「負けるべくして負けた」。『常勝』早大を引っ張る堀江友裕主将(スポ4=和歌山・開智)が試合後そんな言葉をもらした。東日本大学選手権(東日本インカレ)3日目。フルメンバーではなかったが前回王者の戦いはまさかの3回戦で幕を閉じた。早大を破った…

 「負けるべくして負けた」。『常勝』早大を引っ張る堀江友裕主将(スポ4=和歌山・開智)が試合後そんな言葉をもらした。東日本大学選手権(東日本インカレ)3日目。フルメンバーではなかったが前回王者の戦いはまさかの3回戦で幕を閉じた。早大を破った相手は青学大。春季関東大学リーグ戦後の入替戦で1部昇格を決めた波に乗っているチームだ。1セット目の後半から青学大の緩急をつけたスパイクに苦戦。セットカウント0-3(22-25、19-25、21-25)でストレート負けを喫した。大学生相手に負けるのは今季初。早大が出場した大学の大会で優勝を逃したのは2017年の東日本インカレぶりのことだった。

 重藤トビアス赳(スポ1=神奈川・荏田)の強烈なクロススパイクから試合が開始。3-2で青学大のエンドラインギリギリのスパイク、フェイントなどで3連続得点が決まる。するとここから中村駿介(スポ3=大阪・大塚)の片手トスから上條レイモンド(スポ2=千葉・習志野)のクイック、武藤鉄也副将(スポ4=東京。東亜学園)の一枚ブロックを含む3連続得点を2度決めた早大が3点リード。しかしなかなか点差を広げることができない。セット中盤、青学大のセッター望月(経済3年)による背面からのトスフェイントで14-14とジュースに持ち込まれてしまう。一進一退の攻防が続き、一歩前に出たのは青学大だった。早大のオーバーネットやスパイクなどで4連続得点を決め一気にセットポイントに。早大は中村のブロックで1点返すと上條に代わりピンチサーバーとして仲濱陽介(スポ2=愛知・星城)を投入する。しかし追いつくことはできず今大会で初めてセットを落とすことになった。


スパイクを打つ村本を囲む選手たち

 立て直したい2セット目。Aパスを供給し続けるも、早大の持ち味である『粘りのバレー』をなかなか引き出せずラリーポイントを獲得することができない。セットの序盤から6-10と青学大にリードを許す展開となる。6-10とした場面でライトを重藤から中島明良(スポ1=京都・洛南)に交代。その中島の元気なプレーで徐々に流れをつかんできたのか11-16からコンビを織り交ぜた大塚達宣(スポ1=京都・洛南)のバックアタック、ブロックアウトを誘う村本涼平(法4=京都・洛南)のスパイクなどで応戦し点差を縮めていく。 大塚のパイプが決まり19-21で早大は再びピンチサーバーとして仲濱を出場させ、さらなる巻き返しを図る。しかしここから武藤のスパイクをブロックで封じるなど青学大の勢いがさらにヒートアップ。4連続得点を上げられこのセットも獲得したのは青学大だった。早大がブレークしたのはわずかに3回。ペースをつかみきれなかった。


全試合スタメン出場した重藤は1年生らしい全力プレーで躍動し続けた

 勝負の3セット目、序盤から大塚にトスを集め、攻め続ける早大。しかし青学大も早大コートの隙間を突く軟打、ブロックを決め勢いは止まらない。14-14と同点の場面で命運が分かれた。青学大がクロス、ストレート、軟打と多様な攻撃で早大を翻弄し3連続得点。中村のサービスエースでブレークするなど反撃を試みるも早大は逆転することはできない。青学大リードのまま試合は動かず、スパイクが決まり25点目。大学王者はストレート負けで東日本インカレを終えた。

 1日目、2日目と全員バレーで勝ちを得たが、3日目は全員で負けてしまった。そして今年のチームカラーともいうべき『雰囲気の良さ』がこの試合では封じられたかのようであった。松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)、攻撃の要である村山豪(スポ3=東京・駿台学園)、宮浦健人(スポ3=熊本・鎮西)がいないという厳しい状況下で東日本インカレに挑んだ早大。上級生、下級生共にお互いを勝たせてあげなければいけないという責任感があったのだろうか。しかしここで戦いが終結したわけでは決してない。勝つことが当たり前と思われてきた中での一敗は全日本インカレ3連覇を実らせるための肥料となった。まずは秋季リーグ戦へ向けてチームを『誰が出ても勝てるチーム』に。リスタートを切った早大の旅路はまだまだ続く。

