「リオデジャネイロ五輪テニス競技」(8月6~14日/ハードコート)の女子シングルス1回戦で、2012年ロンドン五輪の金メダリスト、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)がアップダウンのある調子ながら、ダリア・ガブリロワ(オーストラリ…

 「リオデジャネイロ五輪テニス競技」(8月6~14日/ハードコート)の女子シングルス1回戦で、2012年ロンドン五輪の金メダリスト、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)がアップダウンのある調子ながら、ダリア・ガブリロワ(オーストラリア)を6-4 6-2で下し、タイトル防衛への一歩を踏み出した。

 強風のせいか、予想したより遅かったハードコートのせいか、単にウィンブルドン以来、約1ヵ月試合をしていなかったせいかはわからないが、プレーが不安定だったセレナは、ことがいい方向に進まないときに自分に向かって叫び、ジェスチャーで苛立ちを表現した。

 「完璧でないと、いつもコート上でフラストレーションを感じるのよ」とセレナ。

 先のウィンブルドンでオープン化以降、最多の22番目のグランドスラム・タイトルを獲ったのち、セレナはまったくほかの大会には出ずにリオ五輪にやって来た。

 今大会の第1シードであるセレナは、グランドスラム大会で1度しか2回戦を超えたことのない世界46位のガブリロワに対し、91分の試合の間、お世辞にもベストのプレーをしていたとは言えなかった。

 この試合はメインスタジアムで行われたが、過度の強風のため、ほかの8つのコートでは試合開始が2時間ほど遅れることになった。セレナは突風が吹くコンディションについて聞かれると、「少しナーバスになったわ」と話している。

 セレナは37本のアンフォーストエラーをおかし、27本のウィナーを奪った。そして第1セット5-3からのサービスゲームを、ラブゲームでブレークされた。とはいえ、これは非常に見応えのあるラリーが見られたゲームでもある。双方が素晴らしいディフェンス能力を見せながら打ち合い、最終的にセレナのフォアハンドがネットにかかったとき、セレナはそばにあったネットにもたれかかり、ガブリロワはラケットを手から落として膝をついた。

 だがセレナは、次のゲームですぐにブレークし返して、セットをもぎ取った。

 「特に第1セットは難しかったわ」と、風についてセレナは言った。「第2セットでは少しおさまってくれたからよかったわ。おかげでよりよいプレーをすることが可能になった」。

 選手たちはリオのハードコートが、例えば全米オープンや、アメリカでの前哨戦で使われているものよりも遅く、バウンドがより高いことを指摘している。これについて3度全仏オープンを制しているセレナは、「幸い私はかなりいいクレーコート・プレーヤーだから、コートが遅くてもOKよ」と言った。

 「ボールを3、4本余計に打つか、単純によりよいプレーをしなければならないけれど問題ないわ。だんだんここでのコンディションにも慣れてきたから」

 セレナは2回戦でアリゼ・コルネ(フランス)と対戦する。コルネはヨハンナ・ラーション(スウェーデン)を6-1 2-6 6-3で下して勝ち上がった。

 そのほかの対戦では、全仏チャンピオンで第3シードのガルビネ・ムグルッサ(スペイン)がアンドレア・ミトゥ(ルーマニア)を6-2 6-2で退けた。ムグルッサは次のラウンドで、日本の日比野菜緒(LuLuLun)と対戦する。日比野は1回戦で、イリナカメリア・ベグ(ルーマニア)を6-4 3-6 6-3のフルセットの戦いの末に退けていた。

 また、ヤロスラーワ・シュウェドワ(カザフスタン)を6-3 6-4で下した土居美咲(ミキハウス)は、2回戦で第13シードのサマンサ・ストーサー(オーストラリア)と対戦する。ストーサーはエレナ・オスタペンコ(ラトビア)に1-6 6-3 6-2で逆転勝ちした。

 第2シードのアンジェリック・ケルバー(ドイツ)はマリアナ・デュケ マリノ(コロンビア)を6-3 7-5で退け、ユージェニー・ブシャール(カナダ)と対戦する2回戦へ駒を進めた。ブシャールはスローン・スティーブンス(アメリカ)を6-3 6-3で下した。

 姉ビーナスと組んで女子ダブルスもプレーしたセレナは、ルーシー・サファロバ/バーボラ・ストリコバのチェコ・ペアに3-6 4-6で敗れた。ウイリアムズ姉妹は2000年シドニー、2008年北京、2012年ロンドンの五輪女子ダブルスで金メダルを獲得しており、今回も姉妹ペアで4つ目の金メダルを狙っていた。それだけに、この敗戦は多くの者にとって衝撃だっただろう。さらにビーナスは前日のシングルスでケイレン、脱水症状、胃痛などに苦しめられ、シングルスで初戦敗退を喫していた。

 「本当にひどいプレーをした。それが結果に現れたわ」と試合後のセレナ。

 サファロバ/ストリコバはこの試合に先立ち、フェドカップで一度ペアを組んだことがあるだけでそのときには敗れていた。しかしストリコバは「それは事実だけど、私たちはいい友達同士なの。お互いのプレーをよくわかり合っているのよ」と言う。「私も彼女も、コートの上で各々がしなければならないことが何なのかわかっているの」。(C)AP