絶対的な王者に異変が起きている。日本列島がリオデジャネイロ五輪のメダルラッシュに沸いている8月。プロ野球界では3年連続日本一を目指すソフトバンクが苦しみ、もがいている。■3年連続日本一目指す王者が苦境に 絶対的な王者に異変が起きている。日本…
絶対的な王者に異変が起きている。日本列島がリオデジャネイロ五輪のメダルラッシュに沸いている8月。プロ野球界では3年連続日本一を目指すソフトバンクが苦しみ、もがいている。
■3年連続日本一目指す王者が苦境に
絶対的な王者に異変が起きている。日本列島がリオデジャネイロ五輪のメダルラッシュに沸いている8月。プロ野球界では3年連続日本一を目指すソフトバンクが苦しみ、もがいている。
8月12日、敵地QVCマリンフィールドで戦ったロッテ戦。相手先発の石川歩の前に、鷹打線は2安打完封負けを喫した。6回途中まで無安打。1死から川島慶三がチーム初安打となる三塁内野安打で出塁。続く中村晃が左前安打を放ったが、二塁にいた川島が打球判断を誤って三塁に進めず。1死二、三塁。柳田悠岐がフルカウントから見逃し三振に倒れると、スタートを切っていた川島が刺され、最悪の三振ゲッツーに終わった。
この日つかんだチャンスは、唯一この回だけだったと言っていい。それもチグハグな攻撃で好機を逸した。こうなると悪い流れは、好投を続けていた先発の和田毅をも飲み込む。直後、先頭の角中をストレートの四球で歩かせると、4番デスパイネには高めのストレートをバックスクリーンへと運ばれた。「僕の選択ミス。首を振ったことで真っすぐが来ると思われた」。決勝の2ランを浴びた左腕は敗戦の責任を背負い込んだ。
これで、8月6日の日本ハム戦(ヤフオクD)で黒星を喫してから、今季ワーストとなる6連敗。昨季も6連敗が一度あったものの、これはリーグ優勝を決めた消化試合でのもの。2位の日本ハムが3ゲーム差と迫る勝負の夏場に食らった6連敗とは意味合いが大きく違う。
苦境の原因は、やはり7月から続く打線の低調ぶりか。8月の10試合を消化して、2桁安打は4日の西武戦(西武プリンス)のみ。3・4月2割5分8厘、5月2割7分3厘、6月2割7分9厘で推移してきた月間チーム打率は7月2割3分2厘、そして、8月は2割2分5厘しかない。実はこれ、リーグ最低の数字である。
■オリックス戦ではオーダー変更も…
選手個々で見ても、当たっている選手がいないのが現状だ。12日に4タコ2三振に終わった柳田は一時3割に乗せた打率が2割9分2厘に下降。開幕から3割を維持し続けていた4番の内川聖一も8月に入って下降戦。ついに3割を切り、打率2割9分6厘まで落ち込んでいる。
工藤公康監督はじめ、首脳陣も手を変え、品を変え、打線の活性化を図っている。10、11日のオリックス戦(京セラD)では、監督就任以降、3番に置き続けてきた柳田を1番で起用。12日は柳田を3番に戻し、今季初めて中村晃を2番に置いたが、どれも結果には結び付かなかった。
「チャンスを全部モノに出来たら、問題はない。モノに出来ないから、動いていこうと。裏に出れば、ああなる。選手を責めるつもりはない」
「耐えないといけないときもある。結果として出るまで耐えるしかない。その中で動くことは考えます」
指揮官はロッテ戦後にこう語った。自らに言い聞かせるようにも思えた。
もともと、能力の秀でた選手が集まっているソフトバンク。鷹打線の中でも、柳田、内川、そして、長谷川勇也、松田宣浩、中村晃と並ぶ打線は看板だったはずである。この軸を中心に、一時30を超える貯金を生み出してきたのである。苦しい今だからこそ、チームの核を信じ、託してもいいのではないか。チーム全体に蔓延する妙な危機感が、先のあり得ないようなミスに繋がっているのでは――。あれこれと動くのではなく、どっしりと腰を据えて、原点に立ち帰るのも選択肢の1つだろう。
2位の日本ハムも直接対決を終えて以降、1勝3敗。ライバルの“お付き合い”で3ゲーム差にとどまっていることが、せめてもの救いか。苦境をどう打破するか。工藤監督の手腕に注目だ。