全日本大学選手権(インカレ)3日目。この日は、1日目と2日目のレースを勝ち抜いたクルーによる準決勝が行われた。男子部はエイトが惜しくも決勝進出を逃したものの、3艇が決勝へと駒を進めた。女子部も同様に3艇が決勝への切符を勝ち取った。これによ…

 全日本大学選手権(インカレ)3日目。この日は、1日目と2日目のレースを勝ち抜いたクルーによる準決勝が行われた。男子部はエイトが惜しくも決勝進出を逃したものの、3艇が決勝へと駒を進めた。女子部も同様に3艇が決勝への切符を勝ち取った。これにより、最終日は男女合わせて7艇が大学日本一を懸けて戦うことになった。

★3艇が決勝進出!総合優勝へ大きく前進(女子部)

 女子部の先陣を切ったのは、シングルスカルの松井友理乃(スポ3=愛媛・今治西)。スタートから他艇を突き放し、その後もリードを守り2位と20秒以上の差をつけて1位でゴール。手堅く決勝進出を決めた。続くダブルスカルは最後まで明大とのデッドヒートが繰り広げられた。1500メートルを過ぎてからはわずかに明大にリードを許したものの、「決勝に行くんだという一心で死ぬ気で漕いだ」(宇都宮沙紀、商3=愛媛・今治西)と、ラストスパートで見事な追い上げを見せ、0.24秒差で1位となった。絶対にメダルを取るという強い意思を持って、翌日の決勝に挑む。


ゴール前で明大を猛追する女子ダブルスカル

 1、2年生で組まれた舵手付きフォアは、敗者復活戦で課題となった中盤の伸びを改善してコンスタントで先頭集団に食らいつくも、追い抜くことはできずに結果は3位。順位決定戦にまわった。この日、女子部ラストレースとなった舵手付きクォドルプルは圧巻の一言。スタートから飛び出すと、苦手とする第2クォーターでも順調に艇を伸ばす。最後まで安定した漕ぎを見せ、1位でゴールした。ストロークとしてクルーを引っ張る安井咲智(スポ3=東京・小松川)は、「第1クォーターを飛び出る勢いで出て行き、1000メートルまでに1位を確定させたい」と意気込む。最終日は2年連続の総合優勝に向け、『女王早稲田』が決戦に挑む。

★3艇が決勝へ!エイトは善戦もあと一歩届かず(男子部)

 この日、男子部から最初に出艇したのは舵手なしペアだ。序盤は日大にリードされるものの、中盤以降は順調に艇を伸ばしていき、見事1着で決勝進出を決めた。続くシングルスカルは、最後まで目が離せない白熱したレースとなった。スタートから出るものの、慶大とほぼ横並び状態となる。その後は両者一歩も譲らない展開が続き、勝負のラストスパートへ。「負けたくない気持ちが強かった」(阿部光治、スポ1=愛知・猿投農林)と0.11秒差で1位をつかみ取った。5月の全日本選手権ではこの種目で4位だった阿部。このインカレではメダル獲得に期待がかかる。

 舵手付きフォアはパワフルな漕ぎで実力を見せつけた。スタートで他艇を一気に離すと、その後は焦らずに漕ぐことを意識し、危なげなく1位を守り切った。翌日の決勝については「スタートで出て、先手必勝でいきたい」(菱谷泰志、スポ3=鳥取・米子東)と意気込み、優勝を目指す。一方で、エイトは惜しくも決勝進出とはならなかった。序盤から中大と明大に先行される展開となり、中盤でもその差を縮めることができない。ラストスパートで意地の追い上げを見せるも、わずかに力及ばず3位。順位決定戦にまわることとなった。バウとして艇の最後尾からクルーを支えた藤井拓弥主将(社4=山梨・吉田)は「すごく悔しい」という言葉を何度も口にした。エイト優勝という部全体の目標には届かなかったが、これで終わりではない。「ぶっちぎりで勝つ」(藤井)と順位決定戦に向けて再びエンジの闘志を燃やす。


明大との差を詰め切れなかった男子エイト

★下級生中心のクルーが奮闘(オックスフォード盾レガッタ)

 毎年インカレと並行して開催されるオックスフォード盾レガッタ。今年も早大からは1、2年生を中心としたフレッシュなクルーの男子エイトがエントリーした。予選では、スタートで他艇にリードを許すものの中盤以降は立て直し、2艇を追い抜く。しかし、本来のコンスタントレートに届かず、2位でフィニッシュした。敗者復活戦では、スタートから阪大Aと競り合うかたちに。一時はトップに立ったが終盤に失速し、この組2位で今大会を終えた。未経験入部の1年生らを乗せたフレッシュなクルーなりに一定の仕上がりを見せた。ここで得た経験を糧に、さらなる成長を目指す。


