米新聞The New Yorkerのインタビューで、ロジャー・フェデラー(スイス)がニック・キリオス(オーストラリア)のラケット破壊や、審判への暴言等についての考えを語った。「怒りの感情を表に…

米新聞The New Yorkerのインタビューで、ロジャー・フェデラー(スイス)がニック・キリオス(オーストラリア)のラケット破壊や、審判への暴言等についての考えを語った。「怒りの感情を表に出すことは、いいことだと思うよ。僕も若いころは、そういった怒りを感じていたからね。いまだに、そういう選手がいることはいいことだよ。そういった怒りには共感できる」

「僕だって、今も練習中にフラストレーションを感じているから。ものすごく苛立ってしまう事だってあるんだ。テニスというのは、必ずミスをするスポーツ。だから誰であろうと、そういった怒りと無縁ではいられないんだ」

フェデラーは、プロの道に進み、あきらめてきたことについて続けて語った。「僕にとって、テニス以外のスポーツをあきらめなくてはならなかったことは、悲しいとまではいかないまでも、残念なことだと思っている」

「若いころは、友人とスカッシュをしたり、ツアーの試合前に卓球に興じたこともあった。全豪オープンの後には、よくスイスでスキーをしたりもしていたよ。だけれど、怪我をしてしまったら困ると思いなおした。だから、怪我につながるような、他のスポーツはやめるべきだと自分に言い聞かせたんだ」

「他にも楽しいことは探せる。今は子供もいて、公園に遊びに行ったりする。全く違ったライフスタイルさ。ティーンエージャーの頃は、やりたいことを何でもできた。まだ、プロテニス選手として生きることの意味を模索していたんだ。その頃のことは、今も懐かしく思うよ」

コート上では常に冷静で、苛立ちを表に出すことはあまりないフェデラーだが、以前は、キリオスと同じく自身の感情をコントロールできずに、頻繁にラケットを放り投げ、審判に対して悪態をつくこともあった。

「僕は、試合中に我を忘れるような選手にはなりたくない。勝つために、僕は態度を改めたんだ」と語るフェデラー、勝つためには何が必要なのかを学び、それを実践することで輝かしいキャリアを築いた。

一方、いまだに問題を起こし続け、先日の「ATP1000 シンシナティ」では、テニス史上最高額となる11万3000ドル(約1,190万円)もの罰金を科せられたキリオス。彼の主張には、賛否両論あるものの、タイムバイオレーションのとり方など、テニス全体として議論が必要なものもあることは事実だ。

しかしながら、彼の一連の暴言やラケット破壊を擁護する声は少ない。ラファエル・ナダル(スペイン)も「グランドスラムで勝てる才能だが、敬意に欠ける」とコメントしており、多くのテニス関係者がキリオスの才能の浪費を憂えている。

現在開催中の「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月26日~9月8日/ハードコート)では、暴言によるコードバイオレーションを受けたものの、終始安定したプレーを見せ初戦を白星でスタートしたキリオス。2回戦はワイルドカードで本戦出場を決めた、世界ランキング104位のアントワン・ホアン(フランス)と対戦する。審判とではなく、対戦相手との熱戦を期待したい。

(テニスデイリー編集部)

※写真は(左)「ウィンブルドン」でのフェデラー (Photo by TPN/Getty Images)(右)「ATP500 アカプルコ」でのキリオス

(Photo by Hector Vivas/Getty Images)