今季初の無失点、2度目の無四球登板となったパフォーマンスの裏には、新加入したベテラン選手から授かった智慧が隠されていたようだ。■内角攻めに対する意識改革「自分はできる。自分は投げられる」 白星こそつかなかったものの、7日(日本時間8日)アス…

今季初の無失点、2度目の無四球登板となったパフォーマンスの裏には、新加入したベテラン選手から授かった智慧が隠されていたようだ。

■内角攻めに対する意識改革「自分はできる。自分は投げられる」

 白星こそつかなかったものの、7日(日本時間8日)アストロズ戦で7回5安打8奪三振無失点の快投を披露したレンジャーズのダルビッシュ有投手。今季初の無失点、2度目の無四球登板となったパフォーマンスの裏には、新加入したベテラン選手から授かった智慧が隠されていたようだ。地元紙「ダラス・モーニングニュース」電子版が伝えている。

 遠征地ヒューストンのクラブハウスでくつろいでいたダルビッシュと偶然居合わせたのが、8月1日(同2日)のトレード期限に移籍してきたベテラン外野手カルロス・ベルトランだった。記事によれば、そこで約20分近く話し込んだダルビッシュは「内角攻め」に対するメンタル面でのアプローチについて、大きなヒントを得たという。

 メッツ時代に通算219勝を挙げたペドロ・マルティネスと同僚だったベルトランは「ペドロは内角に“投げなくてはいけない”と考えるのではなく、“自分はできる。自分は投げられる”と思って投げていた」と話したそうだ。ダルビッシュは「自分の弱点はメンタル」と考えているようで、同時に「メンタル面で強くいられれば、状態はどうであれ勝てる」というベルトランの思考にも深く感銘を受けたようだ。

■「ボールを投げる前でも、勝負に勝つことはできる」

 人格者としても知られるベルトランは、選手同士はもちろん首脳陣からも絶大な信頼を受ける人物だ。記事によれば、ベルトランは「“~しなければいけない”と思った時、そこには疑念がはさまってしまう。自分自身に対して疑いを持つことはできない。こういった打撃や試合に対するメンタル面でのアプローチについて、ダルビッシュはかなり興味を持ったようだね。ピッチングについても話したよ。言ったんだ。ボールを投げる前でも、勝負に勝つことはできるって」と、メジャー18年というキャリアで得た智慧を“後輩”に引き継いだそうだ。

 ベルトランからアドバイスを受けた翌日に見せたのが、7日の快投だ。この日、全93球のうち36球が右打者に対するフォーシームだったという。トミー・ジョン手術を受けた後、ダルビッシュはフォーシームを中心とする速球を多めに投げるスタイルになったが、それでも1試合で25球前後で、30球を超えることは珍しかったと、記事では伝えている。破壊力があるとされるスライダーやカーブをより効果的に使うためには、フォーシームでの内角攻めがカギだと言われてきたが、ベテランから教えてもらったメンタル面でのアプローチが、早速効果を発揮したようだ。

 最近の状態は、手術前の2013年以上だと話しているダルビッシュ。自分で弱点と感じているメンタル面を強化できた時、いまだに見たことがないハイレベルなピッチングが生まれるのかもしれない。