最終学年となり、委員となってチームをけん引していく。それぞれの日本一に向けての思い、チーム内での自身の立ち位置をどのように捉えてるのだろうか。スローガン決定の経緯や、チームの方向の一端を担う3名に今季の意気込みを伺った。学生主体となった昨…

 最終学年となり、委員となってチームをけん引していく。それぞれの日本一に向けての思い、チーム内での自身の立ち位置をどのように捉えてるのだろうか。スローガン決定の経緯や、チームの方向の一端を担う3名に今季の意気込みを伺った。

学生主体となった昨シーズン

――昨季を今改めて振り返るといかがですか

中野将 昨シーズンは監督もコーチ陣も戦術も変わりましたが、選手主体になったことが一番大きいと思います。最初の方は選手主体ということでいい面も出ましたし、逆に練習でいまいちパッと締まらないときもあって、いい面も悪い面もありました。そういう中で、試合ごとにチームとして成長していったのではないかなと思います。久しぶりに『年越し』できたということはいいことだと思いますが、自分たちが目標にしている全国大学選手権(大学選手権)優勝には遠くて、目標自体は達成できませんでした。久しぶりに「年越し」をして、日本一に向けてちょっとずつ進んでいるのではないかなと思います。

岸岡 「年越し」という部分に関しては、僕らも3年目で初めての経験だったので、高校時代でいうと「年越し」が当たり前みたいな感じがありましたが、年が明けてもラグビーしていることのうれしさを大学3年生にして改めて実感しました。去年1年間を振り返ると、将伍(中野将伍、スポ4=福岡・東筑)が言ったように「ここで新体制か」と思う部分があり、不安材料もありました。選手主体というのことを相良監督(相良南海夫監督、平4政経卒=東京。早大学院)が重んじる中で、チームとしてはいい方向に行ったのではないかなと思います。ですが、その中で選手に任せ切りである部分が選手自身の中にあって、詰めきれないところがあり、最後は勝てないということがわかりました。早稲田ラグビーのスタイルは今年も変わらないと思うのですが、去年以上に引き締めてさらに一段二段と上がっていかないと、日本一というのはないのかなと思いました。

松本 去年はやはり体制が変わって、一つの目標に向かってチームが団結するというか、一丸になる大切さを学んだなと思います。僕は1、2年生の時はずっと下のチームにいて、3年生の春に少しだけAチームで2、3試合出させてもらいましたが、そのあとは結局上に絡むことはできていませんでした。特に下にいて感じたのは、今年は試合のカテゴリーに関わらずチーム一丸となってできているなということでした。1、2年生の頃に比べたら、Aチームやシニアチームがやっていることに他人事になっていないというか。試合に出られてなくても、当事者意識を持って常にAチームを目指すという雰囲気ができたのかなと思っています。

――「主体性」という言葉が出ましたが、去年大きく変わったところだと思います。昨年一年間を経て、主体性に対して感じたいい面や難しい面を教えていただけますか

中野将 僕が1年生の頃は、どちらかというとチームから言われたり出されたものをしなければいけないという感覚でした。今は練習中にも、「こうしたらいいんじゃないか」という声が選手同士で出るようになりましたし、そういう面ではよかったかなと思います。難しいなと感じたところは、例えば練習中に僕たちの熱が足りないときに監督が言ってくれた場面がありましたが、去年はそれがなかったので、体を当てたり熱が入るところの練習でそこの強度が上がるのが遅かったりしました。自分たちで上げ切れなかったところがありましたね。

