ネクストジェネレーション・ATPファイナルズ2019のチケットが、販売を開始した。同大会は、過去2年間の開催地であったフィエラ・ミラノから、同じくミラノにあるパラリド“アリアンツ・クラウド”…

 ネクストジェネレーション・ATPファイナルズ2019のチケットが、販売を開始した。同大会は、過去2年間の開催地であったフィエラ・ミラノから、同じくミラノにあるパラリド“アリアンツ・クラウド”アリーナへと場所を移して11月5日~9日に開催される。

 新開催地であるパラリド“アリアンツ・クラウド”スタジアムは、収容人数が5000人以上あり、市街地により近い場所に位置する。11月5日~7日の間に行われる試合は、全てラウンドロビン形式で行われ、14時から始まるアフタヌーン・セッションと、19時から始まるイブニング・セッションに分けられる。引き続き8日には準決勝の2試合と9日には決勝が、それぞれ19時に行われる予定だ。 ATP会長兼エグゼクティブ・チェアマンのクリス・カーモード氏は「大きな成功を収めたフィエラ・ミラノにおける2年間を経て、パラリド“アリアンツ・クラウド”アリーナを、ネクストジェネレーション・ATPファイナルズ2019の開催地としてアナウンスでき、大変うれしく思います。一風変わった形式で行われるこの大会は、次世代のスターを見出す最高の舞台となるでしょう。開催地を新たにすることで、この大会をより素晴らしいものに昇華するこができ、また、その試合を市街地により近い場所で開催することは、ファンにとっても喜ばしい事だと思います。」と語った。

 多目的アリーナであるパラリドは、ATPツアーの室内トーナメントが開かれたこともある場所で、2001年にロジャー・フェデラーが自身の初タイトルを獲得した場所でもある。その後2005年を最後に、長く同地でATPツアーの試合は行われてこなかったものの、その間に大改築が行われ、2019年6月14日に再始動を始めたばかりだ。

 イタリアテニス協会代表のアンジェロ・ビナギ氏は「開催地をパラリド“アリアンツ・クラウド”アリーナに移すことは、来場するテニスファンの方々にとっても喜ばしいニュースでしょう。ネクストジェネレーション・ATPファイナルズは、始動してからたった2年で、重要な国際試合へと成長しました。フィエラ・ミラノには、過去2年の開催地として、そして今後も協賛していただけるパートナーとして心から感謝したい。大会の開催は大きな相乗効果を生み出しており、ミラノ市、ロンバルディア州そしてミラノ・スポーツには多大な力添えをいただき、大変感謝している。」と述べた。

 2017年に始まったネクストジェネレーション・ATPファイナルズは、21歳以下のシングルス・トップ選手たちで争われる世界大会。初年度の優勝者は韓国のチョン・ヒョン、2回目である昨年はギリシャのステファノス・チチパス が優勝した。

 過去2大会では、ノーレット、ノーアド、4ゲーム1セット(3-3の場合はタイブレーク)の5セットマッチを採用したりなど、多くの革新的な試みがみられた。他にも、「ホークアイ・ライブ」を使用した自動判定によるラインコール導入、25秒ショットクロックや、1セットに1回のヘッドホンを使ったコーチングの許可、ビデオ・レビューなど、多くのATPによる新しい挑戦が試され、その功績はATP&ATPメディアが、最も革新的な団体として称えられたYahooスポーツ・テクノロジー・アワード2018においても認められ、Leadersスポーツ・アワードでは、最も革新的な試みとして、ベスト・イノベーション賞を受賞した。

 ネクストジェネレーション・ATPファイナルズにおける斬新なルールに、中には困惑する選手もいる。その中の1人で、第2回大会の覇者であるチチパスは、スピーディーな決着を目指した新制度は「ストレスが溜まる」と批判している。ヘッドホンを使ったコーチングも、その内容を放送されるとあって、一部選手たちには不評のようだ。

同大会で採用される多くの新システムは、テニス観戦からの若者離れを案じた末、試合時間の短縮化により若いファン層を増やす狙いのようだが、2018年大会から採用されている、ボールキッズによるタオルの受け渡しの廃止に関しては、真逆の効果を生むルールとなる。これに対しては試合のペースが乱れることを懸念する声は多く、実際ラファエル・ナダルも反対の意を表しており、錦織圭も「余計な時間がかかる」と批判的だ。しかしながら、選手たちのボールキッズたちを奴隷のように扱っている態度などが問題視され始めており、2018年9月に行われた深セン・オープンにおいて、フェルナンド・ベルダスコがタオルを素早く渡さなかったボールキッズに攻撃的な振る舞いを示した件は物議をかもし、アンディー・マレーの母であるジュディ・マレーがツイッターに「選手が自分でタオルを取りにいくというルールにしてはどうか?」と投稿したことでも大きく話題になった。

賛否両論はあるが、ATPがこうした事態に倫理的に対応した結果であることは明らかであり、今後こうした対応が吉と出るか注目が集まる。

Photo by Julian Finney/ Getty Images Europe

ATP翻訳ニュース/ATPTour.com