文=鈴木健一郎、丸山素行 写真=野口岳彦

トム・ホーバスの下で『勝てるスタイル』確立を目指す

バスケットボール女子日本代表は、5月31日と6月2日に茨城県水戸市のアダストリアみとアリーナにベルギー代表を迎え、国際強化試合の三井不動産カップを戦う。女子日本代表は2016年のリオ五輪でベスト8に進出。世界最強国のアメリカに敗れて大会を終えたが、高速トランジションを軸としたキレ味鋭いバスケは鮮烈な印象を与えた。あれから3年、指揮官トム・ホーバスの下でチームは世代交代を行いつつ、攻守のレベルを上げて自国開催での金メダル獲得を目指す。熾烈な代表サバイバルレースが続く中、選手個々の実力は着実に伸びており、チームとしてのバスケスタイルも確立されつつある。世界の強豪ベルギーを相手にどんな戦いを見せてくれるのかが楽しみな、今回の日本代表メンバー15選手を紹介する。

PG 1 藤岡麻菜美(JX-ENEOSサンフラワーズ)

先日現役引退を表明した吉田亜沙美の魂を受け継ぐポイントガード。ボールハンドリングだけで『魅せる』ことのできる稀有なプレーヤーであり、切れ味鋭いドライブでディフェンスを切り裂いてフィニッシュまで持ち込むことのできる得点力が強み。リオ五輪後に代表で頭角を現し、アジアカップでは大会ベスト5に。現在はプレーだけでなく声も出すリーダーに成長しつつある。

PG 2 川井麻衣 (三菱電機コアラーズ)

Wリーグでファイナル進出を果たした三菱電機の勢いを象徴するプレーヤーの一人で、今回が初の代表選出となる。味方を生かす広い視野を持ち、即座にノーマークの選手を見つけてパスを合わせる技術は一級品。競争の激しいポイントガードの一角に食い込む挑戦が始まるが、「ピック&ロールからのスリーポイントは負けない」と語る持ち味を武器に代表生き残りを狙う。

PG 13 町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)

豊かなスピードで日本のトランジションバスケを作り出す俊足ポイントガード。以前はパスファーストに偏りがちだったが、この1年で自らフィニッシュに持ち込む意識を高め、さらにシュートの精度にも磨きがかかり、スコアリングガードとしてのスタイルを確立しつつある。リオ五輪で吉田に続く2番手のポイントガードを務めていただけに、先発定着への意欲は誰よりも高い。

PG 15 本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)

昨年に初めて日本代表に選出されてから、常に結果を出し続けてきた新鋭。ドライブ、アシスト、シュートのすべてが高いレベルにあり、自ら仕掛けるドライブからのフィニッシュやパスアウトの状況判断はピカイチ。代表で結果を出したことが自信となり、迷いのないプレーがプラスに働いている。常にベストを尽くす姿勢でホーバスヘッドコーチからの信頼も厚い。

SG 14 本川紗奈生(シャンソンVマジック)

1on1から切り崩して得点できるスラッシャー。大柄な選手を相手にしても臆さないリムアタックから得点を量産したリオ五輪でのプレーは今も強烈なインパクトを残す。ハードなディフェンスと縦への動きは、日本のスタイルの中で小気味良いアクセントとなる。リオ五輪以降はケガに悩まされ続けてきたが、久しぶりの代表復帰でモチベーションも高い。完全復活に期待。

SG 24 藤髙三佳(トヨタ自動車アンテロープス)

特にキャッチ&シュートを得意とするシューターで、リオ五輪では3ポイントシュート成功率が驚異の51.1%を記録。しかも数字以上に勝負どころで決めた印象が強く、その爆発力は日本代表をベスト8へと引き上げる大きな力となった。世界のフィジカルを相手にしてもひるまずぶつかっていく強度の高いディフェンス、それを可能とする気持ちの強さも魅力。

SG 27 林咲希(JX-ENEOSサンフラワーズ)