岸岡 主体性のいい面は、僕自身としてはラグビーが楽しくなったことです。楽しくなかったというわけではないですが、さらに楽しくなりました。悪い面は、良し悪しのラインがまちまちになったことです。1、2年生の頃は「こういうラグビーをしなさい」というのを監督やコーチから言われて、悪く言えばそれを遂行するというかたちでした。「ミスなくやれば勝てるだろう」というプランを教わり、それをミスなく100パーセントやる。100パーセントは無理ですけど、80パーセント、90パーセントと上げていくと勝ちに近づいて行くという形式です。それに対して去年は、自分たちで勝てる方法を模索して、自分たちでコミュニケーションを取ってやるという感じでした。僕はやっぱり頭を使うことが好きなので、自分のプレースタイルとか、自分の得意とするところを去年1年間みんなと考えながらできたというのが、どういうラグビーをしたかとかじゃなくてそういう過程で「ラグビー楽しいな」と思いましたね。それに付随して難しかった点については、「自分たちでなんでもやっていいよ」言われると、「どこまでがオッケーでどこまでがダメなんだろう」というふうに、私生活からすべてがあいまいになった点です。上から降りてくると「これはいい、これはダメ」というのがパッとわかるのですが、自分たちで決めなければならない点が増えて結構面倒臭かったりしました。そこも話し合ってうまく決められたらよかったのですが、去年はそこまで話し合う機会を設けることもなく、まちまちな部分があったのかなと思います。

松本 いい面としては、チーム全体、特に自分が1、2年で経験した下のチームと比べると、ミスを恐れてのプレーが減り積極的にプレーする選手が増えたと思います。それがやはりチームの士気につながったと思います。逆に、主体性の難しい面は、トップダウンで言われるわけではないので最後は自分自身というか。そこで人によって差があったりしてしまうところです。チーム一丸となる雰囲気はできてきたと思うのですが、本当の意味で一つになれていたかと言われたら、そうではなかったのかなと思います。それが去年ベスト4で止まってしまった結果につながっているのかなと僕的には思っています。

――練習では、どこまでをコーチ陣が決めて、どこから選手が決めているのですか

中野将 メインメニューは提示されますが、練習中の改善点などは学生で話し合います。コーチからもアドバイスされることはありますが、学生同士の話し合いも増えたと思います。コーチから言われることは少なくなりました。

――大学選手権明治戦の試合後にインタビューで、多くの選手が「今年と同じことをやっていたら来年は勝てない」と言っていました。去年と比べて変化を実感していることはありますか

松本 

本格的なラグビーの練習が始まっていないので、まだ言えないところはありますが、部室を綺麗にするなど細かい私生活のこと、声を出したら必ず反応するという練習中の細かい部分をまず4年生がやり、下級生に示しをつけるということが変化したかなと感じています。

――逆に、まだ変わっていないからこれから変えていかなければならないなと感じている部分はありますか

中野将 新しいコーチたちとまだ接点がないのでまだわからないですが、変えたほうがいいと思うのは、自分たちが使うところを綺麗にするとか、部でやらないといけないことを忘れずにやるとかです。まだ忘れる人はいますが、なくそうという呼びかけは結構していて、なくそうとはしていると思います。

――昨年度は、準決勝で負けた明治が22年ぶりに日本一になりました

松本 チームとしては1回勝っている相手が優勝しているので、試合を見ていて「もっとできたのかな」と思う部分はありましたが、見ている感想としては、やるべきことをしっかりやっているチームが勝つのかなというふうに思いました。

岸岡 びっくりしましたね。明治が勝つとは思っていませんでした。すごかったなと思います。
まず、自分たちが負けた試合から「前の明治とは違うな」というのがありました。そんなに変われるのかな、と。色々な大人の方や記者さんと話したのですが、「明治は変わっていたね」と皆が口にしていました。この間の遠征で明治の人に「何かしたの?」と聞いてみたら、「いや、何もしてないです」と返ってきました。「なんでそんなディフェンスができたの?」と聞くと、「しなきゃいけないなと思ってみんなで意識しました」と言っていて。明治は多分もともと個々の能力が高い集団なので、意識すればできるのかなと改めて感じました。それに比べて早稲田はタレントでいうとそこまで勢ぞろいではないですし、層の薄さもあると思います。そこは意識しなくても無意識レベルでできるくらいやり込まないと、ああいうタレント揃いには勝てないと思いました。そこに改めて気づいたので、もう明治には負けないですね。

中野将 関東大学対抗戦(対抗戦)では勝っていたので、早稲田にもそういうチャンスはあったのかなと思いますね。でももし早稲田が(大学選手権準決勝で)勝っていたとしても、天理に勝てていたかどうかはわからないです。

