専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第217回 その昔、ゴルフ週刊誌でラウンドものの連載をやっていまして、毎週どこかしらのコースを回って、それについて何かしらのコラムを書かねばならない状況にありました。そういう日…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第217回

 その昔、ゴルフ週刊誌でラウンドものの連載をやっていまして、毎週どこかしらのコースを回って、それについて何かしらのコラムを書かねばならない状況にありました。そういう日々が、20年ぐらい続いていましたか。

 何がしんどいかって、やっぱり1年中、ラウンドを続けなければならないことです。もちろんゴルフは好きですが、プレーが困難になることもしばしばありましたから。

 たとえば、真冬の氷点下のなか、山にあるコースに行ったときには、コースの入口からクラブハウスのエントランス付近まで、車が大渋滞していたことがありました。路面が凍っていて、車が前に進まないのです。

 その時は、みんなで氷を溶かしたり、削ったりして、なんとか坂道を登れるようにしました。クラブハウス直前でのリタイヤなんて、すごく嫌ですからね。結局、スタートは遅れてしまいましたが、無事にプレーすることはできました。

 一方、夏の時期となると、お決まりの”猛暑地獄”が待っていました。とりわけ近年は、マジで生命の危機にさらされることも多く、シャレにならないです。プレー中、ゴルフ場にやってくる救急車のサイレンを聞いたことは、一度や二度ではありません。そういう時は「明日は我が身」って、心底思いましたね。

 極端に暑い時期は、関東内陸部ではなるべくラウンドしないほうがいいでしょう。ラウンドするにしても、乗用カートは必須です。ペットボトルなど、水分は必ず予備まで用意しておきましょう。気持ち悪くなったらすぐに休むなど、きちんと暑さ対策を考えておくことも大切です。

 そんなわけで、1年を通じて気持ちよくラウンドできる日は、ここ20年ぐらいでかなり減ったような気がします。つまり、ゴルフのベストシーズンが短くなっているのです。

 関東近郊で考えた場合、細かく分けると、1月はラウンドできるのが前半までかな、と。1月後半から2月の間は、寒くてゴルフどころではありません。ボールは飛ばないし、着膨れして体も回らないし、それはまるで”苦行”って感じです。雪が降ったりすれば、もはやコースはクローズですからね。

 3月は気候的には十分にプレー可能ですが、花粉症のシーズンです。最近、私も花粉症らしい症状が表れ、鼻水が出るように……。今までは何がつらいのかわかりませんでしたが、ようやく人の気持ちがわかるようになりました……って、遅いよ!

 4月になって、やっとベストシーズン到来。これが、せいぜい5月いっぱいまでですかね。

 6月は梅雨です。誘われれば行きますが、自ら積極的に行こうとは思いません。特に今年の梅雨は長かったですしね。雨の中だと、メガネは曇るし、合羽を着てのプレーは難儀だし……結果、スコアもイマイチです。梅雨のゴルフは本当に楽しくありません。

 そこから、7月は梅雨明けの猛暑。8月も同様です。そして、9月は残暑と長雨の季節。とても、ゴルフを楽しめる時期ではありません。

 となると、10月から11月までが秋のトップシーズン。その後、12月は年末ですから、師走でゴルフどころじゃありません。だから、今や忘年コンペは11月にやるところが多いです。12月にやったとしても、せいぜい初旬ですか。

 昔は12月になると、忘年コンペばっかりだったのに、今は生活がシビアなのか、優雅な「忘年&クリスマスコンペ」なんて聞かないですし、誘われもしません。

 このとおり、今やゴルフのベストシーズンは、4月、5月、10月、11月のたった4カ月しかないことがわかります。

 もちろん、がんばれば1年を通じてゴルフはできますが、そこまで通年でやってしまうのは、昭和の感覚かもしれません。



ゴルフのベストシーズンって、どんどん減っていますよね...

