第41回関東女子選手権(兼)皇后杯全日本女子選手権関東地区予選
早大1-0
0-1
0-0
1-0
山梨学院大
【得点】
(早大)12’小林菜々子、98’松本茉奈加
(山梨学院大)77’浜田芽来

 関東女子選手権決勝戦。大会連覇中のア式蹴球部女子(ア女)は、今大会勢いのある山梨学院大と対戦した。前半、セットプレーからDF小林菜々子(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)のゴールで先制に成功。しかし、後半徐々にペースを握られると、終了間際に痛恨の失点を喫してしまう。それでも延長後半、MF松本茉奈加(スポ3=東京・十文字)がヘディングシュートを押し込み勝ち越し。苦戦を強いられたものの、2-1で勝利を収め、本大会3連覇を達成した。

 ア女は前半、最終ラインからのロングフィードで攻撃を組み立て、主導権を握っていく。すると12分、いきなりチャンスが訪れる。右サイドでFKを獲得すると、キッカーはMF高瀬はな主将(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)。「蹴る瞬間に相手のラインをだまそうという話をしていた」とタイミングをうまくずらし、高精度のクロスをエリア内へ供給。これをファーサイドで待ち構えていた小林が頭でネットを揺らした。得意なセットプレーから幸先よく先制に成功したア女。17分にはDF中條結衣副将(スポ4=JFAアカデミー福島)のロブパスを受けた松本が左サイドを崩し、グラウンダーのクロス。これに高瀬がニアサイドで反応するも相手DFにブロックされる。26分にはFW山田仁衣奈(スポ4=大阪・大商学園)のポストプレーから松本がシュートを狙うも、うまくミートできず。先制後は、ボールを保持するもなかなか追加点を奪うことができない展開が続いた。すると徐々に山梨学院大がペースをつかみ始める。33分にはカウンターからFW浜田芽来(1年)にミドルシュートを許すなど、ア女は少し押され気味に前半を終えた。


先制ゴールを決め、スタンドに向けてガッツポーズを見せる小林

 後半の立ち上がり、サイドからのクロスを連続で許すも冷静に対応。ここから攻撃に転じたア女は48分、中條がこぼれ球を拾い左足で強烈なミドルシュートを放つも、相手GKに弾かれてしまう。53分には左サイドを崩し、エリア内に侵入したDF中田有紀(スポ4=兵庫・日ノ本学園)が右足で狙うも、これは相手GK正面。決定機を生かせずにいると、再び山梨学院大の反撃に遭う。57分、ワンツーで裏を取られそのまま自陣左サイドを突破されるも、中條がスライディングで対応。60分にはMF太田未蘭(1年)にエリア内でシュートを許してしまった。なんとか追加点がほしいア女であったが、疲労もある中、ちぐはぐした攻撃が続く。すると77分、一瞬の隙を突かれてしまう。自陣右サイドを崩されると、浜田にグラウンダー性のシュートをゴール左下に決められ、試合はまさかの振り出しに。勝負の行方は延長戦へともつれ込んだ。

 延長戦に入ると、ア女はシンプルな攻撃で山梨学院大ゴールへと迫る。83分、FW廣澤真穂(スポ1=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)のパスをうまく収めた山田が体勢を崩しながらシュートを放つも、決め切ることができない。92分、93分にはセットプレーから途中出場のDF船木和夏(スポ1=日テレ・メニーナ)が頭で狙う。共にゴールとはならなかったが、ア女は再びリズムをつかんだ。すると98分、ついに試合が動く。右サイドから船木がエリア内へクロスを供給する。これに飛び込んだのは松本。「『とりあえず当たれ!』と思った」と相手GKと競り合いながら放たれたヘディングシュートは、ゴールへと吸い込まれていった。最後の最後で勝ち越したア女。苦しみながらも山梨学院大を下し、見事3連覇を達成した。


