20歳のデミノーに敗れて4回戦進出はならなかった錦織圭 USオープン(全米)3回戦で、第7シードの錦織圭(ATPランキング7位、8月26日づけ/以下同)は、アレックス・デミノー(38位、オーストラリア)に、2-6、4-6、6-2、3-6…



20歳のデミノーに敗れて4回戦進出はならなかった錦織圭

 USオープン(全米)3回戦で、第7シードの錦織圭(ATPランキング7位、8月26日づけ/以下同)は、アレックス・デミノー(38位、オーストラリア)に、2-6、4-6、6-2、3-6で敗れて4回戦進出はならなかった。

 これで、昨年のウインブルドンから続いていたグランドスラムでの連続ベスト8の記録は5回で途絶えた。さらに、グランドスラムでベスト16以上に残れなかったのは、2017年ウインブルドンでの3回戦敗退以来となる。

「彼(デミノー)のサーブはよかったし、ディフェンスがよかったので、攻めきれなかった。自分のテニスが100点じゃない中、ディフェンスをされて、(自分が)アンフォースドエラーをして、みたいなパターンがすごく多かった。(彼が)振られた時に、もうちょっと浅いボールが来るのかなと思っていたが、しっかり深く返して来ていた」

 自身のプレーについては、「ミスが多過ぎた。いつもと違って安定感もなくいいプレーができなかった」と振り返った錦織。第4セット第8ゲーム30-0の場面で、フォアハンドストロークがロングになると、思わずラケットを投げつけてイライラを爆発させた。フォアハンドストロークは、上半身だけで打っているような手打ちになってしまうことが多く、ボールには本来の伸びがなかった。

 また、ファーストサーブの確率が、第1セット54%、第2セット52%、第3セット56%、第4セット64%といまひとつ。ファーストサーブからいいリズムをなかなかつくれず苦しんだ。その結果、第1セットで3回、第2セットで2回、第4セットで3回、デミノーにサービスブレークを許す厳しい展開になった。

「そういう時はやっぱりリターンゲームになかなか余裕が出てこない。サービスゲームが簡単に取れるのがそこまで多くなかったので、つらいはつらかったですね。ファースト(サーブ)の入りがもうちょっと入ってくれていれば、楽にキープできていたかもしれないです」

 結局、錦織はフォアのミス29本とバックのミス21本を含む合計60本のミスをし、攻撃的でミスの少ない本来のテニスとはかけ離れた内容に終始した。

 一方で、若武者らしく立ち向かっていったデミノーは、錦織からの初勝利を挙げ、これがトップ10選手からの初勝利でもあった。

「ハードに戦いました。ついにトップ10から初勝利をつかむことができてうれしい」

 29歳の錦織より9歳年下のデミノーは、次世代を担う”Next Gen”呼ばれる期待の若手のひとりで、錦織のテニスを見て育った部分もあるというのだから、時の流れを感じずにはいられない。

「彼(錦織)は、長い間ツアーで活躍していて、ストライクゾーンでボールを打つ能力や、あらゆるショットをうまく打ち返して、コースを変えたり、ライン上に打ったり、どうやったら彼のようにやれるのか、驚異的です」

 錦織は、2018年全米準決勝進出のランキングポイント720点をディフェンドしなければならなったが、3回戦敗退という結果によって90点しか守ることができず、ランキングは9位前後に落ちる予定だ。

 また、年間成績上位8人が出場するツアー最終戦、ATPファイナルズの出場権争いの指標となるRace to Londonは2180点になるが、他の選手の成績次第では、現在の出場圏内の8位から落ちる可能性があり、出場権を確保するには立て直しが不可欠になってくる。

 それにはまず、シーズン中で難しい部分はありつつも、右ひじの治療とリハビリが欠かせない。右ひじについて錦織から言及はなかったが、サーブをミスしたあとに右腕を上から下へ振る仕草が何回か見られ、顔をしかめる場面もあった。右ひじの影響によって、ベストパフォーマンスを妨げられていた可能性はある。

 昨シーズン秋に錦織は好成績を収めたため、これから2019年シーズン終了までにディフェンドしなければいけないランキングポイントは合計1250点ある。

「プレッシャーはそんなにないです。この負けをなるべくプラスにできるように練習して、また楽天(10月第1週のジャパンオープン)までに調子を合わせたいと思います」

 錦織にとっては、トップ10 をキープしていけるかどうかの重要な戦いになってくる。デミノーら若手が着実に実力をつけてきて、錦織の背中を追いかけてくる足音はますます大きくなってきている。