専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第216回 日本のゴルフも次第に”アメリカン”なスタイルに寄りつつあり、キャディーが付かないセルフプレーが増えてきました。個人的な感触では、アマチュアゴ…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第216回

 日本のゴルフも次第に”アメリカン”なスタイルに寄りつつあり、キャディーが付かないセルフプレーが増えてきました。個人的な感触では、アマチュアゴルファーのラウンド全体で7~8割ぐらいがセルフプレーになっているかと思います。

 今のご時勢、ゴルフ場も人件費削減の傾向にありますからね。これまでゴルフ場で働いていたキャディーが定年したあと、新しいキャディーを雇うこともありますが、なかなかどうして……。

 そうなると、多くのコースはセルフプレーのみ、あるいはセルフとキャディー付きプレーの選択制を取ります。選択する場合、お客さんもお小遣い減少のおり、セルフプレーを頼んでしまいがち。だから、キャディーの需要が減るのです。

 さらに、今年に入って新ルール導入がセルフプレーを後押ししています。旗竿を差したままパッティングする風潮が全国的に広まりました。その結果、「じゃあ、旗竿を抜いたり、差したりしてくれるキャディーさんは必要ないね」と。

 また、コースのレイアウトや概略も、キャディーさんから口頭で説明されるよりも、ナビゲーションマップで見たほうがわかりやすいです。

 よく、キャディーさんが「前方に池があるので、150ヤードまで打ってね」とか言うでしょ。こっちはそれよりも、逃げ道はあるのか、池の左右はどうなっているのかを知りたかったりするのです。それなのに、答えだけ出すって、「戦略的な部分が欠けているじゃん」って思うわけですよ。そうなると、マップを見たほうが手っ取り早いです。

 個人的には、パットを打つ時もさほどボールは拭かないし、グリーンのラインも「自分で読むから楽しい」と思っています。そう考えると、ますますキャディーの仕事は限られてきます。

 それでも、キャディーがいるといないとでは違いがあります。現在、キャディーに求められている仕事は、おおよそ4つぐらいでしょうか。

(1) 進行作業
 プレーの進行が遅れないように、お客さんをせかしたり、励ましたりして誘導するわけです。ダラダラとプレーされるよりは、スムーズにラウンドできて、さっさと帰れるので、これはとてもいいかな、と。

 プレー全体のリズムを取るのは大事です。我々はヘボなのでよくダフりますが、そういう時、キャディーさんはディポット跡に目土をかぶせてくれます。そのひと手間が大助かりで、その時はほんと「ありがたや」と思いますね。

(2) 打ち込み防止
 前の組が遠くの彼方にいるように見えても、キャディーの指示があるまで、ボールを打ってはいけません。打ち込みを未然に防ぐ役として、キャディーは欠かせません。しかも、万が一打ち込んでも、「キャディーが『打っていい』と言った」と言い訳すれば、こっちの謝罪も半分ぐらいで済みます。

 あと、後ろの組にキャディーがいれば、滅多なことじゃ打ち込まれることはありません。これは、精神的に楽です。そういう意味では、自分のパーティより、後ろのパーティにはキャディーがいてほしいです。

 ドラマなんかで、お洒落なバーで女性にカクテルをあげるシーンがよくあるでしょ。それと一緒で、「後ろの組にキャディーをつけてあげて。こっちで払うから」と、キャディーマスターに言っているお金持ちがいたら、かっこいいですね……って、ほんまかいな。

(3) ボール探し
 セルフプレー最大の問題は、ボール探しです。右に飛んだのか、左に飛んだのかすら、わからないことがあります。「ボールどっち?」「ごめん、逆光で見えなかった」って、よくあることですよね。

 でも、キャディーがいれば、大きな問題にはなりません。キャディーの目は優秀で、ボールを見失うことがほとんどないからです。だいたいの方向と距離を把握していると、ボール探しには時間がかかりません。キャディーの必要性は、このボール探しに尽きます。

