世界一流コーチのメソッドで解消するアマチュアゴルファーの悩み(2)――アプローチ編 若き日よりアメリカに渡った吉田洋一郎氏は、「世界ナンバー1のゴルフコーチ」とも称されるデビッド・レッドベター氏ら、およそ100名以上の一流インストラクタ…

世界一流コーチのメソッドで解消する
アマチュアゴルファーの悩み(2)
――アプローチ編


 若き日よりアメリカに渡った吉田洋一郎氏は、「世界ナンバー1のゴルフコーチ」とも称されるデビッド・レッドベター氏ら、およそ100名以上の一流インストラクターに最先端のゴルフ(レッスン)メソッドを学んできた。

 レッスンのプロが100人いれば、100通りの理論があるのが、ゴルフというスポーツ。本連載では世界のトップゴルファーが取り入れている技術、思考法、トレーニング法を、吉田氏が日本のアマチュアゴルファーのために特化して、伝授する――。

◆レッスン3:15~20ヤードのアプローチ(理論編)
フェース面でボールを上げようとせず、
いかにバウンス部分を芝に滑らせるかが大事

 ドライバーショットも、パターも同じ1打です。しかし、ティーショットやセカンドショットに気を取られるあまり、ショートゲームを軽視しがちなのが初心のアマチュアゴルファーではないでしょうか。

 スコアメイクで重要なのは、パッティングとともにグリーン周りからの寄せ、アプローチです。とりわけ、ピンまで15~20ヤードを確実に1パットの距離に寄せられることで、スコアは飛躍的に伸びていきます。

 15~20ヤードというと、フルショットではなく、加減したショットが必要となります。また、ライやグリーンのアンジュレーションによって、ロブのように打ち上げるボールか、転がしていくかの選択も迫られます。

 まず、やや高いボールを打ちたい場合、ボールを右足寄りに置いてハンドファーストに構え、ボールに対してクリーンに、カツンと当てるようなスイング軌道を思い描くゴルファーが多いのではないでしょうか。

 しかし、この打ち方だとダフってしまって、いわゆるざっくり(リーディングエッジが芝に刺さってボールが飛ばないこと)になってしまう危険性が高いです。ボールを右側に置いてしまうと、クラブのバウンス部分を芝に滑らせることが難しくなるので、結果としてダフってしまうのです。

 アプローチで大事なのは、リーディングエッジではなく、バウンスをいかに使うか(滑らせるか)です。そして、フェース面でボールを上げようとしないことです。

 このバウンスを滑らせる打ち方をマスターするために、フェースを開いて打ってみるといいでしょう。フェースを思いっきり開くと、バウンスを使わなければ上手に打てません。

 リーディングエッジが右を向き、フェース面が上を向いた状態で、スイングの軌道の中でバウンスを滑らせ、ボールを捉えていくイメージです。フェースを極端に開くことに抵抗のあるゴルファーもいるでしょうが、意外にも容易に打つことができます。

 一方で、転がして寄せたい場合は、ヘッドを立たせて打たなければなりません。ですから、SW(サンドウエッジ)や58度のようなウエッジをハンドファーストに構えてロフトを立たせるのではなく、はじめからロフトが立っているクラブを選択すべきです。

 たとえば、8番アイアンであれば、リーディングエッジが刺さってしまう危険を未然に防げます。ポイントは、ボールを上げたい場合のショットと同様、バウンスを滑らせることです。

 転がしたい場合の打ち方は、パッティングと同じように、コックを入れずにクラブを振り子のように使います。ボールに当てにいこうとはせず、やはりクラブのソール部分を芝に滑らせるような意識を持ちます。ウエッジを使った場合よりも、振り幅は小さくなりますので、刺さり気味でもボールは転がり、距離感のミスが減ります。

 アプローチに臨む前の判断として大事なのは、キャリーとランの割合です。たとえば、残り20ヤードを、10ヤード先のところに落とし、10ヤード転がしたいのか。あるいは、5ヤード先に落として、15ヤード転がしたいのか。

 目安として、この割合が1対1ならAW(アプローチウエッジ)、1対2ならPW(ピッチングウエッジ)、1対3なら9番アイアンあたりがいいのではないでしょうか。

 アメリカのインストラクターで巨匠に位置づけられるスタン・アトレーは、通常のアプローチで大事なのは、下半身だと言います。インパクトからフォローにかけて、左足を縦に伸ばすように教わりました。下半身でボールを捉える感覚が芽生えます。

 一方で、ランニングアプローチに関しては、上半身だけを使います。パターと同様、クラブを振り子のように動かし、ボールを捉えていくのです。

 クラブのソールにあるバウンスを使ったショットを体得するには、バンカーで練習するのがいいと思います。砂地であればバウンスを滑らせる感覚を身につけられますし、何より多くのゴルファーが苦手意識のあるバンカー対策にもなります。

◆レッスン3:15~20ヤードのアプローチ(実践編)
バウンスを滑らせる感覚を身につけて、
ダフリ、ざっくりをなくそう!

●キャリーとランの比率が1対1のアプローチ




トップやざっくりには気をつけたい。そのためには、ボールは中央もしくは中央より左に置く。ボールを右足寄りに置くと、バウンスを滑らせることができない。注意点としては、ハンドファーストには構えないこと。

●意識はソールに


フェースを開き、ソール部分を意識して、バウンスを滑らせる軌道の中でボールをとらえる感覚をつかめば、自然とボールは上がってくれる。

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写真のようにリーディングエッジがボールに当たってしまえばトップになってしまう。

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フェース面でボールをとらえようとすると、ざっくりの原因になってしまう。

●キャリーとランの比率が1対4のアプローチ





ランを出したい場合、SWや58度のウエッジをハンドファーストに構え、ロフトを立たせて打とうとすると、難度の高いアプローチになってしまい、シャンクなどにもなりやすい。最初からロフトが立っている8番アイアンを手にし、パターのように振り子運動でボールをとらえることで、容易にランの出るアプローチが可能になる。インパクト後、ヘッドを前方に出すようなイメージを持つ。

●ハンドファーストは禁物
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ウエッジにしろ、8番アイアンにしろ、アプローチではハンドファーストには構えないこと。リーディングエッジが芝生に突き刺さってしまう原因になる。