(記事 萩原怜那 写真 菅沼恒輝、瀧上恵利)


※掲載が遅れて申し訳ありません。

セットカウント
早大22-25
19-25
21-25
青学大
スタメン
レフト 村本涼平(法4=京都・洛南)
レフト 大塚達宣(スポ1=京都・洛南)
センター 武藤鉄也(スポ4=東京・東亜学園)
センター 上條レイモンド(スポ2=千葉・習志野)
ライト 重藤トビアス赳(スポ1=神奈川・荏田)
セッター 中村駿介(スポ3=大阪・大塚)
リベロ 堀江友裕(スポ4=和歌山・開智)
コメント

堀江友裕主将(スポ4=和歌山・開智)

――今のお気持ちをお願いします。

上級生として責任はあるし、また、きのうまでの試合の中で僕自身大丈夫かなという不安があって試合に臨んだ中でのこの試合(の結果)だったので悔しいですが、それ以上に負けるべくして負けたという感じです。

――きょうの敗因というのは何だと思いますか

自分的なダメだったところでいえば軟打とかを上げれなかったです。いつも上げたら決めてくれるということがある中で(今大会では)なかなかスパイクが決まらなくて自分自身が我慢しきれなかったところはあるし全てが悪い方向へ向かってしまったことが抽象的ですけどそこかなと思いますね。

――チームとしてはいかがですか

チームとしてはレセプションがある程度返せていた中で取れなかったということはチームの武器であるセンター線とパイプを通すということが最後まで合わなかったです。なのでやっぱりチームとしてはセンター線が機能しなかったということが敗因かなと思います。

――最終学年としてのプレッシャーはありましたか

やはりなくはないしいざ負けると悔しいです。去年の4年生より僕らは力がないのかなと思います。そのことは事実だと思いますし、プレッシャーというか今感じていることです。

――秋に向けてどのようなチームにしていきたいですか

『誰が出ても勝てるチーム』を目指している中でこのような結果というのはやはり今は大学生相手でも勝てるチームではないので変わったメンバーが頑張るのもそうですが普段から出てるメンバーがどう対応していくかということもその『誰が出ても勝てるチーム』を目指すうえで重要だと思うので自分含め出てたメンバーが余裕がなかったということも現実だと思います。ここからもう一度試合の分析などをしてもう一回『誰が出ても勝てるチーム』を作っていきたいです

村本涼平(法4=京都・洛南)

――今のお気持ちをお願いします。

優勝を目標にやってきていた中でこのようなところで負けてしまって今は終わったばかりで分からないですがこれからこの負けを次につなげていけるように考えなければいけないなと思います。

――きょうの試合を振り返っていただけますか

レセプションとかはいつも通りだったのですがこちらがラリーをとれなかったので結局ブレークをすることが出来なかったです。また軟打やフェイントを取れなくて自分たちの弱いところをしっかりついていったので相手の思い通りにやられてしまったのかなと思います。

――青学大に対策は練られていた状態でしたか

一人一人の技術が高くサイドの攻撃がかなり早くてフェイントを警戒はしていたのですが試合になると足が止まってしまったという感じでした。ずっと先行されていて自分たちも思い切ったプレーができていなかったのかなと思います。

――最高学年としてプレッシャーなどはありましたか

メンバーがいつもとは違う中でもともと入っているメンバーが頑張らないといけないところでレイモンド(上條、スポ2=千葉・習志野)、トビアス(重藤、スポ1=神奈川・荏田)の二人に自分を含めた4年生がもう少しやりやすい環境を作ってあげて彼らのいいパフォーマンスを自分たちが引き出してあげることができなくていいプレーが少なかったのでそういったところが反省点かなと思います。

――夏・秋に向けて個人・チームで修正したい点があれば教えてください。

個人的には自分はスパイクをあまり決めることができないのでそこでもう少しチームに貢献できるようにしていくことです。チームとしては今いない二人に頼ってるということがはっきりわかったので二人がいなくても強いチームにというか誰が出ても強いチームになれるようにまた練習頑張りたいと思います。