因縁の相手と雌雄を決する日が迫ってきた。今年で77回目を迎える早慶バスケットボール定期戦(早慶戦)。早大が3連覇を飾るのか、慶大が覇権を取り戻すのか。注目の一戦を前に、早大のF桑田裕平主将(商4=京都・洛南)、慶大のG山﨑純主将(総合政策…

 因縁の相手と雌雄を決する日が迫ってきた。今年で77回目を迎える早慶バスケットボール定期戦(早慶戦)。早大が3連覇を飾るのか、慶大が覇権を取り戻すのか。注目の一戦を前に、早大のF桑田裕平主将(商4=京都・洛南)、慶大のG山﨑純主将(総合政策4=茨城・土浦日大)のお二人にお話を伺った。

※この取材は5月3日に行われたものです。

昨シーズンについて

――昨シーズンを振り返って

桑田 自分はけがから復帰した年で、春先はあまり試合に絡んでいなかったんですけど、秋のリーグ戦(関東大学リーグ戦)が始まってからしっかり絡むようになりました。けが明けでどこまでできるかなというのを試し続けた1年間でした。インカレ(全日本学生選手権)の時にはしっかりかたちとなって結果を出すことができたと個人的には思います。

山﨑 個人的には昨シーズンはチームのエースのようなポジションを任せてもらって、チームを勝たせなきゃいけないポジションだったんですけど、春シーズンの目標であった早慶戦に勝つことと、秋シーズンは1部リーグという目標は達成できませんでした。でも昨年4年生がチームをまとめてくれてチームとしては本当にいいチームになったと思うので、それをいかに今年につなげられるかというのを意識してやっています。

――主将に就任された時の気持ちは

山﨑 伝統のある慶應大学のキャプテンをやるということは、普通のチーム以上に責任や覚悟が必要だと思うので、主将になると決まった時にはやるからには自分のできることを全部出し切ろうという気持ちでした。

桑田 早稲田も同じで、これまで歴代のキャプテンがいた中で、1年生の時から3チーム見てきて、この人しかいないなという人がずっとキャプテンをやっていたので、今度は自分が同じような姿を見せられるかというのは不安もありました。でも(山﨑と)同じで、やるからには突き詰めてやらなければいけないと思ったので、不安もありつつやってやるという気持ちと半分半分でした。

――どうして自分がキャプテンに選ばれたと思いますか

桑田 慶應は淳貴(高田、環境情報4=徳島・城東)か純かなと思ったよ。

山﨑 そうだね。自分たちの代で2人が下級生から試合に出ていて、どちらか2人になると予想はついていたんですけど、その中で自分がキャプテンになった理由としては…。自分は正直、昨年や歴代のキャプテンみたいに真面目なキャラではなかったんですけど、やる時にはやるタイプだと思っていて、支えてくれる信頼できる同期がたくさんいてくれて。なので、自分一人で引っ張っていくというよりは同期でまとまっていこうというのが今年のチームなので、今までのキャプテンとは違うかもしれないんですけど、周りを巻き込んでいくという部分ではある程度自信があるので、そういう部分が同期から推された理由かなと思います。

桑田 1年生の頃からずっと自分がベンチに入っていて、使ってもらっていたという経験の部分もあると思うし、結構硬く見られることが多いのでそういうところもあってキャプテンに選ばれたと思います。

新チームについて


オフェンスでもディフェンスでもチームを支える桑田

――新体制が始まって2か月経ったと思いますが、チームの雰囲気は

山﨑 去年の4年生がプレー面でも精神面でも支えてくれていたので、4年生が抜けて新チームが始まった時には不安しかなかったんですけど、六大学でいろいろなチームにぼろ負けして、ただ昨日のトーナメント(関東大学選手権)では昨年インカレ優勝の東海大相手にいいゲームができたので雰囲気としては、早慶戦に向けてどんどん上がっていっていると思います。

