専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第214回『SMBCコンシューマーファイナンス』という会社が、昨年12月に発表したマーケット調査で、驚くべきことが判明しました。「20代の金銭感覚についての意識調査2018」と…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第214回

『SMBCコンシューマーファイナンス』という会社が、昨年12月に発表したマーケット調査で、驚くべきことが判明しました。

「20代の金銭感覚についての意識調査2018」という若者に対するアンケートにおいて、「日頃、自身が『○○離れ』していると感じるものは?(複数回答)」という質問項目がありました。「○○」の意味するものは、「関心がなかったり」「必要だと感じないもの」であり、簡単に言えば、今の若者にとっての”オワコン”は何か、ということです。

 その筆頭に躍り出たのは「固定電話」で55.9%。う~ん、これは頷けますね。

 次いで、2位は何かと見てみたら……ガ~ン!? なんと「ゴルフ」だったのです。その数値は48.6%。半数にひとりは「ゴルフはいらない」と認識しているわけです。これって、どういうことなんでしょう……?



若者にとって、ゴルフがそこまで不要なものだったとは...

 ちなみに、調査結果のベスト10を列記しますと、以下のとおりです。

1位=固定電話
2位=ゴルフ
3位=合コン
4位=新聞・雑誌
5位=スキー
6位=職場の飲み会
7位=ブランド
8位=CD
9位=自動車
10位=お酒

 3位が「合コン」というのもすごいですね。今の若者は合コンしないで、友人たちとの飲み会を頻繁にするみたいです。狭い世界での恋愛は、かえってゴタゴタが起きやすい気もしますけど……。

 個人的に関わることで言えば、2位の「ゴルフ」と、4位の「新聞・雑誌」ですか。両方とも、もろに仕事に関連していますから、もはや若者に対して、自分の活躍できるマーケットはないのです。

「老兵は去りゆくのみ」と言っていた、マッカーサー元帥の気持ちがよくわかった……って、そのたとえが古すぎかぁ~。

 ちなみに、このアンケートでは「自分の好みに合うものや必要性があれば、積極的にお金をかけたいと感じるものは?(複数回答)」という調査もしています。つまり、今からやってみたい、購入したい、試してみたい、といったものです。

 結果は以下のとおりです。

1位=旅行
2位=友人との飲み会
3位=自動車
4位=マイホーム
5位=映画
6位=パソコン
7位=ブランド
8位=CD
9位=お酒
10位=テレビ

 この結果を見て驚いたのは、「スポーツ観戦」や、何かしらの「スポーツをやってみる」といった回答が入っていなかったこと。もはや、スポーツが終わっているのでしょうか? 

 まあね、格闘ゲームをはじめ、あらゆるジャンルのテレビゲームが「eスポーツ」と言われる時代ですからね。

 スマホやスマホゲームなども入っていませんが、すでに実践されているものは、表に出てこないのでしょう。そうなると、ジョギングや軽いスポーツはすでにやっている、と理解すべきですね。ただし、すでにゴルフをやっている、ということはまずないです。そこは、念のため……。

 それにしても、ゴルフが”オワコン”で2位って、この結果はゴルフを敵視しているんではないの? くらいの衝撃でした。

 若者目線でゴルフを見ると、「オヤジばかり」「お金がかかる」「時間もかかる」「ダサい」「うまくならない」「パワハラ」「マウンティング」「(自分の周りは)誰もやっていない」「過去の遺産」……と散々なイメージです。

 つい、この間までは「生涯スポーツの見本」「成功者の遊び」「お洒落」「モテる」「社交的」「人脈作り」「デキる男」なんて言われていたのに、このざまはなんですか?

 だいたい、今は「人脈作り」という言葉さえ、お笑い芸人の闇営業問題でNGワード化していますからね。過去の不祥事でも、「ゴルフコンペで知り合った人脈」から、ニュースネタになることが時々ありました。

 そもそも、派手なゴルフコンペで、お笑い芸人が司会をしている場合、正規に事務所を通しているのか、甚だ疑問です。昔は、「すごいなぁ~、芸能人が司会をやってる~」でしたが、今では「あいつ、闇営業じゃないの?」なんていう扱いです。ほんと、コンペの営業仕事も”受難の時代”になりました。

 ゴルフって、社交的なイメージがある反面、現実は相当排他的です。名門倶楽部に入りたいなら、お金を貯めて、メンバーとのコネを作って、そこから紹介してもらいなさい、ですから。メンタルがさほど強くない若者には、ついていけない世界だと思います。

 けど、このアンケートを見てショックを受けているのは、我々ゴルフに関わる仕事をしている人たちのみ、です。この記事を読んでいるプレーヤーのみなさんは、むしろ「後ろの世代がやらないのだから、コースはガラガラになって、プレーフィーも安くなってよろしい」くらいに思っているかもしれませんね。

 もうこうなったら、開き直りましょう。

 太宰治の小説『斜陽』よろしく、滅びの文化として、ゴルフの使命を全うしようではありませんか。戦後の貴族階級の没落と同様、威厳とプライドを持って、ゴルフ文化を燃焼させましょうか。

 開き直りついでに、いろいろと考えてみました。こんなのはどうでしょうか。どうせ、滅びゆくなら、豪快にいっちゃいましょう!

●オヤジがゴルフ場で必要なもの
・大浴場
・バイキングランチ
・スルーザグリーン6インチプレース
・雨の日半額料金
・クラブバスの送迎

 どうです? ラウンドでは6インチ動かしてもいい、という甘いルール。あとは、自分の都合のいい、居心地のいい設備とサービス。オヤジにとって、ゴルフは究極の居心地のいいレジャーなんですよね。

 じゃあ、悪ノリついでに、こんなのはどうです?

●オヤジがアフターゴルフで必要なもの
・美味い酒
・若い女性
・経費で落ちる領収書

 結局、ゴルフは接待の一部にすぎなかったのね……。これらに加え、ハイヤーで送り迎えされたら、人生最高!……って、こういうベタベタな”オヤジ文化”は、さすがに滅びていいかも。ウチらの世代で打ち止めにします。

 未来を担う若者たちは、質素で、慎ましい、ストイックなゴルフ文化を作ってくださいね。