 加えて、ティーショットの際に、ボールが逸れて隣のホールに飛んでいった時、「ファ~~~~」と大きな声で言ってくれるから助かります。あれ、セルフプレーでは即座に言えないことが多いです。事故やトラブルを未然に防ぐ意味では、キャディーの存在は重要です。

(4) バンカーならし
 周りがセルフプレーばかりだと、バンカーをならしていないケースが多々あり、靴跡にボールが入って、大変な状態になったりすることがあります。それを、うちらのパーティのキャディーさんが丁寧に砂をならして、凸凹を埋めていてくわけです。ご苦労さまです。

 日頃からキャディーがいるコースは、バンカーのコンディションがよろしい――それは、誰もが認めるところでしょう。



キャディーさんがいるといないとでは、やっぱり違いますよね

 以上のことから、キャディー付きプレーとセルフプレーにおいては、やはり差があることがわかります。その差を埋めるために、エクスキューズがほしいです。

 たとえば、ボール探しなどは、セルフプレーのほうが不利だと思うわけです。統計を取っているわけではありませんが、同じコースでキャディー付きとセルフプレーとのラウンドで比較したら、ロストボールの数はセルフプレーのほうが多いはずです。

 また、バンカーから1回でボールが出ない、ということは、セルフプレーがメインのコースのほうが多いのではないですか。それは、レーキで砂をならさないプレーヤーがいるから、後続組でトラブルが起きるんですな。

 さあ、ここからはプレーヤー同士での相談です。ローカルルール、プライベートルールで独自に解釈をして、ゲームを進めてはいかがでしょうか。

 この前、とあるコンペでは最大スコアが設定されておりました。今年からのルール改正で、最大スコアを決めてラウンドできるようになりましたらからね。もちろん、アマチュアの世界のことですよ。

 で、そのコンペでは、新ペリアルールがダブルカット計算なので、スコア申告もダブルカットでやる、というものでした。わかりますか? つまり、各ホール、倍以上のスコアを出したら、それ以上はカウントしないのです。これだと、ショートホールは6、ロングホールでも10以上のスコアはありません。

 実際にやってみると、非常に助かります。たとえば、ショートホールでティーショットをバンカーに入れたとしましょう。そこで、靴跡に埋もれたボールを打つはめになり、何度か打って出なくても、それを3、4回繰り返せば、はい終わり。あとはボールを拾って、最大スコアの「6」と書くだけです。

 セルフプレーでは、ぜひ最大スコア制度を導入してほしいです。

 あと、セルフプレーにおけるエクスキューズのルールを加えるとしたら、以下のようなものでしょうか。

・スルーザグリーン6インチプレース

 これは、毎回6インチ動かすんじゃなくて、ディボット跡や、木の根などにボールが挟まった場合のみです。ハーフで2回まで、6インチ動かせるルールでもいいですね。そういうのは、プライベートルールとして、スタート前に同伴競技者同士で決めればいいと思います。

・明らかにセーフな場所でのロストボールの処理
 ボールの行方を見ていて、明らかにセーフな場所にボールが飛んだとしましょう。でも、ボールが飛んだ場所に行ってみると、ヘビーラフや枯れ葉のせいで、なかなかボールが見つからない、といったことがしばしばあります。

 その際、「あ~、もうボール探しの時間が経過してしまったぁ……」となって、泣く泣く2ペナ払って打ち直すのはどう思います? これも、同伴競技者とローカルルールを決めて、明らかにセーフの場所でロストボールになった場合は、1ペナとかにすればいいのではないでしょうか。

 セルフプレーが増えれば、ボール探しの弊害が増します。ほんとはセルフプレーのルールやマナーを誰かが決めて、啓蒙してくれるとありがたいんですが……。有識者か、ゴルフ関係者のみなさん、ご検討をお願いしますね。