――今年度の新体制についてお伺いします。中野将選手と岸岡選手は昨年から委員を継続し、松本選手は今季から新たに委員に加わりました。何か心境の変化はありましたか

中野将 4年生になったので、4年生がちゃんとしなければいけないので、その意識は強くなりましたね。部室やウエイトルームを使ったら後片付けして出るときに確認するだとか、寮内の規則をしっかり守ろうということだとか、私生活の面が大きいですかね

岸岡 あまり変わっていないですが、4年生とそれ以外って多分少しだけ違うと思っていて。もちろん去年も精一杯頑張ったけれどそれ以上に自分の代で勝ちたい、という自分の代にかける思いが強いと思っています。
やはり4年生がやらないと示しがつかないですし、4年生になったからといって何かを変えることは自分的にはしたくないですが、今までのことを一段階レベルアップできれば自分としての成長にもつながるし、それが後輩にも伝わってくれたらチームとしての成長にもつながると思います。
僕自身としては、4年生になったからといって特に改めて気を引き締めていこうというのはあまり考えていないです。総合的にレベルアップしたらいいかなという気持ちでやっています。

――松本選手は今年度から選出されましたが、経緯などを教えていただいてもよろしいでしょうか

松本 早稲田は全寮制ではなく、寮生と外勤(寮外から通う学生のこと)が半々くらいです。
外勤から1人委員に選ばれることになっており、去年は辺津さん(辺津勘太氏、平31卒部=東京・早実)だったのですが、オフの少し前に齋藤直人(主将、スポ4=神奈川・桐蔭学園)と食事に行ったときにその役割をやって欲しいと言われました。その理由として、自分がこの3年間ほとんど下にいたことと、やはり下から突き上げてくる競争がないとチームは強くならないと思うと直人に言われて、僕もそう思っていたことがあります。まずそういう雰囲気を作ったり、チームがやろうとしていることをAチームだけでなくすべてのカテゴリーのチームに浸透させたりする意味も込めて、僕に言ってくれたのかなと自分では思っています。
それをやるのと同時に、一人の選手として上のチームでプレーすることが、今は寮に入っていない後輩の模範となる姿になるのかなと思います。まずはそこを目指してやっています。

――委員で集まり、週に1回でミーティングをしていると伺いました。現在はどのようなことを話し合っているのでしょうか

岸岡 先ほど言ったように、部室を綺麗に使うなど去年あいまいになっていた部分をブラッシュアップしています。今年は私生活の部分とかラグビーをする以前の環境づくりなどをしっかりしようというのを、1週間単位で目標を作ってそれを全体に流す話し合いをしていますね。
今は試合がないぶん、普段の私生活の行いに目を向ける時間があります。去年の春ではこういう話し合いは出ていなかったので、そこをより一層チームとして意識しようという雰囲気は出てきているのかなと思います。

――実際に効果を実感した場面はありますか

松本 ウエイト場とかは綺麗になりましたね。

岸岡 この部あるあるですが、提出期限を守らないっていうのがあって。それを今年はやろうと言っているのですが、まだいます。出してない人は名前がラインで流れてきます。去年は、「やろうね」という声掛けだけだったのですが、今年はできないという現状に対して「どうしたらできるだろう」というところまで突っ込んでいます。3人組を作って確認し合うなど、改善策まで話し合うことができています。言うだけではなく、どうやったらみんながやってくれるかというところまでいっているところが、去年とは違うと思いますね。

――話し合いは齋藤主将が中心となって行なっているのですか

岸岡 主将や主務(CTB宇野明彦、スポ4=神奈川・横須賀)あたりから、問題点が2、3個出てきて、それについてみんなで意見を出しまくります。一番いい意見があったら、「じゃあそれだな」という感じでやっていますね。

「選手とコーチ陣の架け橋になりたい」(岸岡)


チーム内での自身の役割について話す岸岡(写真左)

――チーム内での自分の役割やキャラクターというのはどのように考えていますか

中野将 あまり口には出さないタイプですね。模範となる行動をしていこうと努めています。行動をきちんとしようとしています。練習中も、たまに気づいたことがあれば言うくらいですかね。

