんですけど、そこではバンカーに入りまくり。それでも、すべて1回でうまく出せたのは、自分でも驚きでした。同伴メンバーからは、「スピンもかかっているよ」と、お褒めの言葉まで。
とまあ、およそ半年間の苦労が実って、今じゃあ、バンカーがちょっと得意になりました。
ゴルフは、年間を通して全ラウンドをガチンコでやると疲れるし、それがスコア向上につながるのか、ちょっと疑問です。練習ラウンドで、いろいろと試す日があって、初めて上達できると思います。
そこで、さらに提案ですが、前半で50オーバーだったら、後半はリベンジを目指さず、練習ラウンドにしてみるとかどうでしょう。
あるいは、泊まりゴルフの時、1日目は練習ラウンドにして、2日目を正式なラウンドにするとか。そういう工夫があってもいいと思います。
渋野選手の好物スナックじゃないけど、「タラタラ打ってんじゃん」的なラウンドも、アマチュアには必要かもしれませんよ。