7月1日に開幕する芝コートのグランドスラム「ウィンブルドン」。今年は一つ大きなルール変更のもと、大会が行われる。それは最終セットタイブレークの導入だ。「ウィンブルドン」では昨年まで最終セットではタイブレークがなく、2ゲーム差がつくまで勝負は…

7月1日に開幕する芝コートのグランドスラム「ウィンブルドン」。今年は一つ大きなルール変更のもと、大会が行われる。それは最終セットタイブレークの導入だ。

「ウィンブルドン」では昨年まで最終セットではタイブレークがなく、2ゲーム差がつくまで勝負は決しなかった。それが、今年からは最終セットでゲームカウント12-12になった場合、タイブレークが実施される。

芝コートは球足が速く、サーブの威力が他のサーフェスより増すため、ブレークが難しい。そのため、芝コートの試合では、ブレークがないままゲームカウント6-6になりタイブレークにもつれこむケースが多かった。

ただ、「ウィンブルドン」ではこれまで最終セットタイブレークがなかったため、とんでもないスコアの試合が起きてきた。

その最たる例は、2010年男子シングルス1回戦の、ジョン・イズナー(アメリカ)対ニコラ・マウ(フランス)。この試合は3日がかり、11時間5分にもおよび、6-4、3-6、6(7)-7、7-6(3)、70-68という目を疑うようなスコアでイズナーが勝利した。

さらに昨年の男子シングルス準決勝でも、ケビン・アンダーソン(南アフリカ)対イズナーが7-6(6)、6(5)-7、6(9)-7、6-4、26-24、6時間36分の死闘を繰り広げた(アンダーソンが勝利)。

この試合の最終セット、イズナーは24-23となった後のチェンジコート時に主審に「24-24になったらタイブレークにしたらどうか」と提案したという。ジョン・マッケンロー(アメリカ)も「アスリートとしての限界を極める戦いというのは、見ていて感動するものはあるけれども、2010年にイズナーが70-68となった時に、ルールを変えるべきだった」とコメントしていたそうだ。

最終セットまでもつれ込み、長い試合になると、ドラマチックで記憶に残る一戦となる。その一方、選手の負担はとてつもなく大きい。

昨年のこの流れを一つのキッカケに、今年から12-12になってからではあるものの「ウィンブルドン」でも最終セットタイブレークが導入された。またすでに行われた「全豪オープン」も、昨年まで最終セットタイブレークがなかったが、今年から6‐6になった時点で10ポイントタイブレークとなるルールが導入されている。

2つの長時間試合を経験したイズナーも「試合の勝者にとっては休息できるほか、次の試合のために控えている選手や、フルスケジュールのために有料で試合を見ているファンにも利益がある」とコメントしている。

いよいよ幕を開ける芝のグランドスラム。どんなドラマが生まれるか、今年も注目だ。

(テニスデイリー編集部)

※写真は昨年の「ウィンブルドン」でのイズナー(左)とアンダーソン(右)

(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)