桑田 早稲田も最初は人数的にも厳しいんじゃないかというのが正直なところだったんですけど、やってみると意外に上手くいくところが多くて、六大学でも優勝という目に見える形で結果を出すことができました。また京王電鉄杯や自分たちよりもサイズやフィジカルが強い相手と練習試合をやっても、それほど負けているわけではないなと感じることができました。なので、すごくいい雰囲気できているなとは感じます。ただ昨日トーナメントで負けたばかりなんですけど、どれだけやってきても負ける時は負けるんだなと昨日は思ったので、新人戦も挟みますけど早慶戦が節目なので、それに向けてまた頑張っていきたいなと思っています。

――これからどんなチームにしていきたいですか

山﨑 これは毎年、慶應らしさということで言っている部分なんですけど、ディフェンスとリバウンドとルーズボールでは絶対に負けられないし、そこで負けていたら身長も小さいし経験も浅いチームなので試合にならないと思うので、そういう泥臭い部分ではどこのチームにも負けないような組織にしていきたいと思っています。

桑田 トーナメントまでで、ある程度かたちができてきたと思っていて、後はチームとしても個人個人でも一つ一つのことをしっかりと突き詰められるようなチームでありたいと思うので、逆にそこの弱さが昨日の試合では出ていてリバウンドやボールに対する執着心というところが結果につながったと思います。とことん突き詰めていけるようなチームを目指したいなと思います。

――慶應と早稲田は六大学でも対戦がありましたが、互いのチームの印象は

山﨑 自分たちより身長も高いし、スキルもあって、やるまでは正直ガード陣が長谷川暢さん(平31スポ卒=現秋田ノーザンハピネッツ)が抜けて、チャンスがあるとしたらそこかなと思っていました。でも1年生に土家大輝(スポ1=福岡大大濠)が入って、予想以上に大学バスケ、早稲田のバスケにフィットしていて、そういう部分でも六大学の時点で結構完成度が高かったので、印象としては本当に強いチームだなという印象でした。

桑田 六大学で対戦して、終始早稲田がリードしていたと思うんですけど、食らい付いてくるのでなかなか離せなくて、ちょっと気を抜いていたら一気にもっていかれていたなと思います。高さの面などで早稲田の方が有利かもしれないですけど、油断はできない相手だなと思いました。

――昨年の早慶戦を振り返っていかがですか

桑田 去年暴れていたよね(笑)?

山﨑 前半までは確かに結構いい感じに自分たちのプラン通りにいっていたんですけど、3ピリの出だしからやられてしまって…。昨年も今年もなんですけどゲームの出だしと3ピリの出だしを集中して入るというのを課題にしていたんですけど、それでも3ピリ勢いでやられてしまったので、今年はさらに早稲田のホームでもあるので去年以上に出だしを徹底することと1試合を通して集中力を切らさないようにしなければいけないなと思いました。

桑田 去年は4年生の力だなという風に感じていて、主将だった濱田さん(健太、平31社卒)にしろ、長谷川さんにしろ4年生が頑張ったからああいう結果になったと思うし、早慶戦は4年生が頑張った方に勝利が傾く試合なのかなという風に思っています。

――今年の早慶戦で改善したい点とどのような早慶戦にしたいかお聞かせください

山﨑 さっきと被ってしまうんですけど、元気なうちの前半とかは去年も一昨年も結構出だし良くていいプレーができていたんですけど、1試合を通して集中力を切らさないという部分がなかなか徹底できていなかったので、今年は1試合通して全員で戦い抜けるようなチームにしたいと思います。4年生にとっては最後だし、自分も小学校から続けてきたバスケは今年で最後なので結果はもちろん大事ですけど、本当に後悔しないように全力で頑張りたいと思います。

桑田 改善したい点は早慶戦ならではの雰囲気に飲まれないというのはひとつポイントかなと思います。あれだけたくさんの人が早稲田か慶應どっちかという会場は早慶戦しかなくて、コートに立つ人しかわからないような空気感もあって、そこにまず飲まれないというのが1つ大事かなと思います。今年どうしたいかというと、体育館が新しくなって1発目ということでやっぱり負けられないですし、早稲田でやるということで早稲田生がいっぱい見に来てくれると思いますし、その中で見る人に楽しんでもらえるようなバスケットを展開できたらなと思います。