 ただ、通年でゴルフをやると、1年はあっという間に過ぎていきます。これは、メンバーシップのゴルフ倶楽部に入会するとよくわかります。

 ゴルフ倶楽部に入会すると、まず1年間の予定が記された手帳を渡されます。月例やクラチャン(クラブ選手権)予選、理事長杯や新年杯に、ラストコール杯ね。私も昔はメンバーだったので、こういうスケジュールはよく見ていました。すると、「毎月、最低1回は顔を出さなきゃ」って思うわけです。そうしてラウンドを重ねていると、すぐに1年が経ってしまいます。

 なにしろ、ラストコール杯やクリスマス杯が終わったと思ったら、10日後には新年杯があるんですから。そりゃ、身も心も休まらないでしょ。そこでまた、新しい手帳へと更新されて……これはもう、ほんとキリがありません。メンバー手帳、恐ろしや~。

 こうしたことを踏まえて、シーズンスポーツの”裏技”みたいなことを考えてみます……って、ここからが本題ですよぉ~。

(1)名門コースはオフシーズンが狙い目
 真夏は、名門コースが夏季料金で安いです。日頃、プレーできないコースで「メンバーが避暑中にラウンド」って、なんかさもしいですな……。

 でも、名門コースのメンバーさんも、通常はプレー料金が高くてビジターの方々を誘いづらいのです。こっちの経済事情を考えてのお誘いは、素直に喜んで受けましょう。

 料金は、トップシーズンだと平日でおおよそ2万8000円ぐらいのところが、オフシーズンであれば1万9000円ぐらいでしょうか。トップシーズンの土日料金は聞かないほうがいいです。腰を抜かしますから……。

(2)オフシーズンのリゾート地も穴場
 北海道によく行きますが、某有名なゴルフ場では、夏場の最盛期には プレー代だけで4万円弱はします。でも、4月末や10月末になると、ツアーで申し込めば、エアーとホテル、ラウンドが付いて、4万円程度です。プレー代だけなら、1万円ちょっとでしょうか。これはもう、オフシーズンに行くしかないですね。

 沖縄も同様です。冬は冬でゴルフ客が押し寄せますが、1月~2月、10月~11月は飛行機代が安いので、ツアー料金であれば、ピーク時の半額程度になります。

 北海道や沖縄でのラウンドは、そこらへんが狙い目です。

(3)休むこともゴルフ
 ベストシーズンが減っている今、2~3カ月でいいから、ゴルフを休んでみるのはどうか、という提案です。そもそもプロのトーナメントには、シーズンオフがあります。なのに、アマチュアが休まないのは解せません。

 石川遼選手だって、冬場はスキーをやって足腰を鍛えています。野球もしかり。だいたいプロ野球選手のオフのお遊びが、ゴルフですから。

 ということで、アマチュアもシーズンオフに一度、クラブに触ることから離れてみてはどうでしょう。結局、アマチュアの多くはゴルフをレジャーと捉えているから、冬は温泉でゴルフと、「伊豆なんか最高!」ってな感じでラウンドしています。だから、永遠に終わらないのです。

 ゴルフを休めば、時間とお金が浮きます。そして、別のことをする可能性もあり、ゲームにハマる、キャバクラにハマる……それもまた人生なり、です。

 もし「ゴルフがしたくてしょうがない」といった禁断症状になったらなったで、それはそれで結構なことじゃないですか。ちょっと休んで、メリハリをつけたほうが効率的ですよ、と言いたいのです。

(4)どうしても真夏にゴルフをするならば……
 これは、ゴルフの捉えた方の問題です。気温が40度近くなってもゴルフをするとなったら、インドやサハラ砂漠でゴルフをしたと思えば楽しいです。さらに飛行機代も浮いた……って、そこまで話が飛躍しますか!?

 日本の場合、なんぼ暑いと言っても、水はふんだんにあり、樹木もたくさん茂っています。クラクラッときたら、早めに休めば、事なきを得ます。もしこれが本当に砂漠だったら、休むところさえありませんからね。

 そう考えると、砂漠のオアシスの中でゴルフをしているようなものですか。猛暑でゴルフをするなら、前の日に映画『アラビアのロレンス』でも借りて見てください。中東の砂漠で生死をさまよっての行軍――あれに比べれば、ぜんぜんラクってことです。

 夏は砂漠を思い、雨の日は日本最大雨量の屋久島でゴルフをしたと思えばいいし、極寒でのゴルフでは、今年の全英オープンの舞台となった北アイルランドのロイヤルポートラッシュGCに来たと思えばいいでしょう。そうすれば、売店で陶陶酒デルカップをちびりとやるのも、また楽しからずや、ですよ。