専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第208回 いつも、ポチ扱いされているみなさん、仕返しの時がやって来ました! ゴルフって、下手だとうまい相手に見下されますよね。こっちががんばってうまくなっても、相手も負けまい…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第208回

 いつも、ポチ扱いされているみなさん、仕返しの時がやって来ました!

 ゴルフって、下手だとうまい相手に見下されますよね。こっちががんばってうまくなっても、相手も負けまいと努力するから、なかなか差が縮まらない。それを「切磋琢磨」と言いますが、非常に疲れます。

 そこで、腕前以外で威張るにはどうしたいいか、を考えてみます。

 まず参考にするのは、最近話題を振りまいているZOZOの前澤友作社長です。

 今年の秋、PGAツアーの『ZOZO CHAMPIONSHIP』(10月24日~27日/千葉県)が開催されることとなり、タイガー・ウッズ選手も日本にやって来ます。その立役者が、前澤社長です。

 最近、業績が芳しくないようで、所蔵していた絵画などを売っていますが、今が踏ん張り時。ぜひとも、PGAツアーを成功に導いてください。

 そんな前澤社長、PGAツアー開催発表のセレモニーの際には、世界の青木功プロ(日本ゴルフツアー機構会長)をはじめ、日本のゴルフ界の重鎮たちと肩を並べてテレビに映っていました。スポンサーだから気を遣われて、VIP扱いでしたね。あれは、本当に羨ましかったなぁ~。

 というわけで、我々が腕前とは関係なく、チヤホヤされるにはどうしたらいいでしょうか?

 なぜ、そんなアホな考えを思いついたかと言えば、アマチュアゴルファーは軍鶏の喧嘩みたいなもので、出会い頭からマウンティングばっかりです。

「おまえ、ハンデいくつ?」
「12だよ」
「あれで、12かよ。俺は14だけど、おまえよりうまいぜ。どうせ、甘っちょろいコースのメンバーだろ」
「ふざけんな、だったらスクラッチで勝負だ」

 こんな感じで、バトルが勃発しがちです。我々アマチュアゴルファーとしては、このような”目くそ鼻くそ”の戦いに巻き込まれたくありません。もっとゆったりした気分で、優越感に浸りたい――そう思って、スコアでは競わない”前澤戦法”を参考にしたいのです。

 では、具体的にはどうすればいいか。

(1)名門倶楽部のメンバーになる
 今なら、会員権相場300万円ぐらいでしょうか。それで結構な名門コースのメンバーになれます。国産セダンの上級タイプをローンで買ったと思えば、安いものです。だって、やめるときはそこそこの値段で売れますから。まあ、入会金は全額戻ってきませんけどね。

 300万ぐらいのコースのメンバーは、月例にバンバン出てシングルを目指す人と、ゆったりとプレーを楽しみたい人と、ふたつのタイプに分かれます。それはそれとして、同コースに自分よりうまい知り合いを連れてきた際には、鼻高々になれますよ。たぶんその知り合いは、借りて来た猫のように、おとなしくなると思いますから。

 ちなみに、会員権相場1000万円以上の超名門コースのメンバーは、8割以上がゆったりエンジョイ派です。私の知り合いにも結構いますが、総じてさほどうまくありません。

 でも、連れていってもらうと、「素敵なコースですね」とこっちがお世辞を言わなければなりません。あと、支配人を紹介されて「キミもメンバーになれば」なんて言われると、「滅相もない」とペコペコしまくり。

 相手にスコアで勝っても、卑屈になる自分がいるのでした。そのうえ、「プレーしたいときは言ってね」と言われても、平日3万円のプレー代なんて、おいそれとは出せません。

(2)おごりまくる
 メンバーでなくても、ネットで予約できるお気に入りのコースってありますよね。年に4、5回程度ラウンドするとか。そういうコースを予約して、友だちを誘いましょう。

 腕前が一緒か、相手のほうがややうまい友だちがいいでしょう。そうすると、相手はこちらを潰しにかかってきますから、そこをひらりとかわすんです。

 最初は、お茶屋でカードホルダーをかざしながら「好きなドリンク、飲んで」と常連風を吹かせます。人間、わずか200円程度のドリンクでも、おごられると卑屈になるものです。「ありがとうございます」と、相手は丁寧に答えたりします。

 おごったほうは、スコアそっちのけで「ここのショートはいつもアゲているから、強めだね。あぁ~、ツツジが満開で見頃だ。ここで写真撮っていく人、多いよ」なんて、メンバー気取りになって、余裕しゃくしゃくです。

 しまいに、お昼休みに「今日はランチパックだけど、飲み物は別なんだ。ドリンク代は、オレにつけていいから、ビールでも飲んで」とやったら、完全にこちらの思うツボ。相手はもう「ヘタクソ」とか「ヘボ」とか言ってきません。逆に気を遣って、「なかなかいいコースですね」とか、「それ、オーケー」とか言って、長いパットもオマケしてくれちゃったりして。

 結局、連れてきた友達は”常連作戦”にまんまと引っかかり、勝った負けたは二の次になって、こちらの懐の深さに感銘してしまうのです……って、ほんまかいな。

(3)幹事をやる
 たとえば、夏の北海道ゴルフツアーを、4人とか8人とかで行くとしましょう。その幹事をやればいいのです。

 チケットの手配や、夜の食事、あるいは観光スポットの選定など、細かいことを決めて着々と遂行します。すると、同行メンバーから称賛の声が上がります。みんな、金だけ払って、細かいことはやりたくないからです。

 そのツアーを開催中は、いわば学校の先生が生徒を引率するようなもの。同行メンバーは言うことを聞いて従ってきます。もちろん、ラウンドでもそれなりの敬意を払ってくれますので、見下されることはありません。

 面白いのは、幹事の名前でツアーを申し込んでおくと、どこの施設に行っても、幹事だけではVIP扱いです。「お世話になっております。木村さま、今日の夕食は何時からにしましょうか」とかね。幹事は団体を引き連れてくる、大切なお客さまなんですね。

(4)19番ホールを企画する
 こう書くと、なんかとってもセクシャルなことを連想しがちですが、ラウンドの帰りに健康ランドに寄るとか、焼肉を食べにいくとか、居酒屋にいくとかで構いません。とにかくラウンド中、昼食後あたりに「今日さ、終わったら一杯飲まない? おごるから付き合ってよ」なんて言ってごらんなさい。一緒に回っている友人は、俄然態度が豹変しますよ。

 それまでは、「オレのほうがうまいぞ」みたいな振る舞いだったのが、率先してボールを探してくれたり、「じゃあ、悪いから、新しいボールをやるよ。使ってみて」なんて、あのケチ野郎がニューボールをくれるのかよぉ~……といった具合になるわけです。

 そうなれば、こっちはすこぶる気分よくプレーができるってもんです。



ゴルフの腕前以外で優越感に浸ってラウンドしたい方はいろいろと試してみてはいかがでしょうか?

 ゴルフは昔から”接待の温床”と言われてきました。我々のプチ接待といった戦略も、なかなかどうして。相手はコロッと手のひらを返して、優しくなり、忠実な僕(しもべ)に様変わり。

 世の中はこうやって動いているんだって、よ~くわかりました……って、大げさですかね!?