高校でサッカーからボートに転身し、異例の速さでトップに躍り出た選手がいる。島田隼輔(日本大学)、1年生。父に連れられて、先にボートを始めた兄の試合を見に行ったことがきっかけだった。最初は「サッカーとは使う筋肉が全然違って、ボートに座っている…

高校でサッカーからボートに転身し、異例の速さでトップに躍り出た選手がいる。島田隼輔(日本大学)、1年生。父に連れられて、先にボートを始めた兄の試合を見に行ったことがきっかけだった。最初は「サッカーとは使う筋肉が全然違って、ボートに座っているだけでお尻が痛かった」というが、鍛えてきた脚力を活かして高校2年生でインターハイを制覇。現在は日本大学ボート部に所属しながら、U-19日本代表としても日々練習に励んでいる。

取材は7月下旬だったため、この日は8/7(水)に開幕する五輪テストイベント・2019世界ボートジュニア選手権大会に向けた練習に取り組んでいた島田。今回エントリーするのは舵手なしフォア(4人乗り)という種目だ。選手それぞれの能力の高さはもちろんのこと、クルー全員のチームワークが求められる。今大会は母国開催となる東京、しかも東京五輪の会場でもある海の森水上競技場での開催ということもあり、アドバンテージを活かして決勝進出を狙う。

※日本代表練習に向かう島田。高校生選手2名も含めた4人で、息の合ったローイングを見せる

島田の強みは、「練習終盤にきつくなった時も手を抜かない」こと。ラストスパートに強いという選手としての長所にも活きている。ストローク1本1本を力強く漕ぐことを意識し、丁寧にボートを進めていくのが島田らしさ。今までシングルスカル(1人乗り)に取り組んできたため、まだ舵手なしフォアには慣れていない部分はあるが、周囲と息を合わせることでさらに彼の強みは発揮されるはずだ。

ボートには、選手にしか見られない景色がある。選手は後ろ向きに座ってボートを漕ぐため前方は見えないが、その代わり自分が漕いだ水の軌跡がまっすぐに伸びていく様子が目に入る。それが、島田が感じている競技の魅力だ。さらに水の跡だけではなく、必死に漕ぐ他国の選手たちの姿を見られるのは先頭だけ。トップしか見られない景色を、島田は見ることができるのか。

※大学アスリート1日密着動画「THE STARS」にて、島田選手を特集しています。
 島田選手の「THE STARS」はこちら
 また、島田選手が出場する世界ボートジュニア選手権大会の詳細はこちら

島田隼輔(しまだ・しゅんすけ)
滋賀県大津市出身。2001年1月9日生まれ。182センチ、75キロ。瀬田工業高校を経て、現在は日本大学文理学部1年。家族の影響でボート競技に興味を持ち、サッカーから転身してわずか1年半でインターハイ優勝を果たした。U-19日本代表に選出されるなど、未成年ながら同世代のトップ選手として活躍している。