勝ち越しに成功し、抱き合う松本(写真左)ら選手たち

 早い時間帯に先制できたこの試合だったが、序盤に効果的だった最終ラインからのロングフィードに固執するあまり、どんどん攻撃が単調になってしまったア女。ボールを保持しながらも『攻め疲れ』が生じ、後半にかけて連携が合わずリズムを失ってしまった。それでも延長戦ではしっかりと修正し、ア女らしいサッカーを展開。苦しい中でも最後までハードワークを続け、今季初のタイトルを獲得してみせた。「チーム全員で戦うという意思疎通がかなりできていたという実感もある」と高瀬は本大会を終えて、確かなチームの成長を感じていた。今週末には関東大学女子リーグ戦(関カレ)を控えているア女。関カレの『頂』点へーー。チーム力を武器に、ア女は再び負けられない戦いに挑む。

(記事 永池隼人、写真 石井尚紀、内海日和、塩塚理子)

※試合時間は80分(前後半各40分)

※掲載が遅れ大変申し訳ございません。


スターティングイレブン


見事3連覇達成だ!






早大メンバー
ポジション背番号名前学部学年前所属
GK16川端 涼朱スポ3東京・十文字
DF源関 清花スポ4ちふれASエルフェン埼玉
→81分35船木 和夏スポ1日テレ・メニーナ
DF小林 菜々子スポ4ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF中條 結衣スポ4JFAアカデミー福島
DF中田 有紀スポ4兵庫・日ノ本学園
MF17阪本 未周スポ3大阪・大商学園
→57分13蔵田 あかりスポ2東京・十文字
MF10村上 真帆スポ3東京・十文字
MF◎8高瀬 はなスポ4ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18
MF11松本 茉奈加スポ3東京・十文字
FW34廣澤 真穂スポ1ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
FW山田 仁衣奈スポ4大阪・大商学園
→87分32高橋 雛社1兵庫・日ノ本学園
リザーブ:GK33近澤澪菜(スポ1)、MF14田中実夏(スポ4)、MF19桝田花蓮(スポ2)、MF26加藤希(スポ2)
◎=ゲームキャプテン
監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘)

コメント

MF高瀬はな主将(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

思ったよりも苦しい時間が続いたというか、最後あのようなかたちで追いつかれてすごく難しい試合にはなったのですが、結果的に勝ち切れたことはよかったかなと思います。

――きょうのゲームプランは

メニーナ戦とあまり変わらず守備をコンパクトにできればいいという話はしていたので、そこを意識してボールを奪取できたことはけっこうあったのですが、点を取り切るというところは課題が出たかなと思います。

――前半は最終ラインからのロングフィードが目立ちましたが、これはチームとして狙っていたのですか

そうですね、ただそれがマンネリ化してしまったというか、段々自分たちの体力も厳しくなって、テンポが上がらない攻撃になってしまったので、そこがあまり良くなかった点かなと思います。

――前半の入りは良かったと思うのですが、それがうまくいきすぎたことでマンネリ化につながってしまったのですか

ロングパスがつながる場面も多くあったですが、そればっかりになってしまって。いろんなバリエーションを持った攻撃ができれば、自分たちもすぐ体力が奪われることはなかったと思うので、戦い方はもう少し考えたいなと思います。

――先制のセットプレーはサインプレーでしょうか

蹴る瞬間に相手のラインをだまそうという話をしていて、菜々子がいいところに飛び込んでくれたのでよかったです。

――前半は相手の攻撃がカウンターのみと単調の中で、守備はしやすそうだった印象です

守備の部分で話し合っていたことはあったのですが、相手が一方的に蹴ってくることしかなかったので、あまり守備のかたちというよりは、そこからどう攻撃するかということをもっと話し合わないといけなかったです。もう少し点が取りたかったというのが正直なところです。

――後半は徐々に相手のペースになってしまった印象です

体力が奪われ始めてから、攻め疲れもあったと思うのですが、一瞬の隙を突かれてしまって。そこは自分たちの今までの課題だと思うので、そこは反省というか次につなげていかないといけないと思います。

――後半はチーム全体で攻撃の意思疎通が取れていなかった印象です

後半はサイドで崩すのか裏に蹴るのか迷いが生じてしまって。ですが延長に入る前にしっかり話して、相手が途中10人になったこともあるのですが、そこから話し合って(パスを)つなげるようになってきたので、修正はできたかなと思います。

