グランドスラムも3大会が終了し、残るは「全米オープン」のみとなった今年のテニスツアー。来週のモントリオール・トロントから、北米ハードコートの大きな大会が開催される。それを前にWOWOWの週刊テニスNAVIにて、日本テニス協会公認S級エリート…

グランドスラムも3大会が終了し、残るは「全米オープン」のみとなった今年のテニスツアー。来週のモントリオール・トロントから、北米ハードコートの大きな大会が開催される。それを前にWOWOWの週刊テニスNAVIにて、日本テニス協会公認S級エリートコーチで解説者の梅田邦明さんが、昨年の北米ハードコートシーズンのベストマッチを5戦紹介した。

■ナダルの強さを改めて思い知らされた試合

「ATP1000 トロント」決勝

〇ラファエル・ナダル(スペイン)6‐2、7-6(4)●ステファノス・チチパス(ギリシャ)

「当時19歳だったチチパスは、決勝進出までにドミニク・ティーム(オーストリア)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)、ケビン・アンダーソン(南アフリカ)と4人のトップ10選手を撃破しました。そして初のマスターズ1000決勝の当日が20歳の誕生日。若手のチチパスは敗れましたが、このトロントで大ブレークして、今はトップ10に入ってきています。そのチチパスにしっかりと勝ち切ったナダルの強さを改めて思い知らされた試合でした」

■前人未到のゴールデンマスターズ達成

「ATP1000 シンシナティ」決勝

〇ノバク・ジョコビッチ(セルビア)6-4、6-4●ロジャー・フェデラー(スイス)

「2人の対戦は2016年の全豪オープン以来2年半ぶり、世界中が注目した試合でした。9つのマスターズ1000全てで優勝するという、偉大な記録が誕生しました。どんなサーフェスでも強さを発揮するのがジョコビッチですが、彼の安定感が生んだ大記録でした」

■2018年一番の大番狂わせ

「全米オープン」4回戦

〇ジョン・ミルマン(オーストラリア)3-6、7-5、7-6(7)、7-6(3)●ロジャー・フェデラー(スイス)

「センターコートのナイトセッション、かなり蒸し蒸しする高い湿気が影響したのか、フェデラーのミスが目立ち、結果的に77本のアンフォーストエラーをしてしまうフェデラーらしくない試合でした。こういうコンディションでもなんとかするのがフェデラーでしたが、ミルマンの頑張りがこの年一番の番狂わせを生みました」

■怪我からの完全復活となるターニングポイントとなった試合

「全米オープン」準々決勝

〇錦織圭(日本/日清食品)2-6、6-4、7-6(5)、4-6、6-4●マリン・チリッチ(クロアチア)

「錦織は右手首の怪我から復帰した年で、この時世界21位。得意な全米オープンでどうかな?という状況で準々決勝まで戦ってきました。この全米オープン以降安定した成績を残した錦織は、ツアー最終戦出場までこぎつけています。まさに怪我からの完全復活となるターニングポイントとなった試合でした」

■日本テニス界にとって歴史的な一日

「全米オープン」決勝

〇大坂なおみ(日本/日清食品)6-2、6-4●セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)

「当時世界19位だった大坂。一方憧れの存在セレナは出産から復帰したシーズンとなりました。色々なことがあったなかでも、自分のプレーに集中できた大坂がこの後全豪オープンも制して世界1位に上りつめました。まさに日本テニス界の歴史を作った試合だといえると思います」

昨年多くのドラマが生まれた北米ハードコートシーズン。今年も何が生まれるか注目だ。

(テニスデイリー編集部)

※写真は2018年「全米オープン」の錦織

(Photo by Elsa/Getty Images)