ラストで艇を伸ばし切れず、準決勝進出を逃した

(記事 関飛人、写真 後藤泉稀、石井尚紀、平林幹太)

結果

▽男子部

【準決勝】

【舵手なしペア】

S:川田諒(社4=愛媛・松山東)

B:牟田昇平(商2=兵庫・三田学園)

7分05秒49 【1着 決勝進出】

【シングルスカル】

阿部光治(スポ1=愛知・猿投農林)

7分25秒96 【1着 決勝進出】

【舵手付きフォア】

C:菱谷泰志(スポ3=鳥取・米子東)

S:髙山格(スポ4=神奈川・横浜商)

3:瀧川尚歩(法3=香川・高松)

2:菅原諒馬(商4=東京・早大学院)

B:堀内一輝(スポ4=山梨・富士河口湖)

6分58秒21 【1着 決勝進出】

【エイト】

C:徐銘辰チーフコックス(政経4=カナダ・セントアンドリューズ)

S:坂本英皓副将(スポ4=静岡・浜松北)

7:舩越湧太郎(社3=滋賀・膳所)

6:森長佑(スポ1=福井・若狭)

5:田中海靖(スポ3=愛媛・今治西)

4:鈴木利駆(スポ3=静岡・浜松西)

3:中島湧心(スポ1=富山・八尾)

2:越智竣也(スポ1=愛媛・今治西)

B:藤井拓弥主将(社4=山梨・吉田)

6分05秒05 【3着 順位決定戦へ】

▽女子部

【準決勝】

【シングルスカル】

松井友理乃(スポ3=愛媛・今治西)

8分33秒71 【1着 決勝進出】

【ダブルスカル】

S:宇都宮沙紀(商3=愛媛・今治西)

B:木下弥桜女子主将(スポ4=和歌山北)

7分41秒20 【1着 決勝進出】

【舵手付きフォア】

C:勝又真央(スポ1=東京・小松川)

S:中尾咲月(スポ1=三重・津)

3:大崎未稀(スポ2=福井・美方)

2:茂内さくら(社1=秋田)

B:髙田涼花(社1=静岡・浜松西)

7分48秒40 【3着 順位決定戦へ】

【舵手付きクォドルプル】

C:奈良岡寛子(教3=青森)

S:安井咲智(スポ3=東京・小松川)

3:南菜月女子副将(教4=新潟南)

2:宇野聡恵(スポ2=大分・日田)

B:藤田彩也香(スポ3=東京・小松川)

7分17秒89 【1着 決勝進出】

▼オックスフォード盾レガッタ

【男子エイト】

【予選】

C:川野柊(法2=東京・早大学院)

S:三浦武蔵(商1=山梨・吉田)

7:大野一成(法3=東京・早大学院)

6:小林里駆(スポ1=静岡・浜松西)

5:濱野圭吾(商1=埼玉・春日部)

4:瀬川武志(商1=東京・本郷)

3:加藤聖也(スポ2=愛知・豊田北)

2:筆島一輝(先理2=東京・早大学院)

B:岡本真弘(商2=東京・早大学院)

6分36秒28 【2着 敗者復活戦へ】

【敗者復活戦】

7分00秒07 【2着 敗者復活戦敗退】




コメント

【男子エイト】

B:藤井拓弥主将(社4=山梨・吉田)

――おとといの予選は一橋大のミスオールがあり予選通過というかたちでしたが、レースを振り返っていかがですか

予選は満足のいく結果かと言われるとあまりそうではなくて、練習通りではなく緊張で硬くなって漕ぎ全体が短くなってしまって思うようには漕げなかったんですけど、相手のミスで本当に棚ぼたで(準決勝に)上がれた感じでした。

――きょうの準決勝のレースプランは

スタートダッシュが例年課題だったんですけど、そこについては今年はかなり改善したので、そこでしっかり相手と並んで出るくらいの感じでいって、そこから予選の課題だった漕ぎが短くなってしまう部分を改善しようというところを目標にしていました。

――実際にレースに臨んで、改善点であった漕ぎの長さについてはいかがでしたか

出だしから比較的大きな漕ぎができてそういうところは改善できたんですけど、他大も決勝に上がりたいということで第1クォーターからかなり攻めてきて、そこの競り合いで気迫で負けてしまったかなと。第1クォーターで出た差をそのまま最後まで引っ張ってしまったかなと思います。

――中大と明大が前に出ている中、ラストスパートで追い上げました

ずっと1着2着の船に前に出られていたんですけど、船はずっと被っていて徐々に詰めている感覚はあったので、最後まで勢いを殺さずに詰めていけたかなとは思います。ただ課題としてはその状態で、自分たちが前に出切ることができなかったところですね。

