ニック・キリオス(オーストラリア)がまたしても厳しい罰金を科せられ、更に出場停止処分になる可能性もあると報じられた。現在開催中の「ATP1000 シンシナティ」(アメリカ・シンシナティ/8月1…

ニック・キリオス(オーストラリア)がまたしても厳しい罰金を科せられ、更に出場停止処分になる可能性もあると報じられた。現在開催中の「ATP1000 シンシナティ」(アメリカ・シンシナティ/8月11~18 日/ハードコート)第2回戦のカレン・ハチャノフ(ロシア)との試合終了後、主審のファーガス・マーフィーに対して暴言のみならずツバを吐いたのが原因だ。第1セット目終了後はふくらはぎの痛みを訴えていたキリオスだが、ドクターによる処置の後は痛みが和らいだのかサービスも精度が上がり、第8シードのハチャノフを大きく苦しめた。しかし、後半は主審に対する怒りが妨げになったためか、プレーに精彩を失い、7-6 (4)、6(4) -7、6-2のフルセットで逆転負けを喫した。

キリオスはハチャノフとはプロ転向後初の対戦であったが、ジュニア時代に実は自身が第1シードとして出場した2013年の「全仏オープン・ジュニア」第2回戦で対戦しており、この時も2-6、7-6(6)、3-6とフルセットで敗戦している。この雪辱を果たすために「彼と対戦するのが楽しみだ」と試合前に語っていたが、残念ながら願いは叶わなかった。

キリオスが主審のマーフィーに抗議をしたのは、サービスのモーションに入らなくてはならない残り時間を表示した、「ショット・クロック」が示す時間があまりにも短く、主審の操作がおかしいのではないかという理由だ。もともと、ポイント間にあまり時間をかける方ではないキリオスが、せかされている感じて苛立ったのか、「こんなことは今まで1度もなかった」「あんたが審判をすると毎回何かが起こる!疑う余地もなく最低最悪の審判だよ!」と大声でわめきたてた。

タイムバイオレーションによる警告を受けていたわけではないキリオスだったが、暴言により3セット目の始まる前に1ポイントの減点をされた。すると、キリオスはおもむろにラケットを2本抱えてトイレットブレークを要求。制止する主審の声には耳もかさずに裏へと消えていった。

キリオスはトイレに行くことなく、控え室への廊下でラケットを2本とも破壊すると、そのままベンチへ戻った。この行為には罰則を課せられなかったものの、一連の行為は放映されており、解説者は「コート外であってもラケット破壊でコードバイオレーションを課すべきだ」とコメントした。

その後のキリオスは、ウィナーもところどころで見られたものの、試合に集中できずに敗戦した。試合終了後にハチャノフと握手をし、主審に「この役立たず!」と言い放つと、地面に軽くツバを吐きかけ、握手をせずにベンチへむかった。

ATPは今回のキリオスの「スポーツマンらしからぬ行為」、「コートを離れた行為」、「わいせつな発言」、「審判への暴言」などの一連の行為に対し、合計11万3000ドル(約1200万円)の罰金を科すと発表。今後行われる更なる調査によっては、出場停止処分もあり得るとのことだ。

ハチャノフは試合後のインタビューで「彼はすごい才能の持ち主だけど、試合に集中できないときがある」とコメント。キリオスは今月26日から開催される「全米オープン」に出場を予定している。無事出場しグランドスラムの大舞台では試合に集中できることを願いたい。

(テニスデイリー編集部)

※為替レート:2019年8月16日時点

※写真は2019年度「ATP500 ロンドン」でのキリオス

(Photo by Alex Pantling/Getty Images)