岸岡 (中野将は)背中で引っ張るタイプですね。俺についてこいタイプです(笑)。
僕は、過去3年間はSOということもありゲームキャプテンをやっているのですが、そういうのもあり、選手とコーチ陣をつなぐ架け橋になる人材になってくれとずっと言われていました。なので、今年はコーチ陣がかなり変わるので、相変わらずその架け橋になることです。
また、去年は選手への振り返りのアプローチはできていたのですが、上の方に「こうしたいです」というのを抑えていた部分がありました。勝ちたいというのはみんなあると思うので、その気持ちをダイレクトに伝えられるように今年はしたいと思っています。

松本 僕は体も小さいですし特別に足が速いとか、強豪校出身というわけでもなく、ラグビーの実績などは正直劣っているのですが、だからこそ、ラグビーに対する姿勢とか、練習に対する取り組み方とか、当たり前のことを当たり前に率先してやってくことが確実にチームにいい影響を与えるのではないかなと思っています。そういうことを求められているから今ここにいると思うので、そこは絶対にぶらさないようにやっていきたいです。

――齋藤直人主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)はどのような人ですか

岸岡 誰よりもラグビーが好きで、誰よりもラグビーに打ち込みたいと思っているのは事実です。

松本 この期間は試合とかもないので、カテゴリー関係なく混ざって練習することがあって。その時の自主練習で、今まであまり一緒に練習したことないようなSHのやつとかを誘ってやっている姿を見て、一番実力のある人が一番練習しているなと感じました。それを自分だけではなく周りにも伝えていこうとしている姿勢が、僕はめちゃくちゃいいなと思いました。

中野将 二人が言ったことプラス、人前ではあまり喋る方ではないですが、キャプテンという立場になって、喋るときはしっかり喋っているという感じですかね。

岸岡 なにそれ(笑)。でも、あいつはめちゃくちゃ口下手です。でも、人を巻き込むのは本当に上手いと思います。直人に「来年一緒にやろう」と言われたら「やるー!」ってなりますね。

――最終学年になり、周りを見ることも多くなってくると思いますが、後輩の中で期待している選手はいますか

松本 1、2年の間、僕は下のチームにいて、3年の時にちょっと上で出させてもらっていたのですが、「ちょっとやればいける」という道を示せました。まずは自分がそれを実践したいと思います。個人名というよりは、今まで上に絡めていない後輩たちに期待したいなと思っています。

岸岡 今の部屋の土田くん(彬洋、スポ3=茨城・茗渓学園)はかなり上手くなっているなと思います。マジで伸びていると思います。多分次は出ますね。一緒にプレーしたいです。マジでいいやつです。スマブラで鍛えたチームワークで意思疎通を図ろうと思います。

「4年生の姿を見て欲しい」(松本)


今季の目標について語る松本

――みなさんが4年生として引っ張っていく中で、今年のチームの強みや見て欲しいポイントはありますか

岸岡 まだラグビーをやっていないのでなんとも言えないのですが、戦力的には変わらないです。やるラグビーによると思うのですが、僕としては誰がまだ選ばれるかはわからないですけど、出ていた3年生以下が誰も変わらないとすれば、BKは誰も変わらないので、展開ラグビーがしたいと思っています。「展開ラグビーがしたいです」というつもりです。

――展開ラグビーの中でも特に見て欲しいポイントはありますか

岸岡 HB団見てください(笑)。日本一のHB団と言われるように頑張るので。

――松本選手、中野将選手はいかがですか

松本 先ほどから、4年生が当たり前のことをやるとかそういう話が出ていますが、あらゆる面で4年生が先頭に立ってやっているということを試合に出るメンバー以外の4年生でも全員が目指している環境が一番いいと思うので、そういう4年生の姿を見て欲しいと思います。