――目標としていた優勝への道は閉ざされてしまいましたが、この結果をどのように感じていますか

正直ものすごく悔しくて。部全体の目標はエイトの優勝と他2種目も表彰台というところで、他の種目はもうAファイナルが確定していて、着実に駒を進めていたんですけど、最後の最後で自分たちが優勝を狙うための舞台に立てなかったことはすごく悔しいです。優勝を狙った練習をしてきて、特に転地合宿の時もかなりいい走りができていて、これが(本番で)出れば優勝争いに加われるだろうというところまで来ていたんですけど、きょうは本当に出だしの気迫で負けてしまってそこが心残りです。

――1年生も乗っていますが、4年生から見て下級生の漕ぎはいかがでしたか

練習するたびに漕ぎが良くなっていて、レースも予選からきょうの準決勝でも漕ぎを改善してレースに臨めているところで、本当に吸収が早いなと感じます。でもやっぱりインカレなど学生スポーツならではだと思うんですけど、気持ちが技術を上回るという点では上級生の方がそういうところは強いので、上級生が多く乗っている他大の方が気持ちで競り勝つような部分があったりして。そういうところは今後負けないでいってほしいと思います。

――あすの順位決定戦はどのようなレースにしていきたいですか

本当に優勝を目指してやってきたので、その舞台に立てていないというのはめちゃくちゃ悔しくて。だからといってこれで終わりではなくて、あした最後1レースあるので、そこはぶっちぎりで勝つつもりでいいレースをして、組で堂々の1位を取りたいと思います。

【男子舵手付きフォア】

C:菱谷泰志(スポ3=鳥取・米子東)

――1日目の予選のレースを振り返っていかがでしたか

僕たちの強みがスタートで、それでタイムが出ていて、予選でもスタートで出て、相手を見ながら漕ぐことができて自信になりました。準決勝も同じようにスタートで出て、あとは相手を見ながら漕いでいくというのを意識していました。

――予選で課題が残った点はありましたか

500メートルから1500メートルの1000メートルはもう少しタイムを上げていかないと、決勝では相手も強いところで最初の500メートルの貯金だけでは戦えないので、コンスタントのところで相手に差を詰められないくらいにしたいなと思いました。

――そうした点を踏まえて、きょうの準決勝はいかがでしたか

きょうもそこを課題にはしていて、少しうまくいかないところもあったんですけど、決勝に向けて余力を残してできたので良かったです。

――先日の対談で同じクルーの4年生が、「1500メートルまでは温存していきたい」と仰っていました

今回も相手を見ながら漕ぐことができていて、相手に詰められれば上げて、そのままであれば焦らずに漕ぐということで、準決勝は温存できたかなと思います。

――「ユニホーミティーを高めていきたい」というお話もありました

試合前の1週間でだいぶ仕上がって、特に予選の日の朝から調子が良くて、そこで完成して大会に臨めています。

――決勝ではどのようなレースをしていきたいですか

全体的に立教とか大阪府立がそんなにスタートが速くなくて、後から結構くるので、予選と準決勝のようにスタートで出て、相手を見ながら必死に逃げて、先手必勝でいきたいと思います。

――明日の決勝は先輩方との最後のレースになりますが、意気込みをお願いします

絶対に1位になりたいです。僕も瀧川(3:瀧川尚歩、法3=香川・高松)も浪人で、みんな同い年ですし、僕は(舵手)付きフォアに限らず高校のときからやっている選手が多いので、最後にいい花道をつくりたいです。

【男子シングルスカル】

阿部光治(スポ1=愛知・猿投農林)

――きょうの準決勝はタイムの速い選手が多く集まる組み合わせでしたが、どのような気持ちでレースに臨みましたか

決勝に備えて体力を残しておきたかったのですが、かなり接戦になって体力を使ってしまったので、厳しいレースになりました。

――最後に競り合うかたちとなりました

ラストスパートで相手が反応したのに合わせてこちらも反応して、常に相手と同じ場所にいようと考えていました。

――ラストスパートへの余裕などはありましたか

余裕はなかったのですが、負けたくないという気持ちが強かったので頑張りました。

――きょうの良かった点を教えてください

良かった点は、コースに藻が多いのですが藻に引っかかっても対応できたところです。あしたは藻に引っかかっても、藻を蹴散らすくらい速いスピードを出したいです。

――あすの決勝での具体的な目標は

やはりきょうけっこう疲れてあしたは厳しいかなというものがあるのですが、逆にふっきれてどうでもいい感じがするので最初から飛ばして頑張っていきたいなと思います。

【女子舵手付きクォドルプル】

S:安井咲智(スポ3=東京・小松川)

