楽天のオコエ瑠偉外野手が、8月4日に2軍落ちした。51試合出場で打率.185と課題の打撃は苦しみながら、守備と走塁ではチームに大きく貢献。2月のキャンプイン当初、1軍に定着するまでにはある程度の時間が必要だとも指摘されていたことを考えれば、…

楽天のオコエ瑠偉外野手が、8月4日に2軍落ちした。51試合出場で打率.185と課題の打撃は苦しみながら、守備と走塁ではチームに大きく貢献。2月のキャンプイン当初、1軍に定着するまでにはある程度の時間が必要だとも指摘されていたことを考えれば、周囲の期待を大きく上回る活躍だったと言えるだろう。

■コーチ陣を驚かせる進化、「どんどん、どんどん良くなっていく」

 楽天のオコエ瑠偉外野手が、8月4日に2軍落ちした。51試合出場で打率.185と課題の打撃は苦しみながら、守備と走塁ではチームに大きく貢献。2月のキャンプイン当初、1軍に定着するまでにはある程度の時間が必要だとも指摘されていたことを考えれば、周囲の期待を大きく上回る活躍だったと言えるだろう。その驚異的な成長ぶりは、楽天のコーチ陣を驚かせているという。

 ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーした野球解説者の野口寿浩氏は「先が楽しみというか末恐ろしいというか。そんな褒め言葉しか出てこない。持っているものは素晴らしい」と賛辞を贈る。

「池山コーチも礒部コーチもオコエの吸収力はすごいと話していましたけど、本当にすごかった。打撃コーチ2人が揃って言っていましたからね。どんどん、どんどん良くなっていくと。3月のオープン戦最終戦で池山打撃コーチに話を聞いた時には『(キャンプ初日の)2月1日のバッティングに比べたら、本当によくなったぞ。あの時はどうしようかと思ったから』と言っていました。

 高校までは持っているものだけでやっていたのでしょう。変なふうに凝り固まる前に池山コーチに教われたから、良くなる一方ですよ。池山コーチと礒部コーチの話を聞くと、『オコエは言ったことをちゃんと理解してやってくれて、それが出来るようになる』と。彼は『ちょっとこうしてみろ』と言われたら『じゃあ、体のここをこう動かさなきゃいけない』というのが考えずに出来るのだと思います。能力的には魅力的。もって生まれたものはすごいですね。これからどんどんいろんなことを吸収していくでしょう」

■守備と走塁はすでに1軍の中でも高いレベルに

 昨年のドラフト会議で指名された際には、オコエの「将来性」に期待する声が多かった。だが、キャンプから急激な勢いで成長を続け、開幕1軍の切符を奪取。シーズンスタート直後は首位を走るなど好調だった楽天で貴重な経験を積み、怪我人の続出とともに4月14日に一時は2軍降格となった。だが、舞台は変わってもオコエの成長は止まることがなく、5月29日に再び1軍に戻り奮闘を続けた。2度目の2軍落ちも、将来を見据えてのこと。野口氏は続ける。

「楽天は打撃の指導などは1、2軍で意思の疎通が出来ていると思います。池山コーチと礒部コーチがそういうタイプの人間なので。1軍と2軍で言っていることが違ったら選手はパニックになりますけど、2人のコーチがそういうことを気にするタイプだと思うので、風通しは良くなっているはずです。(一時降格した時にも)池山さんが開幕前から一生懸命教えてきたことが、2軍で継続されていたのではないかなと」

 今回も長い1軍生活で自身の課題に気付いたはずで、2軍では更なる成長が期待される。もっとも、守備と走塁はすでに1軍の中でも高いレベルにあるという。

「足と肩は生まれ持ったもので差が開くことが大きい。オコエはそれは持っているわけだから。真っさらな状態でプロに入ってきて、いろいろなことを教えてもらって、いろいろなことを吸収して、本当にキャンプの2月1日からものすごくいい経験をしていると思います。送球のコントロールが少し悪い部分はありますけど、守備・走塁は1軍の中でもトップクラス」

■スタンドを沸かせる加速力、「いつまでも忘れてほしくない」こととは

 特に打者走者としての走塁は圧倒的なものがある。センターへのヒットが少しでも相手中堅手の左右にずれるようなことがあると、オコエは果敢に二塁を狙っていく。その加速力にスタンドがざわめくことも少なくない。この“武器”は今後も生かしていかなければいけないという。

「ヒットが少し外野の横にずれたら二塁打になる。すごく速い。飛んでるように見えますよね。あとは、それを常に狙っている姿勢がいいですよね。打球がちょっとずれただけでセカンドにいってしまうということは、打った瞬間に一生懸命走っているということ、そういう意欲があるということです。それはいつまでも忘れてほしくない。この先、行きすぎてアウトになることもあると思いますが、それで覚えていくものです。でも、狙っていく姿勢というのは素晴らしいですし、なくしてほしくない」

 野口氏は「山田哲人(ヤクルト)や柳田悠岐(ソフトバンク)。ああいうプレーヤーになってほしい」と期待を寄せる。このまま順調に成長を続ければ、トリプルスリーも“現実的な目標”となりそうだ。