「楽天ジャパンオープン」(日本・東京/9月30日~10月6日/ハードコート)の大会5日目、男子シングルス準々決勝で世界80位のジョン・ミルマン(オーストラリア)に4-6、0-6で敗れ、準々決勝…

「楽天ジャパンオープン」(日本・東京/9月30日~10月6日/ハードコート)の大会5日目、男子シングルス準々決勝で世界80位のジョン・ミルマン(オーストラリア)に4-6、0-6で敗れ、準々決勝敗退となった世界127位のダニエル太郎(日本/エイブル)。そのダニエルが記者会見に臨んだ。

試合を振り返ってダニエルは「相手がすごくしぶとい相手というのが分かっていたので。どういう時にポイントを取れば良いのかというのがなかなかクリアになっていなくて。それでフォアも固くなってきて、試合中にどんどん居心地が悪くなってきたかなという感じですね」と語った。

第1セット、ダニエルは終盤でブレークバックをして追いついたものの、再びブレークを喫して落としてしまったが、そのことについて「第1セットの最後のサービスゲームをキープできなかったのは、全然悪いプレーをしたとは思っていません。残念ながら落としてしまって」と語った。そして「そこから第2セット、ミスしてもいいから振り切ろうと思って入ったんですが、相手ももっと良いプレーをしてきて、自分もなかなか振り切れるボールがあまり無かった感じがして。それでちょっとずつ距離を離されていっちゃった感じですかね」と振り返った。

また、第1セットの第1ゲームでブレークしたことについては「最初の最初にブレークしたけど、基本的に流れは最初からずっと相手の方だったので。他の試合だとずっと僕の流れで、今日初めて相手の流れで始まっちゃったから、テニスのフィーリングが悪かった訳ではないけど、あまり良くない試合でした」と苦しい戦いだったと述べた。

今大会に臨んで学んだこととして「この2、3ヶ月、チャレンジャーに出てて、ツアーに戻ってきても勝てる可能性があるというのを実感できたので。そんなに焦らなくても戻って来られて自信はついたなと思います。チャレンジャーといってもATPとそこまでレベルが違うわけではなくて。ミルマンともチャレンジャーで当たっておかしくないくらいで。自分もチャレンジャーにいる選手をもっと尊敬しながら次のチャレンジャーに臨んでいきたいと思います」と語ったダニエル。

記者からこれまで尊敬していなかったのか、と問われると「尊敬してなかった訳ではなくて。去年から今年の5月くらいまでATPにいて、いきなりチャレンジャーに出ると『勝つのが当たり前だ』というのが裏にあって。それで300位くらいの人と当たって、意外と難しいななんて思って。相手を尊敬しないと自分も良いプレーができなくなってくるので。チャレンジャーに出ている選手でもATPの250や500で勝てる選手はたくさんいます」と語った。

「イメージ的には今週の試合が始まる前までの日々の過ごし方、練習の仕方がすごく自分的に良くて。自分でコントロールできるものに時間を掛けてエネルギーを使っているという感じでした。自分でできることをやっていけば、今回のような良い結果を出せるチャンスになっていくと思うし、今週出来たプレーを忘れないで、というかここでつかめた自信を使って次の大会に臨んで行ければと思います」

「昔言われていたような『絶対勝つぞ』みたいなのは好きじゃなくて。そういうのはグラディエーターというか、生きるか死ぬかみたいなときだけのものだと思っていて。テニスは1年中たくさん試合があるので、勝ち負けだけに集中しているとエネルギーがどんどん消耗されていくと思います。もちろん『絶対勝たなきゃいけない』みたいなのはたまに考えますが。今日もちょこっと出てきて。でも、なるべくそういう風には考えないようにして。同じ考えをどういう風にしたら違うように思えるのか、どういう角度で見たらいいのか、もうちょっと良い方向にしていけるのかというのを考えています」と、これからの試合やテニスとの向き合い方を語った。

1回戦後の記者会見で自分を取り戻すためにノルウェーに行ったことを語っていたが「オフの使い方は本当に大事だと思います。少し調子悪いと練習しなきゃこれを直さなきゃという思いが強くなって。たまには引かないと上にあがれないときもあると思いますし、そういうのは色々試していかないとと思います。自然の中に行くのが頭には良いなと思って、そのときはそういう決断をしたんです。またシーズンオフには自然の中に行きたいなと思います」と語った。

次に行きたい場所を聞かれると「今はアイスランドとか行きたいなと思っているんですが、道具の準備とか大変そうで、まだどうなるかは分かりませんが」と笑顔を見せた。

昨シーズン、自身初となるツアー初優勝を果たし、快進撃を見せたダニエルは「去年の終わり、初めて今シーズンのために目標を置いたりしたんですが、1つも達成できなくて」と笑う。

「キャリアは長いし、僕が目標を達成できたからって言っても僕が50歳になったときにそのおかげで幸せになるかっていうとそうではないと思うし。今やっているすべてをとにかくやって、終わるまでやるって感じですね。ここまでたどり着けたら、なんていうのは絶対思ってないですね」と語った。

どのような目標だったかと問われると「結構高く上げちゃってて。今思い出すと、ランキング的なものはそこまで無かったんですが、ヨーロッパのクレーシーズンで本戦3回戦まで行きたいとかですね。もちろんありえる結果なんですが、自分にわざとプレッシャーを掛けている感じがして。まあ、これも勉強の1つかなと思います」と、目標自体がプレッシャーとなった側面があったと振り返った。

そして来年行われる東京オリンピックについては「もちろん出たいですが、それを紙に書いて『オリンピックのために』ということは無いと思います。そこまでにも大会はたくさんありますし、今週みたいに期待していないところで結果が出てくることがありますから。続けていって、知らないうちに(代表に)入っていれば良いなという感じですね。これを悪い感じに取らないでくださいね。もちろん、本当に出たいけど、そこに自分の頭のエネルギーをかけてる暇が無いという感じですね。今のことをやり続けて絶対入りたいという感じです。でも入りたいと思っていても入れる訳でもないし」と、いかにもダニエルらしい考えを語った。

1回戦後の記者会見で自身の苦悩を語ったかと思えば、2回戦後の記者会見ではジョークを交えてリラックスした雰囲気のダニエル。準々決勝は終始ミルマンの流れだったと悔しい表情を見せながらも、やはりジョークを挟みつつ会見に臨んだ。そのダニエルらしさを胸に、これからも着実な成長を遂げてくれることを期待したい。

(テニスデイリー編集部)

※写真は「楽天ジャパンオープン」でのダニエル太郎