――今季初の延長戦ということで、改めて体力面ではいかがでしたか

普段はメニーナ戦とか回されてきついという体力の奪われ方だったのですが、攻め疲れというのは今まであまりなくて、試合の運びとしては難しかったのですが、もうやり切るしかなかったので、最後チーム全員で走り切って勝てたことは大きかったと思います。

――延長に入って攻撃のリズムを取り戻した中で、松本茉奈加(スポ3=東京・十文字)選手が決めてくれました。高瀬選手にも笑顔が見られましたが、振り返って

あのヘディングは自分は一瞬入らないかなと思っていました(笑)。でも入って「入った!」というか(笑)。みんなそこから元気を取り戻しました。途中から入った和夏(DF船木、スポ1=日テレ・メニーナ)のボールもよかったですし、マツ(松本)も最後しっかり当ててくれたので、すごくよかったと思います。

――前期の悪いところが出たという話もありましたが、その中で勝ち切れたことは大きいと思います

何回も同じミスはできないですし、そこは成長した部分を見せたいなと思っていたので、最後そういったかたちで終われたことはよかったと思います。

――本大会の3連覇という結果はどう評価していますか

この大会はあまり連覇のことは考えていなかったですが、本戦の出場が懸かったメニーナ戦だったり、一試合一試合簡単ではない試合が続いたのですが、その中で試合を重ねるごとに、チーム全員で戦うという意思疎通がかなりできていたという実感もあるので、本戦に向けてもっといい状態で臨めればいいかなと思います。

――最後に、今後の試合に向けて意気込みをお願いします

一旦リーグに戻るので、大学同士の試合が続きますが、負けられない試合が続くので、引き続き気を引き締めて、必ず関カレ優勝を決めたいと思います。

DF小林菜々子(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース )

――本日の試合を振り返って

決勝戦だったので、全員で勝ちにこだわってやってきたというのと、相手が国体などでメンバーがいないという強くはない相手だったという状況がわかりつつ、自分たちのサッカーをやり抜こうとしてきて、修正しながらではあったのですが、結果勝ててよかったと思います。

――前半は特にセンターバックからのロングフィードが目立ちました

私自身あんまりビルドアップが得意じゃなくて。周りが蹴ってくれてチャンスになっていて、自分も相手が引いてくる中でいかにロングキックで崩せるかなと思って狙っていたので、何本かつなったのでよかったです。

――今回の得点について一言お願いします

セットプレーは得意なので、いいボールが来たら絶対決めようと思っていたので決めることができてよかったです。

――後半、徐々に相手にペースを握られてしまった点について

相手も蹴るという攻撃パターンだったので、その処理だったり、攻めてる分切り替えの部分ももうちょっと早くして相手の攻撃の芽をはじめに摘めればよかったという反省点と、シュートまでいかれるシーンが多かったので、もうちょっと組織として守れればよかったと思います。

――後半の失点シーンを振り返って

自分たちのゴールキックから一瞬ではがされて打たれたシーンだったので、結果論になってしまうのですが、ゴールキックの場所であったり一対一の強さをもう少し磨いていきたいと思います。

――今季初の延長戦ということでしたが、体力面など併せて勝ち切れたところに関して一言お願いします

夏場も多く走り込んできてるので、走力の面では問題なかったというのと、一人ひとりの気持ちが常に前向きだったのが勝ちにつながったんだと思います。

――最後に、皇后杯にむけて意気込みをお願いします

私自身、高校のときから皇后杯というのは大きな憧れで、その舞台に進めることは本当にチームのみんなに感謝してますし、個人としてもチームとしてもベスト8以上はいけるように頑張りたいと思います。

FW山田仁衣奈(スポ4=大阪・大商学園)

――延長戦での勝利となりましたが、試合を振り返っていかがですか

山梨学院が国体に出ているので、フルメンバーではなくて、始めは前から勢い良く(プレスを)掛けてくるかなと思ったのですが、相手が引いた状態で自分たちがポゼッションする時間が多かったのが印象です。その中でもポゼッションはこれまで練習で意識してやっていたので、いい流れの時もあったのですが、少しボランチの位置が低くなってしまって攻撃の枚数で厚みが出なかったり課題が出ました。

