専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第219回 我々がゴルフをやっている間に、世間は大変なことになっていました。『かんぽ生命』じゃあ、お年寄りをだまして新たな保険に加入させ、旧契約との2重払いをさせていたとか。お…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第219回

 我々がゴルフをやっている間に、世間は大変なことになっていました。『かんぽ生命』じゃあ、お年寄りをだまして新たな保険に加入させ、旧契約との2重払いをさせていたとか。お年寄りの味方であるべき郵便局員が、詐欺に近いことをやるなんて、誰を信用すればいいのやら……。

 また、そのお年寄りが不自由なく暮らしていくための老後資金においては、「年金だけでは足りず、2000万円が必要」と金融庁が報告書を出すくらいだから、ゴルフなんて……。ほんと、これから先、どうやって生きていけばいいのでしょう。

 というわけで、今回は将来に対する漠然とした不安と、ゴルフとの関係性などを、つらつらと綴っていきたいと思います。

 まず、将来の問題で大事なのは、これ。

(1)何歳まで働くのか
 知り合いの社長で、62歳で引退し、旅行三昧している人がいますが、どうなんでしょうかね……。1年ぐらい旅をしたら、また現場に戻ってくる気がしてなりません。

 だって、体は元気だし、頭はボケてないし、仕事は好きだし。今後、やることがなくなって、「一番の趣味は仕事」と気づいて、また働き出すのではないでしょうか。

 個人的には、最低でも70歳までは仕事をしないといけないでしょう。マンションのローンも残っているので、やめられないのです。

 サラリーマンは、60歳の定年、プラス希望があれば5年ほど、働けるようになっています。ただし、契約社員などの非正規社員は状況が違うみたいですけどね。

 基本は、健康です。体が動くなら、70歳ぐらいまでは十分に働けます。現役時代より給料は落ちるかもしれませんが、それでもお金が入ってくるなら、問題ないでしょ。プラス年金で、そこそこ生活できますよ。

(2)先輩たちの70代ライフ
 70代の人って、お爺ちゃんと思うでしょ。でも、実際はすごく元気です。過去30年で、平均寿命は、およそ5歳は延びていますから、今70歳の人は、昔で言えば65歳と言えるのではないでしょうか。

 それにしても、平成の時代だけで平均寿命が5歳も延びて、その延びた分も年金で保障するって、結構大変です。財源はどうするんですかね?

 で、そんな年金生活をしている先輩たちは今、どんな暮らしをしているのか?

 現在75歳ぐらいの先輩編集者たちは、たまにOB会などのコンペに呼ばれると、遠路はるばるやって来ます。長野や新潟などからも泊りがけでやって来る人もいます。みなさん、すごく元気で、ゴルフと宴会をやって大はしゃぎしています。

 結局、今の70代は”年金勝ち組”です。地方暮らしだと厚生年金に入っていたら、生活には困らないでしょう。加えて、地元で町おこしなどをやっている方もいて、ゴルフ代ぐらいは自分で捻出できるそうです。

 そう考えると、問題は現役世代ですね……。

(3)現役世代のゴルフ
 今、ゴルフをやっている人は、バブル時代にバリバリやっていた。あるいは、バブル後も仕事が順調だから勢いで続けてきた。もしくは、父親がゴルフを嗜んでいた影響を受けたり、友人に誘われたりしてやり始めたなど、理由はどうであれ、環境的に恵まれていた方が多いと思います。

 この世代は、マグロの遊泳と同じで「止まったら死んでしまう」世代です。毎日バリバリ仕事をして、余暇は飲んだり、騒いだり、ゴルフをしたりして、連日連夜、エネルギーを放出しまくっています。

 それはそれでいいのではないでしょうか。下手に守りに入って、お酒をやめたり、ゴルフを自粛したりすると、かえってストレスがたまって、心の病になりますからね。

 人生を深く考えず、今までのペースで、大いに稼いで、大いに消費する。それでいいと思います。そのためにも、統計やネガティブなニュースには惑わされないことですね。

(4)統計のカラクリに騙されないこと
 サラリーマンが集結する新橋のSL前広場で、よく街頭インタビューをやっていますよね。「お父さんのお小遣いは3万円で~す」とか、「1日500円のワンコインランチで月1万5000円が消え、唯一の楽しみが月2回、居酒屋に行くことで~す」とか言っているやつです。

 そこには、絵に描いたような”サラリーマン”が街頭インタビューに登場しています。実際、そういう人もいるでしょうけど、新橋にはキャバクラも、高級和食店やイタリアンもあって、どの店も繁盛しています。

 確かに新橋は、銀座や六本木に比べれば、お値ごろですが、なんといっても港区です。ガールズバーで飲んでも1万円ぐらいします。新橋=典型的サラリーマンというのは、まさしく作られたイメージです。

“サラリーマン”のピックアップは、どこの街でもできるんですよ。だから、その感覚や統計で物事を測るのは、やめましょう。結局、小金持ちが陰で楽しんでいるのが発覚すると暴動が起きるので、”庶民”の日常生活を描いて治安を維持している――そんな気がしてなりません。

(5)結局、先のことは誰もわからない
 いいですか、人生80年、好きなことをやって、ゴルフをして、キャバクラに行って、愛人もいて、ウハウハで楽しかった。その代わり、最後の1年間は悲惨で、一文無しの野垂れ死にだぞ、という”キリギリスの人生”があったとします。

 そしてもうひとつは、人生80年、真面目に仕事をしてこつこつと老後に備え、愛妻家で、子煩悩で、浮気もせずにゴルフもしない。やるのは、スマホの無料将棋ゲームだけ。それでも、最後は家族みんなに看取られて、子どもたちにも遺産をのこして死んでいく――俗に言う”アリの人生”です。

 さあ、あなたならどちらの人生を選択しますか?



ゴルフを楽しんでできる人生であれば、十分に幸せですよね...

 私は迷わず、”キリギリスの人生”を選びます。人生80年のうち、そのうち大半で好きなことをやれるなら、残りの余生は捨てます。

 私が思うに、人生とは「いかに幸せに死ぬか」じゃなくて、「いかに多く、楽しい時間を過ごすか」じゃないですか。

 さあ、答えは出ました。早速、来週のゴルフの予約をしましょうよ。

 ハヴァナイスディ!