7月に入り、男女(115期・116期)のルーキーたちがプロとしての第一歩を踏み出した。今回は男子=115期ではなく、ガールズ=116期について思うことを書いてみたい。116期はガールズ8期生となる。しかし、正直なところ110期生以降、レベル…
7月に入り、男女(115期・116期)のルーキーたちがプロとしての第一歩を踏み出した。今回は男子=115期ではなく、ガールズ=116期について思うことを書いてみたい。
116期はガールズ8期生となる。しかし、正直なところ110期生以降、レベルが落ちているように感じてしまうのは筆者だけであろうか?もちろん、強い選手はいるのだが、全体を見てしまうと、そう思わざるを得ない。1期生がデビューしたのは7年前、オープニングは平塚競輪場で、優勝は小林莉子(東京)だった。勝った小林以外にも加瀬加奈子(新潟)、スピードスケートで2度、冬季五輪に出場した渡辺ゆかり(山梨)、元モデルの田中麻衣美(新潟)など、良い意味でファンにアピールできる選手が揃っていた。2期生はまず石井寛子(東京)だろう。自らを“京王閣の小悪魔”と、呼ぶようにビジュアルも申し分なかった。梶田舞(栃木)、山原さくら(高知)も実績を残している。最もタレント揃いなのは3期生で、2020東京五輪の有力候補である小林優香(福岡)、先行にこだわる奥井迪(東京)、キュートな笑顔でファンも多い高木真備(東京)。石井貴子(千葉)と長澤彩(愛知)は勝負強いクールビューティーで存在感がある。また、引退したが、アイドルレーサーの小川美咲(静岡)もいた。4期生は児玉碧衣(福岡)と尾崎睦(神奈川)。5期生になると少し考えてしまうが、鈴木奈央(静岡)、林真奈美(福岡)の名前を挙げることができる。6期生は梅川風子(東京)、鈴木美教(静岡)、太田りゆ(埼玉)、大久保花梨(福岡)が既にビッグレース常連だ。7期生はこの1年で佐藤水菜(神奈川)、柳原真緒(福井)が結果を出している。
そして、8期生であるけれども……あくまでも個人的な意見だが、過去にないほどインパクトが弱いように感じてしまう。卒業記念レース優勝の鈴木樹里(愛知)はデビュー戦で6着。在校1位の山口伊吹(長崎)は7着。恐らく、ファンもガッカリしたに違いない。その中で完全優勝を果たしたのが、在校3位の吉岡詩織(広島)だった。彼女のキャリアが興味深く、なんと陸上自衛隊出身とのこと。男子選手には過去に何人も自衛隊出身者はいたが、ガールズは吉岡が初めて。日本競輪学校(現・日本競輪選手養成所)入学直後の記録会では短距離系(特に400mFD)で良いタイムを残していたが、逆にスタミナ系が弱かったらしい。一見、おとなしそうに見えるのだが、国防という名の下、想像を絶する厳しい訓練に耐えてきたのだから性根は据わっている。
日本競輪学校(現・日本競輪選手養成所)時代、短距離系で力を発揮していた吉岡
もう1人、在校6位の高木佑真(神奈川)に魅力を感じる。デビュー戦は決勝に進出したものの、やや小さいレースになってしまい4着に終わる。ただ、デビュー直前の岸和田G1高松宮記念杯競輪のエキシビションで見せた走りは圧巻、ガールズでは珍しい突っ張り先行。3期生の奥井を彷彿(ほうふつ)させる走りだった。長い距離を踏めるというのは強味だ。それだけにデビュー戦のこじんまりした内容を反省することができれば、この先は面白い存在になってくるだろう。
高木(6番車)は岸和田G1エキシビジョンレースで先行、長い距離を踏んだ
思うに競走が小さくなるのは目先の賞金が関係しているのではないか?完全優勝すれば40万円以上の収入になる。高校卒業後はもちろん、大学を出たばかりで働いても月に40万円はなかなか稼げないだろう。しかしながら、単純に3日間の競争を走り切れば、ソコソコの収入にはなる。以前にも書いたが、プロ意識を持つことが大切、お金はそれからついてくるのではなかろうか。
全体的にスタートはつまずいた感のある8期生だが、鈴木や山口もこのままでは終わらない気持ちであるはずだ。口の悪い友人は「8期生は史上最弱」などと言うが、判断を下すのはまだ早い。低迷する業界にあって、ガールズケイリンは非常に人気がある。彼女たちが業界を背負っていく覚悟をシッカリ持つことを願いたい。