サウサンプトンの吉田麻也が公式戦3試合連続で先発出場を果たした。 10月6日に行なわれたプレミアリーグ第8節のチェルシー戦で、4-3-3の左CBとして先発。開幕当初はレギュラーの座から離れていたが、リーグカップ3回戦のポーツマス戦(9月2…

 サウサンプトンの吉田麻也が公式戦3試合連続で先発出場を果たした。

 10月6日に行なわれたプレミアリーグ第8節のチェルシー戦で、4-3-3の左CBとして先発。開幕当初はレギュラーの座から離れていたが、リーグカップ3回戦のポーツマス戦(9月24日)、プレミアリーグ第7節のトッテナム・ホットスパー戦(9月28日)、そして今回のチェルシー戦と、秋口に入ってからスターティングメンバーに名を連ねるようになった。



チェルシー戦に先発出場した吉田麻也

 だが、チームは若手の成長著しいチェルシー相手に失点の山を築いた。前半40分までに3点を奪われると、試合終了間際に追加点を許して1-4の敗戦──。

 吉田は「失点の仕方がチープ(安易)すぎる。接戦というか、もっと競り合った試合をしていかなければ」と嘆き、プレミアリーグ2試合連続の先発出場にも「チームとして2連敗していますから、そうなると苦しい。代表戦から帰って来てどうなるか」と険しい表情を見せた。

 サウサンプトンは、これでリーグ3連敗。降格圏に近い17位に沈み、厳しい戦いを強いられている。

 さて、週末の試合を経てプレミアリーグは一旦中断し、国際Aマッチウィークに入った。チェルシー戦の翌日には、吉田も日本代表の10月シリーズに参戦するために機上の人となった。

 ホームのモンゴル戦(10日)とアウェーのタジキスタン戦(15日)に向けて、代表主将は何を思うか。吉田は次のように語った。

「ここでしっかり勝ち点3を取って、正直、予選で余裕を持ちたい。確実に6ポイントを取れれば、だいぶ大きいかなと思います。

 僕だけじゃなくて、ヨーロッパのクラブに在籍している選手は、みんなリスクをかけて代表に行くわけで。9、10、11月と代表戦が続くのは、フィジカル的にも苦しくなると思います。(森保一)監督も言ってましたけど、そこは避けては通れないところなので、それを経験して乗り越えていく。

 今のうちに、若い選手はそういう経験をたくさんすべきだと思いますし、その先にW杯が待っている。苦しいことを乗り越えていって成長していけば、ラグビーW杯の日本代表チームみたいに大きなことを成し遂げられる可能性がより出てくるんじゃないかと思います」

 今から約10年前の2010年1月、吉田は若手中心で挑んだアジアカップ最終予選のイエメン戦でフル代表デビューを果たした。この時、21歳。

 ちょうど同じタイミングでオランダ1部リーグ・VVVフェンロへの完全移籍が決まり、日本代表に招集されるたびに欧州と日本を行き来する生活が始まった。長距離移動や時差ボケとうまく付き合いながら、代表でも所属クラブでもコンスタントに好パフォーマンスを残していく、という試練を乗り越えてきた。

 また、所属クラブを離れれば、スタメンの座を奪われたり、定位置争いで後れを取ったりするリスクも生じる。だが、日本代表の一員として、欧州クラブに在籍する選手には絶対に避けて通れない道だ。吉田は、若手もこうした経験を積んでいくべきだと力を込めた。

 その日本代表では2018年ロシアW杯から世代交代が進み、新しい顔が定着するようになった。なかでも最近大きなインパクトを残しているのが、チャンピオンズリーグで欧州王者のリバプールを相手に1ゴール1アシストを記録したザルツブルクの南野拓実だ。

「代表主将として、彼の活躍は心強いのでは?」と問うと、吉田は次のように答えた。

「拓実は十分、能力を持っている。24歳なので若手ではなく、結果を出さないといけない年だと思います。そのなかでああいう試合ができたのは、彼にとって非常に大きなものになるんじゃないかなと。

 ただ、コンスタントにパフォーマンスを出し続けることが、彼自身の課題だと思うので。1試合で終わらず、代表に行ってクラブに帰ってきてを繰り返しながら、CL(で同組)のリバプール、ナポリ、ゲンクとの試合でもいいプレーを見せる。次のリバプール戦も、マークされているなかでパフォーマンスを出せるようにしていけば、もう一個上のステップに行けるんじゃないかなと思います」

 もうひとり、吉田の見解を聞きたかったのが、18歳の久保建英についてだった。現在31歳の吉田とひとまわり年が離れている久保について「どう見ている?」と聞くと、その人間性を高く評価していると話した。

「人間的に成熟しているなと。受け答えもしっかりできるし、コミュニケーションもしっかりとれる。海外に行ったらサッカー以外の部分で苦労するので、人としてしっかりしているのは大きいと思う。そういう意味では期待は大きいですね。

 あとは語学がすでに完璧というのが、他の人よりデカいと思います。もちろん、これからですね。マジョルカでどれだけできるか」

 久保のテクニックだけでなく、人間性や語学力に着目していたのが、欧州でのプレー歴が長い吉田ならではの見方だった。サウサンプトンでは英語力を生かしてチームメイトと意思疎通を図り、ピッチ上でも後方から指示を出している。その重要性を強く認識しているからこそ、吉田の言葉には説得力があった。

 ただ今回、南野と久保のふたりに関して質問をぶつけると、答えの最後に「僕が偉そうに言うことじゃないですけど(笑)!」と、毎回オチをつけていたのも、なんとも吉田らしかった。

 頼りになる代表主将として、そして経験豊富なCBとして、吉田はW杯アジア2次予選の10月シリーズに挑む。