――後半に攻撃がかみ合っていなかった時間はそのポゼッションのところでうまくいっていなかったのでしょうか

前の選手的には枚数が足りないと感じていたり、裏抜けとかで前に引っ張りたかったのですが、あまりそこのタイミングが合わなかったりしていました。もっとボールを流動的に動かしながらリズムをつくれるような攻撃ができればと思います。

――山田選手とFW廣澤真穂選手(スポ1=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)が今までの数試合に比べてボールを引き出せていなかったのは、そのような点が要因でしょうか

そうですね。逆サイドのFWを見ることができればチャンスの場面もあったんですけど、そこにうまく(ボールが)入らなくて、マークが付いているFWに(ボールが)入って孤立してしまう場面がありました。FW同士でも距離感を意識して、2枚で崩す意識を持ちながら、後ろにもう少し要求をして合わせられるようにしていきたいです。

――ご自身のきょうのプレーは振り返っていかがですか

結構相手も後ろからきている状態だったんですけど、前で収めて前向きの選手を簡単に使うというのをイメージしていたので、そこのイメージをもっと合わせていきたいと思いました。

――関東女子選手権を3連覇したことはどのように捉えていますか

結果的に皇后杯の関東予選を3連覇できたことはうれしく思いますし、しっかりと勝ち切れたことはいい状態で持ってくることができたと思うので、また関カレが始まりますが、関カレ(関東大学女子リーグ戦)に勝ってインカレ(全日本大学女子選手権)にいい流れで乗っていけるようにしていきたいです。

MF松本茉奈加(スポ3=東京・十文字)

――きょうの優勝という結果を振り返っていかがですか

山梨学院大はすごく勢いのあるチームで、色んな強いチームを倒してきた相手だったので、どう戦うかというのは決めてたのですが、どうなるかわからない試合展開でした。絶対にタイトルを取るという気持ちでいました。

――前回の試合では「前半の入りがよくなかった」とおっしゃっていましたが、きょうは入りもよかった印象でした

山梨学院大のフォーメーション的にサイドのスペースがあったのですが、そこで自分が勝負できたかと言われるとまだまだだったというのは感じています。前半のうちに菜々ちゃん(DF小林菜々子、スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)が点を取ったことはよかったですが、そこから勢いをつけられなかったです。

――後半は相手のペースで試合が進みました

1点取られたりとか、0ー1で返す試合を今までしてきたので、そんなに危機感や無駄な焦りなどはなくて、自分達の良さを生かせれば勝てると思っていたので、ディフェンスラインも含めて、しっかり守備して、つないできたボールが勝利につながったと思います。

――初めての延長戦でしたが、体力面についていかがでしたか

普段の試合が90分なので、それに10分増えたという考え方をすれば、辛いところもありますが、全員でやっているので、みんなが頑張っているのを見たら、自分も頑張らなきゃと思えたので、大丈夫でした。

――延長戦の華麗なファーストタッチについて教えてください

1ー1で引き分けていたので、自分のプレーでスイッチを入れるようなプレーをしたい、もっと増やしたいと思っていました。ファーストタッチも含め、相手に隙を見せないようなプレーができたらいいなというのを、延長になってから改めて意識しました。

――その結果、松本選手から逆転ゴールが生まれました

和夏(DF船木、スポ1=日テレ・メニーナ)にボールが入る時にはもう来るだろうなと思っていたので、「とりあえず当たれ!」と思って、たまたま入った感じです。

――今大会好調を維持していた印象でしたが、今後も試合は続きます

今良いところだったり、悪いところだったり明確になっているところはあると思うので、良いところはもっと伸ばして、悪いところは良い方向にもっていけるように、チームでしていきたいと思っています。そして、まだ皇后杯本戦ではないので、本戦に向けてまた1から、今年はチーム力だとも思っているので、いっぱい話し合って、いっぱい練習して勝っていきたいと思います。