専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第224回 思えばその昔、初めてゴルフ会員権を買って、倶楽部のメンバーになったことは、無謀な行為でした。単なる勢いでしたからね。まさに”バブル”という時…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第224回

 思えばその昔、初めてゴルフ会員権を買って、倶楽部のメンバーになったことは、無謀な行為でした。単なる勢いでしたからね。まさに”バブル”という時代を過ごしてきたからこそ、成せる業だったと言えます。

 1995年頃、ゴルフ会員権相場が落ち着いたなと思って、南総カントリークラブの会員権を買いました。しかしそこから、会員権相場が低迷。自らの読みは、完全に間違っていたのです。

 しかも、ゴルフの腕前自体、計測不能なぐらいにひどいものでした。南総CCでハンデをもらった時は、最初25~26ぐらいだったと思います。

 会員権購入に1000万円以上出して、月例競技に一度も参加せず、ただのお友だちゴルフばかりやっていたのですから、ほんと贅沢です。今なら、それぐらいのことは、ネットで十分に予約できますからね。

 加えて、コースのメンバーには誰も知り合いがいませんでした。つまり、人間関係をゼロから築かなければいけないわけで、それはとても大変なことでした。エネルギーを物凄く使うんだわさ……。

 そんなこんなで、いろいろと反省点が多々ありのゴルフ人生を歩んできましたので、令和時代に入って今一度、ゴルフ会員権を購入することとはどういうことか、メンバーになるオススメの方法はあるのか、検証してみたいと思います。

(1)理想は友人の紹介
 どこのゴルフ場もメンバーになる時は、おおよそ2人ぐらいに3万円ずつ払って、紹介状を書いていただくか、保証人になってもらうことになります。

 本来の紹介システムは、メンバーの友だちとコースに遊びに来て、そこで気に入って「じゃあ、メンバーになるから紹介してよ」となるわけですが、現実的には、ゴルフ会員権屋さんが適当なメンバーを見つけてきて、紹介状を書いてもらうのが一般的です。

 今流行りの『レンタル友人』みたいな制度が、ゴルフ会員権の世界では半世紀前から存在していたんですね。すげぇ~時代の先を行っていたんだな……って、そこは強調するとこか?

 だから、誰ひとりメンバーを知らなくても、会員権を買ってメンバーになれたのです。たとえ知り合いがいなくても、そのコースに思い入れがあって、絶対にメンバーになりたい気持ちが強ければ、問題はありません。

(2)何に主体を置くか
 先にも触れたとおり、南総CCの会員だった時、私は月例競技に一度も参加しないまま、メンバーをやめてしまいました。親会社が経営難にあって、会員権が「紙くずになる」と言われたので、泣く泣く売った経緯があります。

 けど、会員権購入2度目でメンバー入りした鶴舞カントリー倶楽部では、月例競技に参加して優勝もしていますから、倶楽部ライフを満喫できました。

 その両方の倶楽部ライフを振り返ってみると、競技に参加することなく、メンバーになるのもアリかと思います。ふと、知り合いを呼んでラウンドしたり、接待で使ったり、コンペをやったりと、クラブ競技以外でも使い手はありますから。

 倶楽部のタグをキャディーバッグに付けていれば、練習場に行った時なんかでも、「どこぞのメンバーになっている」ということを周囲にアピールし、さりげなく自慢できるわけです。メンバーの威光を背負って人生を歩むのも、悪くないです。

 ステイタス派の方は、誰もが羨むようなコースのメンバーになるといいでしょう。そして、「1000万円したけど、年に3回しかいかない。あと20年ゴルフができるとしても、1回のラウンドに換算すれば、20万円ぐらいかなぁ~。ほんと、会員権って無駄」と言って、笑い飛ばしてください。これぞ、名門メンバーの矜持です。

(3)メンバーライフとは?
 月2回ぐらい、年間で20回ぐらいはラウンドするのが、通常のメンバーライフです。もちろん、競技会に出るのもいいですし、委員になって倶楽部の運営を手助けするのも楽しいです。また、急に時間が空いた時に、ふらっと行ってラウンドできるのもメンバーならではこそ。

 土日の料金は、どこも割高になっています。それが、メンバーなら安くプレーできるのもいいですね。

 とはいえ、初めに会員権の代金、入会金、年会費を払っているので、「プレー代が安いから、メンバーになった」と言うのは、無理があります。あくまでも、ゴルフが好きだから、そのコースが通いやすく、愛着があるからメンバーになったのです。

 昔は、「メンバーとビジターは、どっちが得か?」なんて記事がありましたが、今ではそうしたものは見かけません。だって、圧倒的にビジターが得、ですから。

 じゃあ、なんで経済的に損をするメンバーシップのコースがいまだ健在なのか? それは、やっぱり「ゴルフは最高の道楽」だからではないでしょうか。

(4)人間関係の軋轢は覚悟すべし
 単に予約して、友だちとプレーするならともかく、メンバーとして競技会に参加したり、倶楽部の運営に関わったりすると、人間関係で悩むこともあるでしょう。

 とあるコースでは、誰もが知っている有名人で、いろいろな問題を抱えていた方がいました。競技中、古参メンバーと喧嘩になって、突然プレーするのをやめてしまったとか。フリーで行ったら、他のメンバーに「俺が相手してやるよ~」みたいなことを言われて、カチンときて帰ってしまったとか……。

 個人的な感想を言えば、足かけ15年ぐらいメンバーになっていましたが、いいことが8割、さほどよくないことが2割、といったところでしょうか。

 こちらは、ゴルフ雑誌などでも仕事をしているので、「読んでいますよ~」と応援してくれるメンバーもいました。けど、そんなことは全然知らないメンバーもいっぱいいて、横柄な口調で、頭ごなしに指示をされたり、文句を言われたりしたこともありました。

 メンバーシップのコースは、基本的には”マウンティングの巣”。いわば、猿山状態になっています。自分より格下と判断すれば、ガンガン圧力を強めてくる人がいる――そういうところだと、理解されたし……。

 というわけで、最初の話に戻りますが、有名なメンバーの紹介で会員になれば、メリットは大きいです。

 たとえば、他のメンバーから「おまえさあ、ポロシャツの裾が出てんだけど」と文句を言われても、「すみません、○○さんの紹介で入ったもので、よくマナーを知らなくて……」と答えれば大丈夫です。大抵、「えっ、○○さんの友だちなの!? 早く言ってよ。じゃあ、いいよ、適当な格好でプレーして」となるのです。人間関係って、そんなものでしょ。

 筋さえ通せば、メンバーシップのコースは居心地がいいのです。

 あと、残るは予算の問題ですか。ゴルフ場選びは、車選びによく似ていると言われています。要するに、軽自動車(=一般的なコース)でも、高級外車(=名門コース)でも、おおよそ機能は一緒、ということ。

 あとは、見栄の問題です。自分の懐具合と相談して、よりよいコースを決めましょう。




コース選びはもちろんのこと、何事も身の丈に合っていることが大事ですよね...

 友だちに、某名門コースに連れていってもらった時の話です。ラウンド中、友だちが「もう寒くてゴルフなんてやってられないな~」なんて言うので、こっちが「じゃあ、ハワイでやるか?」と言ってやったら、「いいね! 一緒に行こうよ」と誘われたんですけど、いやいやどうして、こっちにはそんな余裕はありません。だから、「(福島県のスパリゾート)ハワイアンズなら行けるけど……」と、寒い冗談で逃げるのが精いっぱい。しんどいですね……。

 何事も、身の丈にあったものを選ぶのが大切ですね。メンバーとなるコース選びも、それが一番だと思います。