USオープン(全米)2回戦で、第7シードの錦織圭(ATPランキング7位、8月26日づけ/以下同)は、ブラッドリー・クラン(108位、アメリカ)を、6-2、4-6、6-3、7-5で破り、2年連続7回目の3回戦進出を決めた。3回戦進出を決めた…

 USオープン(全米)2回戦で、第7シードの錦織圭(ATPランキング7位、8月26日づけ/以下同)は、ブラッドリー・クラン(108位、アメリカ)を、6-2、4-6、6-3、7-5で破り、2年連続7回目の3回戦進出を決めた。



3回戦進出を決めたが、右ひじの状態が心配される錦織圭

 第1セットでは、錦織が第3、第7ゲームをブレークして28分でセットを先取。クランのバックサイドにボールを集めてミスを誘い、ラリー戦は、ほとんどのポイントで主導権を握った。ただ、第1セットを取るには取ったが、ファーストサーブの確率が35%と低く、相手のミスによってポイントを重ねられた印象が強い。

 また、第8ゲームで錦織は2回のダブルフォルトをしたが、そのうち1ポイント目のダブルフォルト直後には、錦織が右腕を上から下へ振る仕草をして、右ひじの痛みに顔をしかめる場面があった。

 第2セットも第3ゲームで錦織が先にブレーク。ブレークを決めたポイントでは、錦織が、ベースラインからコートの中へステップインして、バックのダウンザラインへの見事なウィナーを決めた。

 だが、第2セットの4-3、第8ゲームでの自分のサービスゲームで、突然集中力を落とし、精彩に欠けるプレーが増えてきた。錦織はバックハンドのミスを3本してあっという間に0-40。30-40まで挽回するものの、結局、錦織がフォアの逆クロスをミスしてブレークを許した。

 この、第8ゲームを錦織がキープして5-3にできていれば、ストレート勝利につなげられたかもしれない場面だった。

「あそこはよくなかったですね。簡単なミスも相次いでいました。リードして2セットアップにしたかった。ちょっと彼を生き返らせて、チャンスを与えてしまった。反省すべき点ではあったと思います」

 結局、第7ゲームから4ゲームを連取されて、第2セットを奪われた。

 続く第3セットは、錦織が2回のブレークを活かして取り、さらに第4セットは、錦織が第2、6ゲームをブレークして5-2。勝利まであと1ゲームとした。

 だが、第7ゲームで、錦織は1回目のマッチポイントをつかみながらも取りきれずブレークバックを許す。さらに第7ゲームから4ゲームをクランに連取されて5-5。それでも、第12ゲームで錦織が5回目のマッチポイントを制して、2時間44分の試合にピリオドを打った。

 クランは、試合全体でサービスエース18本を含む50本のウィナーを決めた。だが、バックのミス32本を含む62本のミスを犯し、さすがに錦織の勝利が揺らぐことはなかった。

 錦織は、今回もポジティブな点をピックアップして次につなげようとしていた。

「アップダウンはありますけど、いい時のプレーはすごく気に入っているというか、いいテニスができていると思う。(前哨戦の)カナダとシンシナティで合わない感じがあったのに比べれば断然いい」

 3回戦では、クリスチャン・ガリン(32位、チリ)とアレックス・デミノー(38位、オーストラリア)の勝者と対戦予定で、共に初対戦になる。

 デミノーは、オーストラリアの次世代エースとして嘱望されている20歳。2019年シーズンに、ATPシドニー大会とATPアトランタ大会で優勝している。

 ガリンは、今季ATPヒューストン大会とATPミュンヘン大会で優勝、ATPサンパウロ大会で準優勝(すべてサーフェスはレッドクレー)して、ランキングを急激に上げてきた23歳の成長株だ。

 錦織が2回戦のように隙をみせるテニスをしてしまったら、ガリンもデミノーもそこを、反撃の糸口にしてくるだろう。

「もっとタフなストローク戦になると思う。明日はまたいくつか調整して、よりよい練習ができたらと思います」(錦織)

 ラウンドが上がって強敵との対戦が始まっていく錦織は、今後右ひじの状態も懸念される。うまく軌道修正をして、プレーのレベルを上げられるかが上位進出のカギになっていくはずだ。