「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月26日~男子9月8日・女子7日/ハードコート)で、マイク・ブライアン(アメリカ)に対し、1万ドル(約106万円)の罰金が科されたと、米メディア・ニ…

「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月26日~男子9月8日・女子7日/ハードコート)で、マイク・ブライアン(アメリカ)に対し、1万ドル(約106万円)の罰金が科されたと、米メディア・ニューヨークタイムズが報じた。9月1日に行われた男子ダブルス2回戦、マイク・ブライアン/ボブ・ブライアン(アメリカ)対 フェデリコ・デルボニス(アルゼンチン)/ロベルト・カルバレス バエナ(スペイン)の試合において、マイクが自身のラケットを、ライフルのように構えて審判らに向けたことが原因だ。

第2セットの12ゲーム目、最初のポイントが終わった時点で問題の行為は起こった。ベースラインぎりぎりに落ちたデルボニスのロブに、インのコールがされると、マイクはすかさずチャレンジを要求。ビデオ判定により、約1.5cmボールがアウトしていたことが判明し、マイクのチャレンジは成功した。

その判定を確認したマイクは、おもむろにラケットを両手で持ち、ライフルを構えるようにして、ラケットの持ち手部分を線審に向けた。その後マイクは、主審と線審をそれぞれ人差し指で指さすと、あきれたように頭を左右に振った。

すぐに主審のマリアナ・アルビスは、スポーツマンらしからぬ行為として、マイクに対しコードバイオレーションを科すと、ブライアン兄弟は憤慨し、「僕が何をしたのか教えてくれ!どんなジェスチャーだっていうんだ?」とマイクは抗議した。

アルビス主審は「あなたがしたジェスチャーですよ。ラケットを銃のように構えて線審と私に向けたでしょう。私は不適切な行為とみなしました」と返答した。

銃による犯罪が後を絶たないアメリカにおいて、彼の行為が配慮に欠けた行為とみなされるのは、当然といえるだろう。その後マイクに科せられた1万ドルの罰金は、今のところ今年の「全米オープン」では1番高い金額だ。

「(マイク・ブライアンの行為に対し)1万ドルの罰金は妥当であると、我々は考えております」と、USTA(米国テニス協会)のスポークスマンを務める、ブレンダン・マクインター氏は語った。

「全米オープン」男子ダブルスで、6回の優勝経験を持つ41歳のマイクは、「私の行為が、皆さんを不快な気持ちにさせてしまい、大変申し訳ありませんでした。チャレンジに成功し、得点をしたことで、遊び心からあのジェスチャーをしました」

「しかしながら、先日の銃による事件や、政治的な状況を考慮し、私の行為は配慮に欠けたものであったと理解しております。今後このようなことは、二度と起こらないとお約束いたします」と声明文を発表している。

アメリカでは、つい先日もテキサス州オデッサで銃乱射事件が起き、26人が死傷したばかりだ。銃規制の声が高まる中、銃による犯罪が起こる度に、自己防衛のために銃を買い求める人が増えることもあり、テキサス州では銃規制を弱めている。

インターネット上では、「もしセレナ・ウイリアムズが同じことをしていたら、その場で失格になっていたのではないか?」「銃社会アメリカを象徴している」「出場停止処分などの、もう少し重い処罰を与えるべきだ」などの反応が見られた。

ブライアン兄弟は、現地時間午前1時6分に終了したこの試合を、4-6、7-5、6-3で勝利している。しかしながら、3回戦でジャック・ソックとJackson Withrowペアに4-6、5-7で敗退している。 今のところ罰金以外の処分は検討されていないようだが、マイクに対する世間の風当たりは、しばらく強くなりそうだ。

(テニスデイリー編集部)

※為替レート:2019年9月2日時点

※写真は2019年「ATP500 ワシントンD.C.」での(左)ボブ・ブライアンと(右)マイク・ブライアン

(Photo by Mitchell Layton/Getty Images)