「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月26日~男子9月8日・女子7日/ハードコート)の大会8日目、女子シングルス準々決勝。セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が、ワン・チャン(中国)を6-…

「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月26日~男子9月8日・女子7日/ハードコート)の大会8日目、女子シングルス準々決勝。

セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が、ワン・チャン(中国)を6-0、6-1のストレートで破り、準決勝進出を決めた。勝者セレナは、試合後の記者会見で以下のように話した。

集中力が増して絶好調の時には、どのような気持ちなのでしょうか?

「いい気分よ。"このためにトレーニングをしてきた。一生懸命やってきたからいいプレーができているのよ"という気持ちね。努力が報われているという感じよ」

足首の調子はいかがでしたか?

「何も問題はないわ。テーピングが少し緩んでしまったので、念のためにやり直してもらったの。足首は順調によくなっているわ」

1988年「全仏オープン」の決勝でシュテフィ・グラフ(ドイツ)がナターシャ・ズべレワ(ベラルーシ)に6-0、6-0で勝利した試合を観たのですが、ズベレワはその時、何本かウィナーを決めています。チャンは、今日1つもウィナーを決めることができませんでした。これは、あなたのプレーが素晴らしすぎたからでしょうか?それとも彼女のストロークが、あなたを攻めることができなかったからでしょうか?

「フットワークや、返球は、練習してきたから、相手にチャンスを与えずにプレーができたと思う。いいスタッツが出せたと思う。しっかりと走れるようになりたいので、よかったわ。動きたいタイミングで、しっかりと動きたいの。恐らく今日は動きたかったのだと思う」

「全米オープン」での100回目の勝利でしたね。初勝利を思い出しますか?それとも、センチメンタルな気分に浸る余裕はありませんか?

「え?初勝利?覚えていないわ。あなたはご存知?」

知りません。

「私も覚えていないわ。うーん、後で調べてみるわね。なので、初勝利のことを思い出したりはしないわ」

あなたと、お姉さんのビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)は、ともにITFのジュニア大会に出場することなく、WTAのツアー大会に初出場しています。最近では、あまりそういったジュニア選手が現れることはありませんが、当時はどの程度の恐怖心をもって挑んでいたのでしょうか?これからのジュニア選手たちには勧めますか?また、そうすることの、良い点と悪い点を教えてください。

「私にはよかったと思っているわ。それぞれ自分なりの道を進めばいいと思う。私は学校に通うことをすごく楽しんだし」

「私はビーナスと一緒にツアーを回ることができたから、その点では他の選手たちよりも、かなりいい環境だった。でも、ビーナスにとっては大変だったと思う。私は彼女を見て多くを学ぶことができた。彼女の勝利からも、敗戦からも、すべてのことから学んだわ」

「だけれど、ジュニアの大会もいいと思うわ。とてもいい機会だと思う。でも、私の方法は、私には向いていたのだと思う。でも、出場したことがないので、ジュニアの大会がどういうものなのかについては答えられないわ」

どのようにして、自分がWTAのツアーに出場する準備ができていると確信したのですか?

「いい質問ね。うーん、分からないわ。ただ、WTAで戦いたいって思ったの。だから、どのようにして確信したのか、分からないわ」

「若い時にはみんな、大人の世界にあこがれるものなのだと思う。早く大人になりたいって思うのよ。でも、大人になると、少し若くなりたいって感じるのよね。私は、ただ大人と同じことをしたかったのだと思う」

キャリア当初、女子テニスがどうなっていくと考えていましたか?そして自分のキャリアがどうなっていくと考えていましたか?また、キャリアも終わりに近づいた今、どう思われますか?

「全く考えたこともなかったことだわ。考える機会があることはいいことだと思う。今もプレーを続けているし、やれることはやっているから、まだ、それ(引退)については考えていないけれど」

ここ20年で、スポーツとしてのテニスはどう変わってきたと思いますか?

「とても発展してきていると思うわ。ここ最近の女子スポーツや女性トップアスリートの現状については、うれしく思っている。女性ができる仕事の中では世界1のものだと思うの。もちろん多少偏った考え方だとは思うけれど」

「私たちは長い年月、本当にたくさんの物事と、必死で戦ってこなくてはならなかった。もちろん、まだ十分とは言えないけれど、これまでの戦いが報われていることは確かよ」

今までの試合の中でも、最も完璧といえる試合でしたが、ミスが少ないという事についてはどう思われますか?