中野将 展開ラグビーということで、ウイングや外に足が速い選手がたくさんいるので、たくさんトライを取ってくれると思います。

岸岡 自分がトライ取りますじゃないの?(笑)。

中野将 トライしてもらえるようにいい中継ができればなと思います。セットプレーは行けと言われたら行くしかないので(笑)。上手に使い分けていけたらいいなと思います。

――どのようなチームにしていきたいですか

岸岡 見ている人はわかると思うのですが、ボールが動かないと面白くないと思うので、僕個人としてはボールを動かしていきたいです。グラウンド全部、縦と横もすべて使って「すげえな」と言われるラグビーがしたいです。ボールがポンポン動いて「面白いな」と思ってもらいたいですね。とりあえずボールが動き回るようなラグビーがしたいです。

松本 小さい頃見ていた早稲田って、岸岡がさっき言ったようにボールを動かしているイメージで。小さい頃ラグビーを始めて「早稲田ってかっこいいな」と思ったので、魅力的に思ってもらえるラグビーをやりたくて、それが早稲田の場合は展開だと思っています。小さい子供とか、昔からのファンの方に「やっぱり早稲田のラグビーはいいな」と思ってもらえるようにやっていきたいです。それはBKがというわけではなくて、チーム一丸となった展開ラグビーだと僕は思っています。

中野将 毎年感じていることは、良いときと良くないときの波があることです。3年間の中で、その悪い波が試合に来ると自分たちの力が出せずに終わったことがありました。波が少なく、良い状態を保っていけるチームになっていければなと思います。

――その「波」をなくしていくにはどうしたらいいのでしょうか

岸岡 新4年生と話し合ったのですが、今までの3年間を振り返ると、春シーズンはチーム作りというイメージがあって。試合の勝ち負けよりも内容を重視していました。負けても悔しいけれど危機感もなく、「次頑張ればいい」というところがありました。しかし、今年は春シーズンからしっかり勝ちにこだわっていきたいです。負けから学ぶことも多いとは思いますが、勝ちにしかわからないこともあると思っています。

中野将 同じ相手と何度も対戦するとある程度どんなことをしてくるかもわかっていますし、分析もされているので、そこでもう一歩上手をいけるように、自分の中でどうすればいいか工夫したり考えたりということがもっとできたらなと思います。

松本 すべては練習の質とかになってくると思います。今までができていなかったかと言われるとそうではないと思いますが、いかに試合で勝つための練習を突き詰めてやれるかだと思います。そこをもっと去年より変えていかなくてはいけないなと思っています。

――『Moving』が去年のテーマでしたが、今年のテーマはもう決まりましたか

中野将 『for one』です。みんなで意見を出し合った中で、去年より本当の意味で一つになろうということで。「one」っていう単語は、自分たちが「こういうチームにしたい」っていうのに全部つながると思うので。「one」だけだとなんかあれなので、「for」をつけて…。

岸岡 違う!(笑)。これお前の班やったっけ?

中野将 そう。

岸岡 お前の班やけどちゃうやん説明(笑)。

中野将 その「one」になるために、ここは自分たちで一人一人考えようという感じです。

岸岡 「for」の使い方的に、A for Bじゃないですか。A for oneを考えた時に、Aをまず空欄にしたんですよ。僕の中でのAと人の中でのAと違くて、100人いれば100個のAがあるわけじゃないですか。それを100個ぶん作って。「one」っていうのは、そこをみんなが見て、そのための100個分の『for oneが』あればよりいいよね、という流れですかね。


スローガン決定の経緯を説明する中野将(左)

――どのように決まったのですか

岸岡 まず、4年生全員で一人ずつ「こういうチームになりたい」というのを言っていきました。

松本 それで、そのあと委員で「だいたいこういう意見が出たよね」という話をしました。そのあと、何人かのグループに適当に分けて、そこで大事な言葉や大事にするポイントを決めていきました。そこから、『for one』に行き着いたという感じです。

中野将 僕が考案したわけではないですが、僕の班の沖野(フランカー沖野玄、商4=北海道・函館ラサール)が提案してくれました。

――それでは、みなさんの中で、A for oneのAはそれぞれなんなのでしょうか

岸岡 その「one」自体に色々含まれているので、例えば日本一の「one」だったら日本一になるために何ができるんだろうという。僕だったら選手とスタッフをつなぐための役割など、ラグビーをやる上でのポジションとしてのAがあると思います。