多彩な得点パターンを持つスコアラー。オフボールからリングに向かう合わせのタイミングが抜群に上手く、自身も「トムさんの言っていることも分かるし、タイミングも分かるので、それは自分にとっては強み」とコメントしている。所属するJX-ENEOSではプレータイムが少なかったにもかかわらず、代表に選出されていること自体にトムコーチの信頼がうかがえる。

SG 88 赤穂ひまわり(デンソーアイリス)

小柄な日本代表にあって貴重な世界レベルのサイズを備えた185cmのシューティングガード。スイッチを多用する守備戦術もあり、ガード陣のサイズアップを目論む指揮官からも大きな期待を寄せられる。アスレチック能力はチーム内でもトップクラスで、スピードに乗ってのランニングプレーを得意とする。均衡を打開するジョーカーとしての働きに期待したい。

SF 0 長岡萌映子(トヨタ自動車アンテロープス)

世界を相手にしてもペイントエリアで勝負ができるフィジカルとサイズ(183cm)を備え、なおかつアウトサイドでプレーもできる日本屈指のオールラウンダー。以前はその器用さゆえに、3番と4番のプレーのどちらに専念すればいいか迷いを見せていたが、現在はその多様性の特性を深いところで理解している。エースを張るだけの実力を持ったオールラウンダーがシックスマンとして控えているとなれば、先発陣は気負いなくプレーできるし、チームの安定度は増す。

SF 3 馬瓜ステファニー(トヨタ自動車アンテロープス)

多少の当たりではバランスを崩さない強いフィジカルを持ち、インサイドプレーに力強さが増した。スモールフォワードながら、高い身体能力でリバウンド争いでも強みを出せる。4番、5番に続く3人目のリバウンダーとして心強い存在であることは間違いない。今回は招集されていないが、姉のエブリンとともに日本代表にエネルギーとアグレッシブさをもたらす存在。

SF 33 中田珠未(早稲田大学)

183cmと長身ながら走れて跳べる、サイズとアスリート能力を兼ね備えたスモールフォワード。速攻でのフィニッシャーにもなることができ、飛び込みリバウンドでポゼッションを増やすなど、特にランニングプレーを得意とし、その機動力とアグレッシブさ全開のプレーでチームに活力を与える。Wリーグで経験のある選手たちを追い越して、唯一の大学生として代表入り。

SF 52 宮澤夕貴(JX-ENEOSサンフラワーズ)

23歳で参加したリオ五輪では持ち味を出せなかったが、その悔しさをバネに急成長。もともとはインサイドの選手だったが、クイックリリースから放たれる高確率な3ポイントシュートを会得してJX-ENEOSと日本代表のエースとなった。「オリンピックではスコアラーとして金メダルを」と強い覚悟で代表活動に臨む。ディフェンスも一級品で、トップクラスの2ウェイプレーヤー。

PF 8 髙田真希(デンソーアイリス)

リオ五輪ではシックスマンだったが、その後も日本のゴール下を支え続け、攻守ともに日本を支える大黒柱となった。世界を戦うインサイドの選手としては小さいが、高いバスケIQと身体の巧みな使い方、技術を駆使して、自分よりも高くて強い選手とマッチアップし続けてきた。オフェンスで面では、確率の高いミドルジャンパーと柔らかなポストプレーで得点を量産する。

PF 11 谷村里佳(シャンソンVマジック)

初のA代表に選出された185cmのインサイドプレーヤー。ボールと人が連動する日本のバスケは、的確にスクリーンをヒットさせる必要があり、谷村はスクリーナーなど献身的なプレーでチームを支える。また、センターまで含めチーム全員に3ポイントシュートを要求するトムヘッドコーチのシステムの中で、3ポイントシュートの技術にも磨きをかけて代表へと加わっている。

C 29 梅沢カディシャ樹奈(JX-ENEOSサンフラワーズ)

189cmのサイズを誇る若きセンター。高卒2年目ながら『女王』JX-ENEOSの先発センターを任され、開幕当初は苦しみながらもメキメキと上達。サイズを生かした力強いプレーに加え、ミドルレンジのシュートも精度が上がっている。日本の目指すトランジションバスケをこなす脚力も備わり始めており、今年の代表活動で世界を経験することで、さらなる強さが見込めそうだ。