――女子舵手付きクォドルプルは予選、準決勝ともに安定した漕ぎで通過しています。予選を振り返って

流れが順でタイムが出やすかったので、初めから攻めていけたなと思います。そんなに出し切ることなく、次の課題があるけれどよかったところもしっかり出していけたかなという印象です。

――予選の課題を踏まえてきょうはどのようなレースプランでしたか

きょうは予選と変わって流れが逆になってしまったので、前半に出しすぎて後半持たないということがないように、かつ予選で第2クォーターが少し落ち込んでしまったので、500メートル地点でいつもは入れていないアクションを入れて、全員で漕ぎを統一させてからコンスタントに移行ということになりました。そこが課題だったので、予選の課題を生かすことができました。

――準決勝での収穫はありますか

自分たちが落ち込みやすい第2クォーターを声出してコックスに反応することで苦手だと思っていたところが、うまい具合に漕ぎ切れることがわかってそこが弱みじゃなく、むしろ強みになってきたのかなという感覚が収穫です。それと、まだまだみんな行ける、あまり疲れていないということをみんなが共有できていることも大きいと思います。

――あすの決勝はどのようなレースにしていきたいですか

流れにも寄るんですけど、私たちは身長も小さくて体重もないので、早いテンポ、ピッチでいかないとなかなか勝てないので、スタートは中大が速いんですけど、第1クォーターで飛び出る勢いで出て行って1000メートルまでに1位を確定させて、自分たちのリズムでゴールまで行けたらなと思います。

――総合優勝も懸かっています。あしたに向けて意気込みをお願いします

4年生の先輩を乗せているので、その先輩に花を添えてあげられるようなレース展開や結果になるように、ストロークとしてみんなをリズムよくゴールまで引っ張っていきたいと思います。

【女子ダブルスカル】

S:宇都宮沙紀(商3=愛媛・今治西)

――きょうのレースプランを教えていただけますか

予選のレースでは序盤に前に出られなかったので、できる限りスタートは他艇に付いていくように出て、中盤からは持ち味であるコンスタントで伸びのある漕ぎを維持して最後にスパートをかける展開にしようとしていました。

――2位の明治大とは0.24秒という僅差で制したレースとなりましたが、全体を振り返ってみていかがですか

序盤は予選よりもいいスタートが切れて、1000メートルまでは自分たちの思っていたようなレースができましたが、1250メートルあたりからバテて漕ぎが乱れてきてしまいました。それでもラスト200メートルほどの追い上げでなんとかしたという感じです。

――1500メートルを過ぎてからわずかに明治大にリードを許すかたちとなった場面ではどのようなことを考えていましたか

私と一緒に乗っていたバウの弥桜さん(木下弥桜女子主将、スポ4=和歌山北)が4年生で最後の舞台というのもあったので、絶対このままで終わらせるわけにはいかないという思いでした。決勝に行くんだという一心で死ぬ気で漕ぎました。

――あすの決勝はどのようなレースにしたいですか

あすも今回のように序盤から攻めたレースをしていきたいと思っています。

――具体的な目標があれば教えていただけますか

絶対に弥桜さんの首にメダルをかけたいと思います。

【オックスフォード盾レガッタ男子エイト】

C:川野柊(法2=東京・早大学院)

――予選を振り返ってどうでしたか

最初一橋大に半艇身出られてしまい、コンスタントに入ってもリズムが悪く、出したかったコンスタントレートにも届かず、水がどんどん重くなってしまいました。レンジに関しても、長く漕ぐことを意識していたんですけど、リズムが悪くなるにつれて、レンジも短くなってスピードが伸びませんでした。

――敗者復活戦はどうでしたか

スタートを勇気持ってアタックしようと話して、スタートに臨みました。第2クォーターで阪大Aを攻められるおいしい場面だったんですけど、自分たちが半艇身リードしたところでキープに入ってしまって、そこから伸ばし切ることができませんでした。第2クォーターで勝負できなかったところが敗因かなと思います。

――第3クォーターで伸びなかったのはそこが原因ですか

そうですね。相手にアタックできると思わせてしまった部分があります。

――川野選手は昨年もコックスとしてこの大会に出場していますが、その頃と比べて変わった点はありますか

上級生になって自分たちが引っ張る立場になって、下級生や未経験者にどう教えていくのか考えるようになりました。あとは自分も結構いろいろな経験をさせていただいて、自分の追い求める漕ぎを追求できました。また、自分がレースを展開する力やクルーをまとめる能力がないなと感じました。そこは昨年と比べて成長した部分かなと思います。

――今後に向けて意気込みをお願いします

僕の次の大会は全日本新人選手権になると思います。その大会では、1年生や2年生を中心にかなりいいメンバーがそろえられると思うので、まだ何に乗るのかは分かりませんが、優勝を狙ってやっていきたいです。