「ウィンブルドンは選手の戦略と技術に注目して見てもらえると、さらにテニスを楽しく見ることができる」(石黒賢)「錦織選手には戦法の変化が必要」「大坂選手はフリーな気持ちでウィンブルドンに挑める」…

「ウィンブルドンは選手の戦略と技術に注目して見てもらえると、さらにテニスを楽しく見ることができる」(石黒賢)

「錦織選手には戦法の変化が必要」「大坂選手はフリーな気持ちでウィンブルドンに挑める」(伊達公子)

グランドスラムの中でも最も格式高いと評される、歴史と伝統を誇る「ウィンブルドンテニス」。日本のエース錦織圭、大坂なおみの戦いなど、WOWOWではミドルサンデーとなる7日(日)を除いて、7月1日(月)~7月14日(日)、連日生中継でお届けする。(※第1日無料放送)

番組では、今年もスペシャルナビゲーターとして俳優・石黒賢が出演。WOWOWテニスアンバサダーの伊達公子も登場し、現地の感動と興奮をお届けする。

そんな二人が大会前に対談を行い、ウィンブルドンテニスの見どころを語った。

■ウィンブルドンの魅力とは?

石黒:伊達さんは昨年、WOWOWテニスアンバサダーに就任し、今年で2年目になります。昨年は伊達公子さんにいろいろなことをやっていただきました。鷹とか行列とか…。特に印象に残っていることは何ですか?

伊達:選手時代には経験できなかったことだったので、どれも印象に残っているのですが、あえて1つ挙げるとすれば「ローンテニスミュージアム」ですね。

ウィンブルドンといえば、やはり伝統と歴史。それが凝縮されていて、そこに行けばウィンブルドンのすべてが見られるのです。あんなにじっくりとミュージアムを見ることはこれまでなかったので、本当に印象的でした。

石黒さんはスペシャルナビゲーターとして、今年で12年目のウィンブルドンですね。

石黒:そうです。振り返るともう12年目ですよ。

本当にいろいろなことがありましたが、最初の年が特にすごかったですよ、ナダルとフェデラーの男子決勝が。屋根が付く前のセンターコートで、薄暗くなるまで試合が行われ、5時間近いマラソンマッチになったんです。

昨年はセンターコートで伊達さんと一緒に試合を見させていただいたのですが、ウォーミングアップのときにはまだ会場がざわついていたのが、審判がプレーと言った瞬間に静まり返るんです。

あのサイレンスな感じがたまりませんでした。ボールの打つ音しか聞こえない。そして、決まると大きな拍手。“This is ウィンブルドン”という感じでしたね。

伊達:あそこまで極端に静かになるのは、ウィンブルドンならではですね。

■変わりゆくウィンブルドン

石黒:さて、ウィンブルドンといえば、歴史と格式。しかし、変わらないものもあれば、変わっていくものもあります。

まず、今年からルールが変わりました。ファイナルセットでゲーム数が12-12になってからは、7ポイント先取のタイブレーク制が導入されます。

伊達:これまでも(ジョン・)イズナーと(ニコラ・)マウの3日がかり、11時間以上に及ぶ試合がありました。昨年も(ケビン・)アンダーソンの6時間以上の試合がありました。あれだけ長くなると選手はかなり大変なので、やはりルールを変化する必要もあると思います。

ですから、タイブレークが導入されると、選手のフィジカルという面ではヘルプにはなると思います。

ただ、タイブレークになると、本当の勝負というよりも、運が大きく左右することになります。特に女子の試合は。

ビッグサーブを持っている男子のほうは、タイブレークという短い中で、いかに勝負していくのか、よりスリリングな展開が観られるのではないか思います。

男女で差が出るような気がします。

石黒:今年はNo1コートに屋根が付きますね。

伊達:私はNo1コートではプレーしたことはないのですが、見る側にとってはセンターコートと違った良さがあると思います。こじんまりとしていて、より一体感があると思います。

■今年の注目選手・男子は

石黒:さて、男子の注目選手についてはいかがでしょうか。

伊達:やはり8回優勝している(ロジャー・)フェデラーですね。ウィンブルドンといえば、今は何といってもフェデラーです。しなやかなストロークに、ネットプレー、絶妙なドロップショット。どれをとっても美しいですし、芝に合うプレーだと思います。

しかも、4年ぶりに今年は全仏オープンに挑戦し、しっかりとベスト4に入っているんです。(ラファエル・)ナダルに破れるまでは、クレーコートだと感じさせない、いいテニスをしていたと思います。

芝のコートになれば、きちんと調整をしてきて、クレー以上のクオリティでプレーをしてくれると思います。

石黒:そのナダルですが、全仏オープンでは本当に強かったです。ウィンブルドンでは2010年以来、優勝はないのですが。

伊達:クレーではまさにキングという感じがしますが、芝になると膝への負担が大きくなるので、クレーのような本来の動きができなくなると思います。

石黒:そして、(ノバク・)ジョコビッチです。全仏オープンではちょっと残念でしたが。彼は芝でも本当によく足がスライドしますよね。

伊達:あのスライドは私の時代だったら考えられないことですね(笑)。

ジョコビッチはプレーのムラがなく、どの大会でも彼の本来の力が出せるという安定感があります。そして、どのサーフェスでも対応できるバランスの良さもあると思います。やはり優勝候補のひとりだと思います。

石黒:フェデラー、ナダル、そしてジョコビッチ。このビッグ3の強みはどのあたりだと思いますか?

伊達:存在感の大きさは誰もが認めるところだと思います。対戦する選手は、センターコートに入った時点ですでに名前負けしていますね。

マイケル・チャンコーチが錦織選手に「フェデラーに憧れているようではだめ」と言ったことがありますが、同じ勝負にこだわるプレーヤーとしてコートに入っていかないといけないと思います。

選手もそれは頭では分かっていると思いますが、いざコートに入ると、オーラというかその存在感に圧倒されてしまうんですね。ファーストセットが終わったあたりでやっと試合に集中できるようになると思うのですが、そのときには“時すでにおそし”になっているのです。

石黒:でも、錦織選手はもうそんなレベルではないですよね。

伊達:そうですね。もうそんなことはないと思います。でも、やはり彼らが出すオーラというのは全然違うように感じていると思います。

あと、彼らはそう簡単にはポイントをくれないんです。そのレベルは他の選手とは大きく違っていますね。

石黒:若い選手も台頭してきています。(ドミニク・)ティーム、(アレクサンダー・)ズベレフ、そして(ステファノス・)チチパス。彼らの芝への適応力についてはいかがですか?

伊達:その3人の中では、私はズベレフがいいんじゃないかと思います。サーブもいいですし。

ティームはクレーのときのように後ろに下がっていると、芝ではちょっと難しいと思います。ナダルのように、先を読んだ動きはまだまだできていないと思います。

チチパスは、可能性は感じますが、体力面、メンタル面でもうちょっと時間がかかるように思います。グランドスラムは5セットで、2週目になってぐっとパフォーマンスを上げなければいけませんが、そのあたりがまだまだできていないように思います。

ビッグ3は、1週目は100の力のうち50も出さずに勝ち進んでいると思います。私もそのような感覚があったのですが、1週目はセーブして、2週目で徐々に力を出していくのだと思います。

Part 2 に続く・・・