――では、100人いたら100個ではなく、「One」がたくさんの意味を持つので100個以上になるかもしれないということでしょう

岸岡 そうです。それをしっかり考えようねっていう。

中野将 今考えています。

岸岡 これまだ誰も考えてないです(笑)。

――とりあえず『For One』が決まったということですね

松本 それを今模索しています。最終的には個人の中でビシッと定まったものがあれば、自ずと結果は付いてくると思うので。

「試合ごとにスタンダードを積み重ねる」(中野将)

――昨年は、春も秋も1週間ごと、試合ごとにテーマを立てていました。それを今季も継続するのでしょうか

岸岡 したほうがいいとは思います。

――実際昨年1年間そうしてみてどうでしたか

岸岡 「この試合はこれをしよう」と言ったことはやるのですが、その1個前の試合でしようと言ったことをその時にはもう忘れてしまっていることがありました。やろうとしたことはできるのですが、それが積み重なっていかないというのが現状問題としてあります。やっぱり人間には記憶の上限があるとは思うのですが、忘れないよう反復して今年はそれがないようにしたいです。

松本 毎週テーマを立てることはめちゃくちゃ大事だと思っています。Aチームがやろうとしていることを全チームが統一できていたら、チームとしての底上げにも繋がりますし、Aチームがやろうとしていることの質の向上にもつながります。そこは継続していくべきだと考えています。

中野将 岸岡が言ったように、その週のテーマはできているのに何試合か前のテーマはできていなかったことがあったので、そういう部分をなくして毎試合ごとにしっかりとしたスタンダードが積み重なっていけば、先ほど言った「波」も減ってくるのではないかと思います。

――最後の話題になりますが、今年度の目標を聞かせていただけますか

岸岡 大学日本一です。

中野将 今年は『荒ぶる』を取ります。

松本 そうですね、その通りです。

――では、目標達成のポイントとなってくるところはどこなのでしょうか

中野将 競争し合えば、チームとしてもポジションごとにレベルが上がっていくと思うので、みんなが向上心を持って競争し合うことです。

松本 練習や私生活すべての行動を「勝つため」ということに関連づけて日々行動できるかだと思います。

岸岡 いっぱいあるもんなあ…。
負けた試合のときに思ったのは、「大事なときこそ一番基本や基礎プレーができていない」ということでした。そこはやっぱり練習の一番基礎を見直したりとか、なあなあにするところを余計に意識して練習に取り組んだりとか、もちろんそれが私生活につながったりするところもあると思います。
「当たり前を当たり前に」というのが学年でもキーワードで出たので、それに限るかなと。しんどいときとか、相手が強くなればなるほど、そこが出やすいと思うので、そこで負けたなと前回思いました。次は負けることはもうないですが、それができれば負けないので、そこを強化できる1年にしたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 石名遥、涌井統矢 写真 安岡菜月)


今年度の抱負を書いていただきました!

◆中野将伍(なかの・しょうご)(※写真左)

1997(平9)年6月11日生まれ。186センチ、98キロ。福岡・東筑高出身。スポーツ科学部4年。色紙には下書きなしで、九州男児らしく豪快に『荒ぶる』の『荒』を書いてくださいました!今年も中野将選手のダイナミックなプレーに注目です!

◆岸岡智樹(きしおか・ともき)(※写真中央)

1997(平9)年9月22日生まれ。173センチ。84キロ。大阪・東海大仰星高出身。教育学部4年。大乱闘スマッシュブラザーズは部内で1位を争う実力者。色紙には、『刷新』の2文字を書いてくれました。精確なキックを駆使して繰り広げられる変幻自在なゲームメークに期待です!

◆松本悠汰(まつもと・ゆうた)(※写真右)

1997(平9)年8月16日生まれ。170センチ、81キロ。大阪・天王寺高出身。スポーツ科学部4年。今年度から委員に選出され、「4年生の姿を見て欲しい」と力強く語ってくれました。部内競争の火付け役になること間違いなしです。昨年度は春のみでしたが、今年度は春秋ともにAチームで出場してくれるでしょう!

※この取材は3月20日に行われたものです。