最年長のベテランが、クラブを去る。 4日、J1 北海道コンサドーレ札幌から小野伸二がJ2 FC琉球に完全移籍をすることがクラブ公式ホームページで発表された。 「札幌の街で見かけたら気軽に声をかけてください」 2014年6月9日、北海道コンサ…

最年長のベテランが、クラブを去る。
4日、J1 北海道コンサドーレ札幌から小野伸二がJ2 FC琉球に完全移籍をすることがクラブ公式ホームページで発表された。

「札幌の街で見かけたら気軽に声をかけてください」
2014年6月9日、北海道コンサドーレ札幌の入団会見の中で発言した、一言。
この気さくな人柄とステージ上で披露した華麗なリフティングで、サポーターの心を一気に掴んだ。

会見をした場所は、札幌市のシンボルともなっているさっぽろテレビ塔。一般公開となった会見には、平日にも関わらず約400人のファンが集まった。
北海道の各テレビ局は生中継、夕方のニュースは小野選手一色となった。会見後、各局時間が割り振られ小野選手はインタビューに応じてくれた。同スペースに各局が待機していたため、カメラの向こう側には大勢の人、小野選手も「すごい人ですねー」と注目度の高さに我ながら驚いた様子を見せていた。

W杯3度出場、数々の海外クラブで活躍した「あの天才・小野伸二が北海道へやってくる」多くの道民がそのニュースに胸膨らませた。

入団会見直後、北海道のメディア取材に応じる小野選手

当時J2だった北海道コンサドーレ札幌。「札幌を盛り上げ、J1に昇格させたい」と意気込みを語ってくれた。文字通り、小野選手の存在は間違いなく北海道を明るく照らしてくれたのだ。「小野選手を観に、試合に行こう」毎週末のコンサドーレのゲームを楽しみに日々を過ごした道民がどれだけいただろうか、何気ない日常に彩りを与えてくれた。

デビュー戦は2014年7月20日、札幌ドーム。小野選手の姿を目に焼き付けようとシーズン最多20,633人もの観客が集まった。この年のホーム開幕戦の観客数は16,064人、小野伸二選手加入前の5月に札幌ドームで開催された水戸戦は66,46人だった。この数字から見ても小野選手への注目度の高さがうかがえた。

そんな小野選手に対して、以前北海道コンサドーレ札幌の野々村芳和社長は、こう話していた。

「もちろん試合で活躍してほしいけれど、土・日のゲームがあまり大事だとは思っていない。月〜金のトレーニングやロッカールームでの雰囲気が1番大事。そこでどういう影響力を出してくれるのか」

チームメイトにとって言葉で語られる以上にその姿から感じ取ること、学ぶことは非常に多かったに違いない。

今年9月で40歳を迎える小野選手。シーズン途中でFC琉球に移籍するという決断をした。
何歳になっても、どこへ行っても。小野選手がボールを見つめるその眼差しは変わることはないだろう。
日本が誇るファンタジスタ、小野伸二。
自らのモットーに掲げている「サッカーを楽しむこと」その原点でこれからも、私達を魅了してくれるはずだ。

取材・文/中野涼子

8月10日札幌ドームで行われる第22節浦和レッズとの試合が「北海道コンサドーレ札幌・小野伸二」としてのラストゲームとなり、8月11日からFC琉球へ完全移籍となる。
FC琉球での出場は明治安田生命J2リーグ第28節8月17日VS横浜FC (KOタピック県総ひやごんスタジアム)から可能となる。

小野伸二
1979年9月27日生 静岡県沼津市出身
清水商業高→浦和レッズ→フェイエノールト・ロッテルダム(オランダ)→浦和レッズ→VFLボーフム(ドイツ)→清水エスパルス→ウエスタン・シドニー・ワンダラーズ(オーストラリア)→北海道コンサドーレ札幌
1994年U-16アジアユース選手権、1995年U-17世界選手権、1999年ワールドユース、2004年アテネ五輪出場。
W杯には1998年、2002年、2006年の3大会連続で出場している。

J1リーグ通算201試合29得点、J2リーグ通算63試合9得点。
今季札幌ではリーグ戦3試合ベンチ入り、ルヴァン杯2試合出場。