24日に1軍昇格を果たした江川智晃が、昇格即スタメンで大仕事をやってのけた。■2軍の雁の巣里帰り試合にも「こっちでやらんと意味がない」 24日に1軍昇格を果たした江川智晃が、昇格即スタメンで大仕事をやってのけた。楽天戦の7回裏、0-0の均衡…
24日に1軍昇格を果たした江川智晃が、昇格即スタメンで大仕事をやってのけた。
■2軍の雁の巣里帰り試合にも「こっちでやらんと意味がない」
24日に1軍昇格を果たした江川智晃が、昇格即スタメンで大仕事をやってのけた。楽天戦の7回裏、0-0の均衡を破る価値ある1号先制弾だ。相手先発・塩見の117球目を思い切り叩くと、打球はホークスファンで埋まったライトスタンドへ一直線。自らが「完璧でした」と語る本塁打は、それまで沈んでいたチームに活気を与え、中村晃のタイムリー、松田宣浩の3ランの呼び水ともなり、5-0の快勝を呼んだ。
「1打席目から緊張せずに普通に(試合に)入ることができた。それがいい結果につながったと思う。一番速い球に合わせて甘い球が来たら思い切り打とう、と思っていたのでうまく反応できた。そこから(追加)点が入ったのがうれしかった」
この日、ソフトバンクの2軍は、昨年まで本拠地としていた雁の巣球場で“里帰り試合”を行っていた。プロ入り12年目の江川にとっては、自分を育ててくれた原点ともいえる場所だ。練習中から「正直、雁の巣には行きたかったです」と素直に語っていたが、それでも「こっち(1軍)でやらんと意味がないですから」と、見事に結果を出してみせた。
「(2軍は)後輩ばかりですけど、みんなライバルでもある。自分が1軍で活躍することで(後輩たちにも)『オレにもできる』ということを伝えられたら」
■父親からのアドバイスは「グリップが上がりすぎだ、と」
江川は1軍にいる間も2軍の試合結果を常に気にかけるほどの後輩思いだ。その優しさがプロとしての成功を邪魔してきた面もあるだろう。それでも今は「チャンスは少なくなってくるので、結果を出すというよりも『あの時こうしておけばよかった』と後悔しないように、野球ができることに感謝の気持ちをもってやっている」と語る。
江川は、8月に入って2軍戦でも好調を維持していた。「毎月打とうとしてるんですけど」と笑いながらも、その好調の秘訣の1つを明かしてくれた。
「オールスター休みに父親から『他の人よりグリップが上がり過ぎや』って連絡があったんです。それで下げてみたらいい感じになった。こんなに効いたアドバイスはないですね(笑)」
入団時から将来のクリーンアップ候補と言われ続けてきた江川。日本ハム時代のダルビッシュ投手などから本塁打を放ち、一時は「エースキラー」の異名もついた男だ。ここからは、1軍で活躍する姿を見せ続けることが、かわいい後輩たちへの一番の刺激になるだろう。
藤浦一都●文 text by Kazuto Fujiura