ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は「ウエスタン&サザン・オープン」で、パブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)をストレートで下し、準々決勝進出を決めた。しかし、コート上における最大の勝者はジョコビッチではなかった。名誉ある勝者はジョコビッチが…

ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は「ウエスタン&サザン・オープン」で、パブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)をストレートで下し、準々決勝進出を決めた。しかし、コート上における最大の勝者はジョコビッチではなかった。名誉ある勝者はジョコビッチが勝利する前に彼をベンチにエスコートした少年だった。

ジョコビッチはジョエル君という少年と手をとりあってコートに登場。プレー前に行う主審との打ち合わせの前にジョコビッチはジョエル君をベンチに座るよう促し、彼用のボトルを開けて飲ませてあげたのだ。シンシナティ小児病院医療センターの公式サイトによると、ジョエル君は生まれてすぐに、ステージ4の神経芽細胞腫と診断されて、現在がんと闘っている。

「彼に会ったのはコートに入る直前で、彼は実際に僕の手を握り、僕らはコートに入った。第1セットの後に、彼は生後10日から神経芽細胞腫と闘っているとスピーカーから聞いた。彼は“僕はチャンピオン”と書いてあるシャツを着ていた」とジョコビッチは話した。「彼はこのような体験は特別だったと思うし、居心地よく感じてほしかったんだ。ジョエル君はコートにいる事が貴重だと理解していると思うし、僕は彼に良い気分になってほしかったから、ほんの少しの気遣いをしただけだよ」

「ATPマスターズ1000」で通算33回の優勝を誇るチャンピオンは、幼児教育の改善に焦点を当てている。ノバク・ジョコビッチ財団を通し、長期に渡って子供達への支援活動を続けている。財団は就学前の子供達に質の高い教育を受ける機会を提供したり、将来成功するための土台を築けるよう支援している。

ジョコビッチがシンシナティで2度目の優勝は飾れなかったが、少なくとも1人の新しい生涯ファンをオハイオ州・シンシナティで獲得したことだろう。ジョエル君は忘れられない経験をし、またジョコビッチはこの瞬間の気持ちについて公式ソーシャルメディアで一言でまとめあげた。

「彼は生き抜き、“僕はチャンピオン”というシャツが物語っていると思う」

※シンシナティ小児病院は1883年に創立。

シンシナティ小児病院はポリオワクチンを開発したサバン医師で知られている病院。全米有数の小児病院で、病院、研究棟など、大きな建物が多く並び、隣にあるシンシナティ大学医学部と併せると、全米でも最大規模の大学病院の1つとして有名。

※写真は「ATP1000 シンシナティ」でのジョコビッチ

(Photo by Ian Johnson/Icon Sportswire via Getty Images)

翻訳ニュース/ATPTour.com