テニス界の生ける伝説ことロジャー・フェデラー(スイス)は5月11日、BNLイタリア国際への出場を表明した。これを受けて大会を運営するイタリア・テニス連盟(以下FIT)は、観戦チケットの突然の値…

テニス界の生ける伝説ことロジャー・フェデラー(スイス)は5月11日、BNLイタリア国際への出場を表明した。これを受けて大会を運営するイタリア・テニス連盟(以下FIT)は、観戦チケットの突然の値上げを発表。倍額以上に高騰した価格設定に、海外メディアとファンは痛烈な批判を寄せている。

♦︎突如倍額に高騰、主催側は「ファンへの報い」と釈明

イタリア国際はマスターズ1000規格の大会であり、5月11日から19日までローマ郊外のフォロ・イタリコ競技場で開催されている。フェデラーは5月11日、大会参加の意向を明かす動画をインスタグラムに投稿。「たった今チームに話をしたところだけれど、イタリア(国際)でプレーするため、またローマに行くことになった。そのことを伝えることができて嬉しいよ」「待ちきれない。とても興奮している。長かったからね。現地で会おう。チャオ」と笑顔でファンらに語りかけた。

参加表明を受けて大会側は、チケットの価格の値上げを発表。新価格はフェデラーが出場する15日のチケットに適用され、従来の60ユーロ(約7370円)から132ユーロ(約1万6200円)に引き上げられた。FITは「私たちはフェデラーが参戦する水曜日のチケットの価格を倍増しました」との声明を発表。「フェデラーが参加すると知る前からチケットを購入していたファンに報いたいと考えています」とも述べ、発表前にチケットを購入していたファンに対する厚遇措置であると弁明した。

♦︎海外メディア「非常識な決断」

この事態に関し、海外各紙は批判的な報道を展開。英Express紙は「イタリアオープン、スイスのスターのエントリー後に非常識な決断」と題する記事を掲載し、大会側の行為を手厳しく非難している。フェデラー参加の報はファンを喜ばせたが、観戦価格の値上げにより、発表後に観戦を希望するファンに対して想定以上の金銭的な負担を強いることとなった。

大会としても資金に窮しているわけではないようだ。Tennis World USA誌の指摘するところによると、値上げ前の5月3日に行われた記者会見の時点でFITのビナギ会長は、すでに大会として昨年の収入額と同額を達成したと発表している。会見のなかでビナギ氏は、今年初の施策としてFITカード保有者に対する10%の値引きを行っていると強調。チケットの割安感をアピールしていたが、フェデラーの参加を受けて一転、値上げに踏み切る形となった。

♦︎ファンの反応分かれる

Express紙はとあるツイッターユーザーの投稿を紹介。「私はファンであり火曜に観戦に行くが、フェデラーが見られるので、それだけのために水曜のチケットをたった今購入したところだ」と綴っている。値上げをものともせず、熱烈なファンは会場へ足を運ぶようだ。

しかし、なかには激怒するファンたちも。豪ヤフースポーツは、「恥知らずな搾取」と怒りを露わにするツイートや、「ファンから法外な金を取るためにフェデラーを利用している」と糾弾するコメントなどを紹介している。一方で値上げの判断は合理的だと受け入れるファンもおり、値上げ断行にファンの反応は二分している状態だ。

(テニスデイリー編集部)

※写真はロジャー・フェデラー(Steven Hodel / Shutterstock.com)