「ミスが少ないことは、常にいいことよ。ミスをなくす練習にも、取り組んできているの。そのうちに、すべてがうまくいくようになればいいと思うわ」

多めの休みは、あなたにとってどれくらい重要な事でしょうか?フルセットの試合はやりたくないと思いますが、44分で試合を終わらせる事は、特に今のキャリアの時点では、どれくらい重要な要素になりますか?

「何試合も続けて戦うことも、44分の試合も、問題ないわ。これまでのキャリアで、長い試合も短い試合もたくさんやってきているから、どんな状況にも対応する準備はできていると思う」

あなたの「全米オープン」での初勝利は、ニコール・プラット(オーストラリア)でしたね?

「え?まったく覚えていないわ」

そうなんですか? 

「本当に覚えていないわ。彼女とオーストラリアで対戦したのは覚えているけれど」

フルセットの試合でしたよ。

「フルセットだったの?オーストラリアでの対戦がフルセットだったのは覚えているけど、本当に覚えていないわ」

1998年でした。 

「98年だったの?」 

何にも覚えていないんですか?

「私は覚えていないけど、ビーナスなら絶対覚えていると思うわ。彼女は何でも覚えているの」

今大会では相手を威嚇する様なプレーを多用していますか?

「いいえ、基本的に威嚇的なプレーはしないわ。私は私。コートに出て、うなったり、叫んだり、文句を言ったり、泣いたりして、ずっと戦ってきたの」

「とにかく全身全霊でテニスをしているの。仕事を愛している人たちはそうじゃないかしら?私はそう思うわ」 

あなたにとってのプロ初試合は、ケベックで行われた「ベル・チャレンジ」の予選でした。その時は完敗でしたね。 

「完敗だったわ」

その負けた試合は、悪い影響を与えなかったのですか?今は、好調のようですが?

「そうでしょう?あの大会に出るには、まだ早かったと思うわ。実際私が出場した理由は、当時WTAが出場年齢制限の規定を改変して、あの年に出場をしないと、その他の大会出場資格を得られなくなる可能性があったからなの。ただ、出場しなくてはならなかっただけ。早すぎたわ」

「すごく緊張したわ。あの大会は95年だったけど、結局、その後97年まではプロの大会に出場しなかったもの」

あの試合で完敗した事で自信を失いましたか?

「自信を失いはしなかったわ。ただ、準備が出来ていなかったと思ってる。義務的に出場しただけという風にとらえていたわ」

「でもその代わり、また挑戦する為に1年半から2年かけてじっくり準備はしたわ。その時は完全に熟してたと思う。どんな厳しい試合でも大会でもできる状態だった。プロ初試合では、まったく準備が出来ていなかっただけだと思うわ」 

まだ次戦のエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)の話を聞けてませんでした。あなたは、彼女に3回勝利していますが、2016年のオリンピック戦では熱戦で敗れています。それ以降スビトリーナのテニスをどう思われますか?また次戦でのあなたにとっての挑戦とは?

「彼女は、ご存知の通りファイター型の選手だと思う。どんなボールでも返してくるし、ミスも少ない。すべてをうまくこなせる選手だと思うわ。だから私も同様に、すべてをうまくこなさないといけないと思うわ。 

オリンピックでの対戦について、特に印象に残っていることはありますか?

「あのオリンピック(2016年)は、私にとって本当に辛かったわ。ダブルスではじめて負けたの。ダブルスの負けが本当にきつかった。直後のシングルス戦も同じだったわ」

「リオのオリンピックは参加しなかったわ(笑)」

セレナは、準決勝でエリナ・スビトリーナと対戦する。両者のツアーでの対戦はこれが4回目で、これまでの対戦成績はセレナの3勝1敗だ。

(テニスデイリー編集部)

※対戦成績はフェドカップを除く

※写真は2019年「全米オープン」でのセレナ

(Photo by Tim Clayton/Corbis via Getty Images)