ガードとしても、キャプテンとしてもチームを引っ張る山﨑

――早稲田アリーナでの開催については

山﨑 個人的には結構やりやすいなというのがあって、トーナメントでもそうだったんですけど、1回戦言っちゃえば格下の相手だったんですけど、その時はチームが受け身になっちゃって全然いいプレーができなかったんです。でも東海大は格上で失うものがない状態で挑んでいって、いいゲームができました。今回の早稲田も格上だしさらに相手のホームコートなので、こっちは挑戦していくだけだと思っているので、そういう部分では自分もチームメイトも含めて吹っ切れたプレーができるんじゃないかなと思います。

キーマンとなるのは

――チームのキーマンとなるのはどなたでしょうか

桑田 下級生がいっぱい出ているので、柳川(幹也、スポ3=京都・洛南)かなと思います。去年から試合に出ていたんですけど、今年から一気にプレータイムを伸ばしていて、かつ結果をどんどん残している中で、早慶戦で彼がどれだけ活躍してくれるのかなというのは頼りにしているのもありますし、期待もあるのでそこは注目して見てほしいなと思います。

山﨑 自分たちもほとんど同じような状況で、自分と高田以外は去年ほとんど試合に出ていない経験の浅いチームで、その中で1人挙げるとしたら同じ4年の工藤(翔平、法4=慶應義塾)かなと思います。身長も自分たちのチームでは大きくて180後半くらいあって、中も外もやっているんですけど、そいつが乗れば結構チームもいい感じになって。あまり考えてプレーするタイプではないんですけど、そいつが波に乗ってくれればいい感じになると思うので。工藤だけではなくて自分たちがいかに下級生にプレーしやすい環境を作れるかというのがカギになるかなと思っています。

――相手チームで警戒する選手はどなたでしょうか

桑田 純と淳貴の2人だなと思います。去年からもずっとなんですけど、これでもかというくらいシュートを決めてくるので、抑えなければいけないしこの2人かなと思います。

山﨑 去年もなんですけど今年も誰かに絞れないというところが早稲田の強みでもあるんですけど、その中で強いて挙げるなら土家ですかね。ガードですごいゲームを作ってくると思うんですけど、僕も1年の時の早慶戦は緊張したので、土家も早慶戦の経験はなくて緊張していると思うので、ここであまり言いたくはないんですけど、そこを潰せるといいかなというのと(笑)。あとは4年生に注意したいという感じですかね。

――ご自身のここに注目してほしいという点は

山﨑 去年からすごいシュートを打たせてもらって、オフェンスで結構自分を中心に攻めさせてくれたんですけど、今年はその役割プラス主将をやらせてもらっているので、泥臭いプレーだったり声だったり、自分のプレーで仲間を引っ張っていきたいので、そういう主将としての自分を見て欲しいかなと思います。

桑田 自分はプレーで何か結果を残すタイプではないので、下級生の力をいかに引き出せるかであったりとか、チームをまとめる力であったりそういうところを見てもらえたらなと思います。

――早慶戦に向けて意気込みをお願いします

山﨑 早慶戦というのは伝統の一戦で、先輩方が築いてきた歴史だと思うので、僕たちも今年4年目なんですけど、今の自分たちのチームがあるのも去年の4年生だったりその前の4年生がいろいろなことを教えてくれたり、引っ張ってくれた結果なので、その人たちの分も背負って、自分としては今年だけの勝利ではなくてその人たちの分も含めて絶対に勝ちたいなと思います。

桑田 早稲田にも歴史があって、今までつないできた勝利の数がある中で、今2年連続勝っていて、今年勝てば3年連続になると思いますし、早稲田アリーナでの1年目でもあるので、必ず勝ちたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 小林理沙子、町田華子)


チームを引っ張り、勝利に導きます

◆桑田裕平(くわた・ゆうへい)(※写真左)

1997(平9)年4月5日生まれ。188センチ。京都・洛南高出身。商学部4年。

◆山﨑純(やまざき・じゅん)(※写真右)

1997(平9)年8月25日生まれ。178センチ。茨城・土浦日大高出身。総合政策学部4年。